制度・改定

2027年度介護報酬改定のスケジュール全体像|事業所が「いつ・何を」判断するか

結論(この記事でわかること)

ミナ

施設長から「2027年の改定に備えて準備しておいて」と言われました。でも、何がいつ決まるのかも分からなくて、何から手を付ければいいのか…。

ジムチョー

決まる順番は2段階なんだ。2026年12月に改定率、2027年1月末前後の答申で単位数と加算。それまでは論点しか分からない。だから今やることは「準備の枠を作る」の1つで大丈夫だよ。

2027年度(令和9年度)介護報酬改定は、2027年4月1日施行。事業所の事務長・経営者が動くタイミングは4つ。

時期出来事事業所がすること
2026年秋〜冬分科会の第2ラウンド。加算・単位数の具体的な議論自社に関係する論点を洗い出し、影響額の試算の枠を作る
2026年12月政府予算案で改定率が決まる改定率を自社の売上にかけて、収支の増減を概算する
2027年1月末前後答申。新設・廃止・変更される加算と単位数が確定加算ごとの影響額を計算し、体制届と規程の変更を決める
2027年3月告示・通知・Q&A。介護ソフトの単価更新体制届の提出、ソフトの設定更新、利用者への説明

速報を追う必要はない。改定の中身を追うメディアは他にある。このサイトでは、改定が自社の収支にいくら効くかを計算する側に立つ。2027年改定 影響額シミュレーターは、答申前は改定率のシナリオで増減額の幅を、答申後はサービス別の改定率と加算の見直しで増減額を出せる。

改定までのスケジュール

ミナ

分科会って、今どこまで進んでいるんですか?

ジムチョー

4月末に始まって、9月までにサービスごとの課題を一通り見終えたところだね。9月中旬には事業者団体からの意見も聞いている。秋からが「第2ラウンド」で、ここから加算や単位数の話が具体的になっていくよ。

時期段階内容
2026年4月27日審議開始社会保障審議会介護給付費分科会で2027年度改定の議論が本格化
2026年5〜9月第1ラウンドサービス種別ごとの課題と方向性を審議(当初は秋以降の予定が前倒し)。8月28日に処遇改善と生産性向上、9月3日に認知症対応・医療介護連携・LIFE・口腔栄養・多床室の室料負担
2026年9月10〜16日関係団体等意見交換会介護事業者団体などからの意見聴取を3回
2026年秋〜12月第2ラウンド個別の報酬・加算の審議。論点が具体化する
2026年12月改定率の決定政府予算案の編成で改定率(プラスかマイナスか、何%か)が決まる
2027年1月審議報告・諮問分科会が審議報告をまとめ、厚労大臣が諮問
2027年1月末前後答申新しい単位数と加算の要件が確定
2027年2〜3月告示・通知報酬告示、留意事項通知、Q&A、体制届の様式が出る
2027年4月1日施行新報酬での算定開始。5月請求から新単位数

上の表は2026年9月22日時点(第267回・9月16日開催まで)の開催状況に基づく。第2ラウンド以降の日程は分科会の開催ごとに更新される。

議論されている論点

2026年5月に示された大きな論点は4つに整理できる。8〜9月の分科会ではこの4つに沿って、処遇改善と生産性向上(8月28日)、認知症対応・医療介護連携・人生の最終段階のケア・LIFE・口腔栄養・多床室の室料負担(9月3日)が個別に取り上げられた。

1. 地域差への対応と人員要件の柔軟化

中山間地域での人員要件の緩和、訪問介護で月単位の定額払いを選べる包括的な評価の検討。訪問介護の基本報酬が2024年度に引き下げられた経緯があり、地域によって事業所の撤退が続いていることへの対応。

2. 独居高齢者とケアマネジャーの確保

独居高齢者の支援、ケアマネジャーの確保策、有料老人ホームの規制強化。居宅介護支援の逓減制や、ケアマネジャーの業務範囲の整理が絡む。

3. 生産性向上とLIFEの評価の転換

ICT・介護ロボットを活用した生産性向上の評価拡大。LIFEについては「データを入力したか」から「フィードバックを活用したか」への評価の転換が示されている。科学的介護推進体制加算や個別機能訓練加算(Ⅱ)などLIFE関連加算の要件が変わる可能性がある。

4. 利用者負担と給付範囲

2割負担の対象拡大、多床室の室料負担、ケアプラン(居宅介護支援)の利用者負担の検討。軽度者の生活援助や通所介護を市町村の地域支援事業へ移す議論も再燃している。これらは介護保険部会(制度改正)の論点で、報酬改定と並行して進む。

横断的には、介護人材の処遇改善、経営の協働化・大規模化、医療機関との連携強化、人員配置基準の柔軟化が継続して議論されている。

ミナ

論点が多すぎて、どれがうちに関係あるのか分かりません。

ジムチョー

全部を追わなくていいよ。自社のサービス種別に効くものだけ拾えば、たいてい2つか3つに絞れる。論点は審議の進行で変わるから、サービス別の整理は2027年度改定の主要論点まとめで扱って、10月の論点公表後に更新していこう。

収支への影響を先に計算しておく

ミナ

改定率が出たら、売上にかければ影響が分かりますよね?

ジムチョー

全体の増減はそれで出るよ。ただ改定率は全サービスの平均だから、うちのサービスがどう動くかはまた別なんだ。

2024年度改定を例にすると、全体の改定率は+1.59%(介護職員の処遇改善分+0.98%、その他+0.61%)だったが、訪問介護・定期巡回・夜間対応型訪問介護・訪問リハビリテーションの基本報酬は引き下げられ、処遇改善加算の一本化で加算率は上がった。通所介護は基本報酬が上がった。同じ改定率でも、訪問介護と通所介護では収支の方向が逆になった。

ミナ

同じプラス改定なのに、訪問介護は基本報酬がマイナスだったんですね。

ジムチョー

そうなんだ。だから準備の中身は「うちの売上の内訳を単位数で持っておく」ことになる。改定率と単位数が出た瞬間に、それを掛けるだけで済むようにしておこう。

準備するもの内容時期
売上の内訳サービス種別ごとの月間所定単位数、加算ごとの月間単位数2026年中
影響額の計算枠基本報酬の増減率と加算の単位数を入れれば月額が出る表2026年12月まで
処遇改善加算の再計算加算率が変われば賃金改善の配分も変わる答申後
体制届の見直し一覧新設・変更される加算のうち自社が取れるもの答申後

自社の月間所定単位数を先に把握しておけば、答申の翌日に「うちはいくら変わる」と言える。処遇改善加算シミュレーターの入力値がそのまま使える。

実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)

ジムチョー
時期作業担当帳票
2026年10月自社に関係する論点を一覧にする事務長論点一覧(サービス別)
2026年11月サービス別・加算別の月間単位数を集計経理請求実績(介護ソフトの集計)
2026年12月改定率で収支の概算事務長影響額試算表
2027年1月末答申で加算ごとの影響額を確定。処遇改善の配分を再計算事務長・経理影響額試算表、処遇改善計画の見直し
2027年2月体制届の準備、規程・契約書・重要事項説明書の改定事務長・管理者体制等届出書、重要事項説明書
2027年3月体制届の提出(期限は厚労省・指定権者の特例に従う)、介護ソフトの単価更新の確認事務長・請求担当体制等状況一覧表、ソフトの設定
2027年4月新単価でのサービス提供。利用者への説明管理者重要事項説明書の同意
2027年5月新単位数での初回請求。返戻の確認請求担当請求明細

よくあるつまずき

ミナ
ミナ

答申が出てから集計を始めるのでは遅いですか?

ジムチョー

それだと間に合わないんだ。答申から施行まで2ヶ月しかなくて、その間に体制届と規程の改定と利用者への説明が全部来る。集計は2026年のうちに済ませておこう。

  • 改定率だけで判断する。全体がプラスでも自社のサービスはマイナスということが起きる。サービス別の基本報酬と加算で見る
  • 答申を待ってから集計を始める。答申から施行まで2ヶ月しかない。所定単位数の集計と計算の枠は2026年中に作っておく
  • 体制届の期限を通常の15日と思い込む。改定年度は届出期限が特例で設定される(前回は4月15日など)。厚労省と指定権者の案内を確認する
  • 重要事項説明書の改定と同意を忘れる。単位数が変われば利用料も変わる。4月のサービス提供前に同意が必要
  • 介護ソフトの単価更新を確認しない。ベンダーの更新が遅れると4月分の請求が返戻になる。更新日と反映内容を確認する
  • 処遇改善加算の配分を据え置く。加算率が変われば加算総額が変わる。計画書の見込額と賃金改善の配分を4月15日の提出までに再計算する

経理・管理側の視点

ジムチョー

改定は3年に1度の「価格改定」で、事業所は価格を選べないんだ。できるのは、改定で増える加算を取りに行くか、減る部分をどう補うかの判断だけ。その判断を答申の翌週にできるかどうかは、自社の売上の内訳を単位数で把握しているかで決まるよ。

ミナ

まずは、うちの売上の内訳を単位数で出すところからですね。

ジムチョー

それができれば、答申の翌日に「うちはいくら変わる」と言えるようになるよ。

2027年度改定は、2026年6月の処遇改善加算の再編を受けた最初の本改定になる。処遇改善の加算率がさらに動く可能性があり、賃金改善の配分を毎年見直す前提で規程を作っておく。

出典

記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。