中重度者ケア体制加算・認知症加算(通所介護)の算定要件、割合の計算方法と加配の損益

結論(この記事でわかること)
ミナ施設長から「中重度者ケア体制加算と認知症加算は、うちのデイでも取れないの?」と聞かれました。2つとも、体制を整えれば取れる加算なんですか?
ジムチョーそうなんだ。どちらも看護職員か介護職員を人員基準より常勤換算で2人分多く置いて、要介護3以上や認知症の人の割合を満たす加算だよ。中重度者ケア体制加算は利用者全員に1日45単位、認知症加算は認知症の利用者に1日60単位つくんだ。
ミナ2人分の加配は、2つの加算で共通にできるんですか?
ジムチョー共通でいいことになっているよ。ただ、提供時間を通じて置く看護職員と認知症の研修修了者は、別の人が要るんだ。損得は「いまの配置にどれだけ足すか」で決まるから、まず勤務表から数えてみよう。
中重度者ケア体制加算と認知症加算は、通所介護・地域密着型通所介護で、人員基準より手厚く職員を置いて重度や認知症の利用者を受け入れている事業所を評価する加算。中重度者ケア体制加算は利用者全員について1日45単位、認知症加算は日常生活自立度Ⅲ・Ⅳ・Mの利用者について1日60単位を算定する。延べ利用者600人日(うち自立度Ⅲ以上の人の利用が120人日)の通所介護なら、2つで月342,000円(地域区分「その他」)。
| 項目 | 中重度者ケア体制加算 | 認知症加算 |
|---|---|---|
| 単位数 | 45単位/日 | 60単位/日 |
| 算定する利用者 | 事業所を利用する利用者全員 | 日常生活自立度Ⅲ・Ⅳ・Mの利用者 |
| 加配 | 人員基準の看護職員・介護職員に加え、看護職員または介護職員を常勤換算で2以上 | 同じ(2つの加算で共通にしてよい) |
| 利用者の割合 | 要介護3〜5の人が30%以上 | 日常生活自立度Ⅲ以上の人が15%以上 |
| 提供時間を通じた配置 | 専従の看護職員1名以上 | 専従の認知症介護の研修修了者1名以上 |
| そのほか | 社会性の維持と在宅生活の継続に資するケアのプログラムを作る | 認知症ケアの事例検討・技術的指導の会議を定期的に開く。症状の進行の緩和に資するケアのプログラムを作る |
割合は、前年度(3月を除く)か、届出日の属する月の前3か月の1月あたりの平均で見る。利用実人員数と利用延人員数のどちらか一方で満たせばよく、要支援者は数えない。
押さえる点は3つ。
- 2つは一緒に取れて、加配の常勤換算2以上は共通でよい。提供時間を通じて置く看護職員と研修修了者は別の人にする
- 加配には、提供時間を通じて置く看護職員の時間を入れない。基準で要る介護職員の時間を引いた残りを暦月ごとに見る
- 損益は「いまの配置にどれだけ足すか」で決まる。下の計算例では、いまの配置で満たせれば月342,000円の増収、介護職員と看護職員を新たに足すと月165,725円の赤字
対象サービスと単位数
地域密着型通所介護でも、同じように取れますか?
単位数も要件も同じで、届出先が市町村になるだけなんだ。療養通所介護と認知症対応型通所介護にはこの2つがなくて、療養通所介護には月150単位の重度者ケア体制加算という別の加算があるよ。
| サービス | 中重度者ケア体制加算 | 認知症加算 | 届出先 |
|---|---|---|---|
| 通所介護 | 45単位/日 | 60単位/日 | 指定権者(都道府県など) |
| 地域密着型通所介護 | 45単位/日 | 60単位/日 | 市町村 |
| 共生型通所介護・共生型地域密着型通所介護 | 算定しない | 算定しない | — |
| 療養通所介護 | なし(別に重度者ケア体制加算 150単位/月) | なし | 市町村 |
| 認知症対応型通所介護 | なし | なし | — |
| 通所リハビリテーション | 20単位/日(加配は常勤換算1以上) | なし | 指定権者 |
介護予防のサービスと総合事業の通所型サービスには、どちらの加算もない。療養通所介護の重度者ケア体制加算は、看護職員を常勤換算で3以上加配し、訪問看護と一体的に事業を行うことなどを求める別の仕組み(大臣基準告示第51号の8の2)。
2つの加算は2015年度改定でできた。2021年度改定で認知症加算の研修修了者に「認知症看護に係る適切な研修」の修了者が加わり、2024年度改定で認知症加算に会議の要件が加わって、認知症の利用者の割合の要件が緩和された(いまは15%以上)。中重度者ケア体制加算の要件は2024年度改定でも変わっていない。2026年6月の令和8年度改定のあとの告示でも、45単位・60単位のまま。
中重度者ケア体制加算の算定要件
加配の常勤換算2以上は、看護職員と介護職員の時間を足して数えていいんですか?
足していいんだ。ただ、基準で要る介護職員の時間を引いた残りで数えるし、提供時間を通じて置く看護職員の時間は入れないよ。ここを混ぜると、2.0に届いたつもりで届いていないことがあるから気をつけよう。
| 要件 | 内容 | 残す記録 |
|---|---|---|
| 加配 | 人員基準の看護職員・介護職員の員数に加え、看護職員または介護職員を常勤換算方法で2以上確保(暦月ごと) | 勤務形態一覧表、勤務実績、常勤換算の計算 |
| 中重度の割合 | 前年度(3月を除く)または届出日の属する月の前3か月の利用者の総数のうち、要介護3〜5の人が30%以上 | 割合の計算書(国の様式例は別紙22-2) |
| 看護職員の配置 | 提供時間帯を通じて、専ら通所介護の提供に当たる看護職員を1名以上。他の職務との兼務はできない | 日ごと・時間帯ごとの勤務表 |
| プログラム | 中重度の要介護者でも社会性の維持を図り在宅生活の継続に資するケアを計画的に実施するプログラムを作る | 通所介護計画(または別の計画) |
加配の数え方。留意事項通知は、暦月ごとに看護職員・介護職員の勤務延時間数を常勤の職員が勤務すべき時間数で割り、暦月で2以上あれば要件を満たすとしている。延長加算のために置く看護職員・介護職員の時間は入れず、小数点第2位以下は切り捨てる。基準で要る分の引き方は、Q&A(平成27年4月1日 問25)が例を示している。
- 基準で確保すべき介護職員の勤務時間(1日)=((利用者数 − 15)÷ 5 + 1)× 平均提供時間数
- 加配の時間(1日)= その日の看護職員・介護職員の勤務時間の合計 − 基準で確保すべき時間
- 1か月の加配の時間の合計 ÷ 常勤が勤務すべき時間数 ≧ 2.0
Q&Aの例では、1週間の加配84時間 ÷ 常勤の週40時間 = 2.1で要件を満たす(本来は暦月で計算する)。常勤換算の基本は常勤換算の数え方にまとめている。
提供時間を通じて置く看護職員。人員基準の看護職員は提供時間帯を通じて事業所にいなくてもよいが、この加算は提供時間帯を通じた専従の看護職員を求めている。
- 他の職務と兼ねられず、その人の勤務時間は加配に入れない。これとは別に置く看護職員の時間は加配に入れられる(Q&A 問37)
- いまの看護職員が専従で提供時間帯を通じて勤務しているなら、新たに置く必要はない(問39)
- 日ごとや時間帯で人が替わってもよく(問30)、単位が複数でも提供時間を通じて1名以上いれば各単位の利用者が対象になる(問29)
- 埼玉県は、全営業日に配置しなくてもよいが、配置していない日は算定できず、全対象者に公平にサービスを提供できるよう配慮するよう案内している
プログラム。その人が築いてきた社会関係や人間関係を維持できるよう、家庭内の役割づくりや、地域で生きがいや役割をもって生活できる支援などの目標を、通所介護計画か別の計画に書く(Q&A 問38)。加算は要介護1・2の人を含む利用者全員について算定できる(留意事項通知 第二の7(11)⑤)。
認知症加算の算定要件
認知症加算は、利用者全員にはつかないんですね。
そうなんだ。日常生活自立度がⅢ・Ⅳ・Mの人の利用日だけにつくよ。研修修了者は認知症介護実践者研修以上が要って、2024年度からは認知症ケアの事例検討や技術的指導の会議を定期的に開くことも加わったんだ。
| 要件 | 内容 | 残す記録 |
|---|---|---|
| 加配 | 中重度者ケア体制加算と同じ(看護職員または介護職員を常勤換算で2以上) | 同じ |
| 認知症の割合 | 前年度(3月を除く)または届出日の属する月の前3か月の利用者の総数のうち、日常生活自立度Ⅲ・Ⅳ・Mの人が15%以上 | 割合の計算書(国の様式例は別紙23-2)、自立度の根拠 |
| 研修修了者の配置 | 提供時間帯を通じて、専ら通所介護の提供に当たる研修修了者を1名以上 | 修了証の写し、日ごとの勤務表 |
| 会議 | 従業者に対する認知症ケアの事例検討や技術的指導の会議を定期的に開く(2024年度に追加) | 議事録(日時・参加者・検討した事例) |
| プログラム | 認知症の症状の進行の緩和に資するケアを計画的に実施するプログラムを作る | 通所介護計画(または別の計画) |
算定する利用者と自立度の根拠。認知症加算は、日常生活自立度Ⅲ・Ⅳ・Mの人に算定する(留意事項通知 第二の7(15)⑨)。自立度は、医師の判定結果か主治医意見書を使って居宅サービス計画や各サービスの計画に書き、判定が複数あれば最も新しいものを使う。医師の判定がなければ、認定調査票(基本調査)の「認知症高齢者の日常生活自立度」欄を使う(令和6年度Q&A Vol.1 問18)。
数えられる研修。
| 研修 | 告示の言葉 |
|---|---|
| 認知症介護指導者養成研修、認知症看護に係る適切な研修 | 認知症介護の指導に係る専門的な研修 |
| 認知症介護実践リーダー研修 | 認知症介護に係る専門的な研修 |
| 認知症介護実践者研修 | 認知症介護に係る実践的な研修 |
- 認知症看護に係る適切な研修は、日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」、日本看護協会が認定する看護系大学院の「老人看護」「精神看護」の専門看護師教育課程、日本精神科看護協会の「精神科認定看護師」(認定証が発行されている人に限る)のいずれか(令和6年度Q&A Vol.1 問17)
- 平成20年度以前に認知症介護指導者養成研修を修了した人は、実践リーダー研修を受けていなくても修了したものとみなされ、提供時間帯を通じた1名の配置で算定できる(同 問21)
- 認知症介護基礎研修は、この一覧に入っていない
研修修了者の配置。研修修了者は、管理者・生活相談員・看護職員など介護職員以外の職種でもよいが、提供時間帯を通じて事業所に従事している必要があり、ほかの加算の要件の職員として置く人との兼務は認められない(平成27年Q&A 問33)。認知症加算の対象者が利用しない日は研修修了者の配置は要らないが、対象者が利用する日に配置していなければ算定できない(問34)。
会議。テレビ電話装置等を使って開いてもよい(個人情報の取扱いのガイダンスなどを守る。留意事項通知 第二の7(15)⑧)。開く頻度は告示と留意事項通知に定めがないので、事業所で決めて年間計画に入れ、指定権者の案内も確かめておく。
プログラム。認知症の症状の進行の緩和に資するケアを行うなどの目標を、通所介護計画か別の計画に書く(平成27年Q&A 問36)。
2つを併せて取るとき(併算定と兼務)
看護職員が認知症介護実践者研修を修了していたら、1人で両方の配置を満たせますか?
それは避けたほうがいいね。中重度者ケア体制加算の看護職員はほかの職務と兼ねられないから、Q&Aは研修修了者を別に置くよう求めているんだ。加配の2人分のほうは、両方の加算で共通に使えるよ。
| 場面 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 2つの加算を同時に算定する | できる | 留意事項通知 第二の7(11)⑤・(15)⑨ |
| 加配の常勤換算2以上 | 事業所として2以上あれば、両方の加算の要件を満たす(4以上は要らない) | 平成27年Q&A 問28 |
| 提供時間を通じた看護職員と研修修了者 | 看護職員は他の職務と兼ねられないので、研修修了者を別に置く | 問26 |
| 加配で置いた看護職員が、個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロの専従の機能訓練指導員を兼ねる | 中重度者ケア体制加算の看護職員の業務をしていない時間帯なら差し支えない | 令和3年度Q&A Vol.3 問59 |
| 提供時間を通じて置く看護職員が、専従の機能訓練指導員を兼ねる | 同じ営業日にはできない | 同 |
| 研修修了者が介護職員のとき、その人の勤務時間を加配に数える | 届出の前に指定権者に確かめておく | — |
| 認知症加算と若年性認知症利用者受入加算(60単位/日) | 認知症加算を算定する場合は、若年性認知症利用者受入加算を算定しない | 告示 注16 |
| 認知症専門ケア加算 | 通所介護・地域密着型通所介護にはない | 告示 |
Q&A(令和3年度Vol.3 問57・問59)は、看護職員が専従の機能訓練指導員を兼ねられるのを「看護職員としての業務に従事していない時間帯」に限っている。機能訓練指導員として働いた時間は勤務表で分け、加配の計算にも入れないでおくと説明しやすい。訓練の記録は個別機能訓練加算の記録要件、施設や訪問系の認知症の加算は認知症専門ケア加算の記事にまとめている。
割合の数え方(実人員・延人員)
要介護3以上の割合を実人員で数えると、30%に届かないんです。
延人員でも数えてみるといいよ。どちらか一方で満たせばいいことになっているんだ。下の例のように、延人員のほうが高く出ることもあるね。
数え方の決まりは次のとおり(留意事項通知 第二の7(11)②③・(15)②③、平成27年Q&A 問31)。
- 期間は、前年度(3月を除く4月〜2月の11か月)か、届出日の属する月の前3か月の、1月あたりの実績の平均
- 人数は、利用実人員数か利用延人員数。どちらか一方で要件を満たせばよい
- 要支援者は、分母にも分子にも入れない
- 月の途中で要介護度や自立度が変わった人は、実人員で数えるときは月末の要介護度と自立度で数える
- 前年度の実績が6か月に満たない事業所(新たに事業を始めた、または再開した事業所を含む)は、前年度の実績では届け出られない
- 前3か月の実績で届け出た事業所は、届出のあとも直近3か月の割合を毎月維持し、毎月記録する。下回ったら直ちに届け出る
11月に届け出て12月から算定する事業所の例(8〜10月の実績、要支援者を除く)。
| 月 | 利用実人員 | うち要介護3〜5 | うち自立度Ⅲ以上 | 利用延人員 | うち要介護3〜5 | うち自立度Ⅲ以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 8月 | 50人 | 14人 | 9人 | 590人 | 190人 | 115人 |
| 9月 | 51人 | 15人 | 10人 | 610人 | 200人 | 122人 |
| 10月 | 49人 | 14人 | 10人 | 600人 | 196人 | 120人 |
| 合計 | 150人 | 43人 | 29人 | 1,800人 | 586人 | 357人 |
| 割合 | 28.6% | 19.3% | 32.5% | 19.8% |
割合は小数点第2位以下を切り捨てた(Q&Aの例と同じ)。中重度者ケア体制加算は、実人員では43 ÷ 150 = 28.6%で届かないが、延人員では586 ÷ 1,800 = 32.5%で30%以上になるので、延人員で届け出られる。認知症加算は、実人員でも延人員でも15%以上(Q&A 問31の例も、実人員44.4%・延人員58.9%)。
前年度の実績で届け出る場合。2027年4月から新たに算定するなら、2026年4月〜2027年2月の平均で確かめ、2027年3月15日までに届け出る。新潟県は、翌年度も同じ加算を算定する事業所は手続き不要、算定しない事業所は速やかに届け出るよう案内している(2026年2月)。毎年3月に新しい前年度の数字で確かめ直す。
月あたりいくら増えるか(計算例)
次の前提はすべて仮定。割合は上の表のとおり要件を満たし、認知症介護実践者研修を修了した職員がいまの職員の中にいて、交代で提供時間を通じて勤務しているとする。
| 項目 | 仮定 |
|---|---|
| 事業所 | 通所介護(通常規模型)、1単位、提供時間7時間30分(7時間以上8時間未満)、月25日営業、地域区分「その他」(1単位10.00円) |
| 利用 | 延べ利用者600人日(毎日24人)、うち自立度Ⅲ以上の人の利用が120人日 |
| 常勤が勤務すべき時間数 | 月168時間 |
| 時給 | 介護職員1,500円、看護職員2,000円。法定福利費などを含めて1.15倍で計算 |
増える収入
| 加算 | 計算 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|---|
| 中重度者ケア体制加算 | 45単位 × 600人日 × 10.00円 | 270,000円 | 3,240,000円 |
| 認知症加算 | 60単位 × 120人日 × 10.00円 | 72,000円 | 864,000円 |
| 合計 | 342,000円 | 4,104,000円 |
1単位の単価は地域区分で変わり、通所介護の1級地は10.90円で、合計は月372,780円になる(地域区分と1単位の単価)。
加配に要る時間
| 項目 | 計算 | 時間 |
|---|---|---|
| 基準で確保すべき介護職員の時間(1日) | ((24 − 15)÷ 5 + 1)× 7.5時間 | 21.0時間 |
| 同(1か月) | 21.0時間 × 25日 | 525時間 |
| 加配2.0に要る時間 | 2.0 × 168時間 | 336時間 |
| 要る勤務延時間数(1か月) | 525時間 + 336時間 | 861時間 |
861時間は、介護職員と看護職員(提供時間を通じて置く看護職員を除く)の1か月の勤務延時間数で、延長加算のための時間は含めない。
3つのケースの損益
| ケース | いまの配置 | 足す人件費(月) | 損益(月) | 損益(年) |
|---|---|---|---|---|
| A いまの配置で満たす | 勤務延時間数861時間以上。常勤の看護職員が提供時間を通じて勤務 | 0円 | +342,000円 | +4,104,000円 |
| B 介護職員を足す | 勤務延時間数800時間(加配1.6)。看護職員はAと同じ | 61時間 × 1,500円 × 1.15 = 105,225円 | +236,775円 | +2,841,300円 |
| C 介護職員と看護職員を足す | 勤務延時間数700時間(加配1.0)。看護職員は1日4時間の非常勤 | 介護職員 161時間 × 1,500円 × 1.15 = 277,725円、看護職員 4時間 × 25日 × 2,000円 × 1.15 = 230,000円 | △165,725円 | △1,988,700円 |
Bの加配は(800 − 525)÷ 168 = 1.636…で1.6、Cは(700 − 525)÷ 168 = 1.041…で1.0(小数点第2位以下切り捨て)。Cは看護職員を1日8時間に延ばして提供時間を通じて置くが、その時間は加配に入らないので、介護職員の161時間は別に要る。
- 損益がゼロになる介護職員の追加時間は、342,000円 ÷(1,500円 × 1.15)= 約198時間(常勤換算で約1.2人分)。看護職員がすでに提供時間を通じているなら、足りない時間がこれより少なければ黒字になる
- 認知症加算だけを取る場合も加配の2.0は同じだけ要り、Bの事業所なら増収月72,000円で人件費105,225円に届かない。加配は2つの加算で共通に使えるので、取るなら2つ一緒に考える
- 処遇改善加算も、2つの加算の34,200単位に加算率がかかる。(Ⅰ)イ(通所介護11.1%)なら約3,796単位、月約38,000円増えるが、賃金改善に充てるので損益からは外した
- 利用者の負担は、1割負担の人で1回45円(中重度者ケア体制加算)と60円(認知症加算)増える(「その他」の場合)
割合を割ったまま算定した場合
前3か月の実績で届け出た事業所が、要介護3以上の割合が30%を割ったのに届け出ず、6か月算定を続けたとする。270,000円 × 6か月 = 1,620,000円が返還の対象になる(10割ベース)。留意事項通知は、届出をせずに請求した場合は不正請求となり、支払われた介護給付費は不当利得として返還すること、利用者が払った負担分も利用者に返すことを定めている(第一の5・6)。返還の手順は加算の返戻と過誤調整の手順にまとめている。
いまの配置で満たせれば月34万円の増収で、人を新たに足すと赤字にもなるんですね。
加算の額は同じでも、足す人件費で結果が逆になるんだ。この例だと、増収で賄える介護職員の時間は月約198時間だから、それより多く足すなら加算のためだけに人を増やすのは避けたほうがいいね。
うちの数字に置き換えるときは、どこを変えればいいですか?
延べ利用者数、自立度Ⅲ以上の人の延べ利用日数、いまの介護・看護職員の勤務時間、時給の4つだね。加算の額は加算算定シミュレーターで出せるから、勤務表から数えた加配の時間と並べてみよう。
実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)

12月から算定するなら、いつまでに何を出せばいいですか?
11月15日までに体制届を出せば、12月から算定できるよ。その前に、8〜10月の3か月の割合と加配の計算を済ませておこう。前3か月の実績で届け出たら、そのあとも毎月の割合の記録が要るんだ。
| 時期 | 作業 | 担当 | 帳票 |
|---|---|---|---|
| 届出の前 | 前3か月(または前年度)の割合を、実人員と延人員の両方で計算。自立度の根拠を確かめる | 生活相談員・請求担当 | 割合の計算書、認定情報、主治医意見書 |
| 届出の前 | 勤務実績から加配の常勤換算を計算。提供時間を通じた看護職員と研修修了者を日ごとの勤務表に置く | 管理者 | 勤務形態一覧表、研修の修了証の写し |
| 届出の前 | 2つのプログラムの目標を通所介護計画に書く。会議の年間計画を決める | 管理者・生活相談員 | 通所介護計画、会議の年間計画 |
| 算定を始める月の前月15日まで | 体制届を出す(通所介護は指定権者、地域密着型通所介護は市町村) | 事務長 | 体制等状況一覧表、別紙22・22-2、別紙23・23-2 |
| 算定を始める前 | ケアマネジャーに知らせ、提供票に加算を載せてもらう。利用者に料金の変更を説明 | 生活相談員 | 重要事項説明書、料金表 |
| 定期(頻度は事業所で決める) | 認知症ケアの事例検討・技術的指導の会議 | 管理者 | 議事録 |
| 毎月末 | 直近3か月の割合を計算して記録(前3か月の実績で届け出た場合) | 生活相談員 | 割合の記録表 |
| 毎月末 | 加配が常勤換算2.0以上か、看護職員・研修修了者がいなかった日がないかを確かめ、いなかった日は請求から外す | 管理者・請求担当 | 勤務実績、請求明細 |
| 割合や加配を割ったとき | 直ちに届け出て、算定されなくなった事実が生じた日から算定しない | 事務長 | 体制等状況一覧表(変更・終了) |
| 毎年3月 | 前年度(4月〜2月)の平均で、翌年度も算定できるかを確かめる | 事務長 | 年度の割合の計算書 |
別紙の番号は国の様式例(令和6年6月)のもので、指定権者によって違うことがある。届出書の備考は、要件を満たすことが分かる根拠書類を準備し、求められたら速やかに出すよう求めている。届出が15日以前なら翌月から、16日以降なら翌々月から算定できる(体制届の提出期限と算定開始日)。
新しく開設した事業所は、前年度の実績が6か月に満たないので前3か月の実績で届け出る。2026年4月に開設したなら、4〜6月の実績で7月15日までに届け出て8月から算定する形になる(前3か月の実績で4月15日以前に届け出れば5月から算定できる、とする平成27年Q&A 問27と同じ考え方)。
加配の常勤換算は、勤務表を組む段階で月の見込みを出し、月末に実績で確かめる。日ごとの必要時間は常勤換算・人員基準チェッカーで出せる。根拠書類と確認の頻度を1枚にまとめる方法は加算の算定管理の仕組み化にまとめている。
よくあるつまずき
総合事業の要支援の方も同じフロアで過ごしています。割合の分母に入れますか?
入れないんだ。留意事項通知が、要支援者は人員数に含めないとしているよ。分母に入れると割合が下がって、取れるはずの加算をあきらめることになりかねないね。
看護職員が休んだ日は、どうなりますか?
提供時間を通じて置く看護職員がいない日は、中重度者ケア体制加算をつけないでおこう。認知症加算の研修修了者も同じで、対象の人が来る日にいなければ算定できないとQ&Aにあるよ。日ごとの配置を請求の前に確かめておくと安心だね。
- 割合の分母に要支援者を入れる。総合事業の利用者は分母にも分子にも入れない。実人員で届かなくても、延人員で満たせば届け出られる
- 提供時間を通じて置く看護職員の時間を加配に数える。数えない(平成27年Q&A 問37)。生活相談員や機能訓練指導員として働いた時間、延長加算のための時間も入れない
- 提供時間を通じて置く看護職員に、ほかの役目を兼ねさせる。認知症加算の研修修了者は別に置き(問26)、個別機能訓練加算の専従の機能訓練指導員も同じ営業日は兼ねられない(令和3年度Q&A Vol.3 問59)
- 看護職員や研修修了者がいない日も算定する。研修修了者は問34、看護職員は埼玉県の案内が、配置していない日は算定できないとしている
- 認知症介護基礎研修の修了者を研修修了者に数える。数えられるのは実践者研修・実践リーダー研修・指導者養成研修と、認知症看護に係る適切な研修
- 自立度を現場の印象で決める。医師の判定結果か主治医意見書、なければ認定調査票が根拠
- 前3か月の実績で届け出たあと、毎月の計算をやめる。毎月の維持と記録が要り、割ったら直ちに届け出る
- 会議やプログラムの記録がない。議事録と通所介護計画の目標が、要件を満たしている証拠になる
経理・管理側の視点
経営会議では、この2つの加算をどう説明すればいいですか?
「中重度や認知症の人を受け入れる体制の費用を、一部まかなう加算」と説明するといいよ。加算のために人を増やすというより、受け入れの方針と人の配置が先にあって、加算はその結果で決まるものなんだ。
国の集計(2025年10月サービス提供分)では、算定している事業所の割合は、通所介護で中重度者ケア体制加算16.0%(3,864事業所)・認知症加算7.6%(1,839事業所)、地域密着型通所介護で2.0%(360事業所)・2.8%(495事業所)だった。通所介護の入浴介助加算(Ⅰ)の89.8%と比べると、取っている事業所は少ない。計算例のとおり、加配と看護職員を新たに雇って取ると赤字になりやすい。逆に、いまの配置ですでに加配の多くを満たしている事業所なら、増収のほとんどがそのまま残る。
まず確かめるのは、いまの配置で加配が常勤換算でいくつあるか。入浴や送迎のために基準より多く職員を置いている事業所は、勤務実績から基準で要る介護職員の時間を引いて、実際に計算してみる。2.0に届いていなければ、足りない時間の人件費と増収を並べて判断する。毎月見る数字は、加配の常勤換算、要介護3以上と自立度Ⅲ以上の割合、日ごとの看護職員と研修修了者の配置の3つ。
ほかの加算への波及も見ておく。加配のために介護福祉士の資格のない職員を増やすと、サービス提供体制強化加算の介護福祉士の割合(分母は介護職員)が下がることがある(サービス提供体制強化加算の区分判定)。1回あたりの単価と人件費の両方が動くので、事業所全体の損益はデイサービスの経営と黒字ラインの計算に入れて確かめるとよい。
2027年度改定に向けては、第258回介護給付費分科会(2026年6月15日)の論点に、中重度者や認知症高齢者を含む利用者の幅広いニーズに対応できる質の高いサービスの方策と、算定率が低い加算・高い加算の扱いが挙がった。2つの加算はどちらにも関わるので、議論の行方を見ておく(2027年度介護報酬改定のスケジュール)。
まずは勤務表で、いまの加配が常勤換算でいくつあるかを数えてみます。
それが最初の一歩だね。割合は実人員と延人員の両方で出して、足りない時間の人件費と増収を並べてから決めよう。
出典
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)通所介護費 注11・注15・注16ほか
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)地域密着型通所介護費 注14・注18・注19・注25
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第15号・第17号・第31号・第51号の4・第51号の6・第51号の8の2
- 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第16号・第35号の5
- 厚生労働大臣が定める一単位の単価(平成27年厚生労働省告示第93号)
- 留意事項通知(老企第36号)第一の1(6)・第一の5・第一の6
- 留意事項通知(老企第36号)平成27年度改正の新旧対照表 第二の7(8)・(10)
- 介護保険最新情報 Vol.934 留意事項通知の一部改正(令和3年3月16日)
- 留意事項通知(老企第36号)令和6年度改正の新旧対照表 第二の7(11)・(15)
- 介護保険最新情報 Vol.1213 留意事項通知の一部改正(令和6年3月15日)老計発第0331005号ほか 第二の3の2(11)・(15)
- 平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)問25〜問31、問33、問34、問36〜問39
- 令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)(令和3年3月26日)問57・問59
- 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)問17・問18・問21
- 令和3年度介護報酬改定における改定事項について(2.(1)①)
- 令和6年度介護報酬改定における改定事項について(1.(7)③)
- 介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について(老発0315第1号 令和6年3月15日)
- 同 別紙一式(令和6年6月)別紙22・22-2・23・23-2
- 社会保障審議会介護給付費分科会 第258回(令和8年6月15日)資料1
- 埼玉県 中重度者ケア体制加算及び認知症加算の職員配置について
- 新潟県 令和8年度の「中重度者ケア体制加算」の届出における留意点について(令和8年2月17日)
記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。
