認知症専門ケア加算とは?算定要件・単位数と訪問介護の割合の数え方、研修修了者の人数

結論(この記事でわかること)
ミナ認知症専門ケア加算の単位数と要件を、まず教えてください。
ジムチョー(Ⅰ)が1日3単位、(Ⅱ)が1日4単位なんだ。要件は2つの数字で決まるよ。対象者の割合が2分の1以上であること(訪問系の(Ⅱ)だけ100分の20以上)と、認知症介護実践リーダー研修などの修了者の人数だね。
ミナ加算の額そのものより、研修修了者を切らさないことのほうが大事、ということですね。
ジムチョーそういうことだね。修了者が1人辞めただけで、その日から必要数を割ることがあるんだ。修了者の在籍と必要数は、毎月確かめるようにしよう。
認知症専門ケア加算は、(Ⅰ)が1日3単位、(Ⅱ)が1日4単位(定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護の月額の包括報酬は、月90単位・月120単位)。対象となる利用者に対してのみ算定するので、特養80人のうち対象者50人なら(Ⅰ)で月45,000円、(Ⅱ)で月60,000円(その他地域、月30日で計算)。訪問介護では対象者20人が月8日利用しても月4,800円(その他地域)で、単体では小さい。
| 項目 | (Ⅰ) | (Ⅱ) |
|---|---|---|
| 単位数 | 3単位/日(月額の包括報酬は90単位/月) | 4単位/日(月額の包括報酬は120単位/月) |
| 対象者の割合 | 施設系・居住系・短期入所系は日常生活自立度Ⅲ以上が利用者の2分の1以上。訪問系はⅡ以上が2分の1以上 | 施設系・居住系・短期入所系は(Ⅰ)と同じ。訪問系はⅢ以上が100分の20以上 |
| 研修修了者 | 認知症介護実践リーダー研修などの修了者を、対象者20人未満で1人以上、20人以上は1人に19人を超えて10人(端数も)ごとに1人を加えた数以上 | (Ⅰ)に加えて、認知症介護指導者養成研修などの修了者を1人以上 |
| 会議・計画 | 認知症ケアの留意事項の伝達や技術的指導の会議を定期的に開催 | 会議に加えて、介護職員・看護職員ごとの研修計画を作って実施(予定を含む) |
| 体制届の期限 | 訪問系は算定を始める月の前月15日まで。施設系・居住系・短期入所系は算定を始める月の1日まで | 同じ |
押さえる点は3つ。
- 訪問系の割合は、前3か月のうち「いずれかの月」で基準を満たせばよい。2024年4月18日の留意事項の改正で、それまでの「前3か月の平均」から変わった。施設系・居住系・短期入所系は、前3か月の各月末時点の人数の平均
- 研修修了者を切らさない。退職して必要数を割った日から算定できないので、加算額より研修修了者の育成計画の管理が実務の中心になる
- 通所介護・地域密着型通所介護は対象外。認知症加算が対応する
なお、2026年6月施行の令和8年度介護報酬改定(期中改定)は処遇改善加算の拡充と食費の基準費用額の引上げが柱で、この加算の単位数と要件は2024年度改定のまま(2026年11月時点)。2027年度改定でこの加算の見直しが決まったという情報は、11月6日時点で確認できていない(改定2027の論点まとめ)。
単位数と対象サービス

通所介護は、この表に入っていないんですね。
通所介護は、認知症加算のほうで対応するんだ。認知症対応型通所介護には、この加算も認知症加算もないよ。グループホームは表に入っているから、算定できるんだ。
| サービス | (Ⅰ) | (Ⅱ) | 対象者の要件 |
|---|---|---|---|
| 訪問介護、訪問入浴介護 | 3単位/日 | 4単位/日 | 算定できる利用者は(Ⅰ)が日常生活自立度Ⅱ以上、(Ⅱ)がⅢ以上。割合は(Ⅰ)がⅡ以上で2分の1以上、(Ⅱ)がⅢ以上で100分の20以上 |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護 | 月額の包括報酬は90単位/月、サービス提供ごとの報酬は3単位/日 | 月額の包括報酬は120単位/月、サービス提供ごとの報酬は4単位/日 | 訪問介護と同じ |
| 特養、地域密着型特養、老健、介護医療院、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設、地域密着型特定施設、グループホーム | 3単位/日 | 4単位/日 | 日常生活自立度Ⅲ以上が利用者の2分の1以上 |
(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できない。介護予防のサービスにも同じ加算がある。
通所介護と地域密着型通所介護には認知症専門ケア加算はなく、認知症加算(60単位/日)が対応する。要件は、通常の配置に加えて看護職員または介護職員を常勤換算で2以上確保すること、前年度または算定日が属する月の前3か月の利用者のうち、日常生活に支障を来すおそれのある症状や行動があり介護を必要とする認知症の人が100分の15以上であること(2024年度改定で緩和)、専門的な研修の修了者を通所介護を行う時間帯を通じて1名以上配置すること、認知症ケアの事例検討や技術的指導の会議を定期的に開くこと(2024年度改定で新設)。割合の数え方と加配の損益は中重度者ケア体制加算・認知症加算(通所介護)にまとめた。
2024年度改定で変わったこと(訪問系)
訪問系は、日常生活自立度Ⅱの人にも専門的なケアを行うことを評価する趣旨で、利用者の受入れに関する要件が見直された。
| 項目 | 2024年3月まで | 2024年4月から |
|---|---|---|
| (Ⅰ)の対象者の割合 | 日常生活自立度Ⅲ以上が利用者の2分の1以上 | Ⅱ以上が利用者の2分の1以上 |
| (Ⅱ)の対象者の割合 | (Ⅰ)と同じ(Ⅲ以上が2分の1以上) | Ⅲ以上が100分の20以上 |
| 割合の数え方 | 前3か月の平均 | 前3か月のうち、いずれかの月(2024年4月18日の改正。4月の算定分から適用) |
| 単位数 | (Ⅰ)3単位/日、(Ⅱ)4単位/日 | 変更なし |
認知症チームケア推進加算との関係
認知症チームケア推進加算と専門ケア加算は、両方取れるんですか?
どちらか一方だけなんだ。告示の注に、片方を算定しているときはもう片方を算定しないと書いてあるよ。単位が大きいからと選ぶのは避けたほうがいいね。要件の重さが違うから、満たせるほうを選ぼう。
認知症チームケア推進加算は、認知症の行動・心理症状(BPSD)の予防と早期対応のためのチームケアを評価する、2024年度改定で新設された加算。
| 項目 | 認知症専門ケア加算 | 認知症チームケア推進加算 |
|---|---|---|
| 対象サービス | 上の表のサービス | 特養、地域密着型特養、老健、介護医療院、グループホーム |
| 単位数 | (Ⅰ)3単位/日(30日で月90単位)、(Ⅱ)4単位/日(同120単位) | (Ⅰ)150単位/月、(Ⅱ)120単位/月 |
| 対象者と割合 | 施設系・居住系は日常生活自立度Ⅲ以上が2分の1以上 | Ⅱ以上が2分の1以上 |
| 研修修了者 | (Ⅰ)は実践リーダー研修の修了者、(Ⅱ)はこれに加えて指導者養成研修の修了者 | (Ⅰ)は指導者養成研修、(Ⅱ)は実践リーダー研修の修了者。どちらも認知症チームケア推進研修の修了が要る |
| 求める取組 | 会議の定期開催。(Ⅱ)は研修計画 | 対象者1人につき月1回以上のカンファレンスと、評価指標を使った個別の評価・計画 |
算定要件

研修修了者は1人いれば大丈夫ですか?
対象者が20人未満なら1人でいいけれど、20人以上は増えていくんだ。対象者50人なら5人必要になる。それと、修了者は主として勤務する事業所1か所でしか数えられないよ。
対象者の割合は、その月の人数だけで見ればいいですか?
前3か月で見るんだけど、数え方が違うんだ。訪問系は3か月のうちどれか1か月で基準を満たせばよくて、施設系は3か月の平均で見るよ。届出のあとも毎月、割合を計算して記録しておこう。
(Ⅰ)
| 要件 | 内容 | 残す記録 |
|---|---|---|
| 対象者の割合 | 利用者の総数のうち対象者が2分の1(50%)以上。対象者は、訪問系が日常生活自立度Ⅱ以上、施設系・居住系・短期入所系がⅢ以上 | 割合の計算書、自立度の根拠(医師の判定結果・主治医意見書。判定がなければ認定調査票) |
| 研修修了者の配置 | 認知症介護実践リーダー研修(または認知症看護に係る適切な研修)の修了者を、対象者20人未満で1人以上、20人以上は1人+(対象者−19)÷10(端数切り上げ)人以上 | 修了証の写し、勤務形態一覧表 |
| 専門的な認知症ケア | 研修修了者を配置し、チームとして専門的な認知症ケアを実施 | ケア記録(研修修了者が関わった場面が分かるもの) |
| 認知症ケアの会議 | 認知症ケアに関する留意事項の伝達・技術的指導のための会議を定期的に開催 | 議事録 |
対象者の割合の数え方(訪問系と施設系で違う)
| サービス | 数え方 |
|---|---|
| 訪問介護、訪問入浴介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護 | 算定日(届出書は届出日)が属する月の前3か月のうち、いずれかの月で基準を満たせばよい。利用者数は利用実人員数と利用延人員数のどちらで数えてもよい。訪問入浴介護は要支援者も数に含める。定期巡回・夜間対応型の包括報酬は、その月に報酬を算定する利用実人員数だけで数える。実人員数で数えるとき、月の途中で自立度が変わった人は月末の区分で数える |
| 施設系・居住系・短期入所系 | 届出日が属する月の前3か月の、各月末時点の利用者または入所者の数の平均(届出書 別紙12-2 の注)。自治体が数え方を別に案内しているときは、指定権者の案内に合わせる |
訪問系は、届出のあとも割合を毎月記録し、直近3か月のいずれも基準を下回ったときは直ちに届出(変更・終了)を出す(老企第36号 第2の2(24)②)。Q&A(令和6年度 Vol.4 問2)の図では、基準を満たした月の翌月から3か月は算定できる。続けて算定するには、3か月に1回は基準を満たす月が要る。
(Ⅱ)で追加
| 要件 | 内容 | 残す記録 |
|---|---|---|
| 対象者の割合(訪問系のみ) | 日常生活自立度Ⅲ以上の対象者が利用者の100分の20以上。(Ⅰ)の「Ⅱ以上が2分の1以上」はこの割合に置き換わる | 割合の計算書 |
| 指導者研修修了者 | 認知症介護指導者養成研修(または認知症看護に係る適切な研修)の修了者を1人以上配置し、事業所・施設全体の認知症ケアの指導等を実施 | 修了証の写し、指導の記録 |
| 研修計画 | 介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、計画に従い研修(外部研修を含む)を実施または実施を予定 | 研修計画、受講記録 |
(Ⅱ)は、(Ⅰ)の要件(訪問系は割合を除く)をすべて満たしたうえで、上の表の要件を加える。
研修修了者として数えられる人
数えられるのは次の人。どれに当たるかは、Q&A(令和6年度改定Vol.1 問17〜問23、問26)と届出書の備考に書いてある。
| 研修 | 加算での扱い |
|---|---|
| 認知症介護実践リーダー研修(旧「痴呆介護研修事業」の専門課程の修了者を含む) | 必要人数に数える |
| 認知症看護に係る適切な研修(日本看護協会の認定看護師教育課程「認知症看護」、看護系大学院の「老人看護」「精神看護」の専門看護師教育課程、日本精神科看護協会の「精神科認定看護師」(認定証が発行されている人に限る)) | 実践リーダー研修修了者と指導者養成研修修了者の両方として数えられる |
| 認知症介護指導者養成研修 | (Ⅱ)で1人以上要る。平成20年度以前に修了した人は、実践リーダー研修を受けていなくても実践リーダー研修修了者とみなされる |
| 自治体が実施または指定する研修のうち、カリキュラムと講師が審査されて適当と判断されたもの(例は介護福祉士ファーストステップ研修) | 実践リーダー研修として認められる |
| 認知症介護基礎研修・認知症介護実践者研修 | 数えない。通知が研修修了者としているのは上の研修で、実践者研修は実践リーダー研修の受講条件になる |
(Ⅱ)は、実践リーダー研修と指導者養成研修の両方を修了した人(または認知症看護に係る適切な研修の修了者)が1人いれば、対象者20人未満の事業所で算定できる。対象者が20〜29人なら実践リーダー研修修了者等が2人、30〜39人なら3人が要り、指導者は1人のままでよい。指導者は施設長や管理者が兼ねてもかまわず、職務や資格は問われない(Q&A 問20)。
研修修了者は常勤でなくてもよいが、加算の対象事業所の職員で、「主として勤務する事業所」1か所でしか数えられない(Q&A 問19)。
認知症ケアの会議は、テレビ電話装置等を使って開いてもよいとされている。サービス提供体制強化加算や特定事業所加算などの会議と同じ日に開く場合も、認知症ケアの技術的指導を検討内容に含めて全従業者が参加すれば、両方の会議を開催したものと扱える(訪問介護・通所介護・短期入所などの場合。Q&A 問24)。開催の頻度は告示に定めがないので、事業所で決めて年間計画に入れておく。
月あたりいくら増えるか(計算例)
特養(80人、対象者50人)
特養80人のうち、日常生活自立度Ⅲ以上の対象者が50人(62.5%)と仮定する。単価はその他地域の10.00円、月30日で計算する。
| 項目 | 計算 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|---|
| (Ⅰ) | 3単位 × 50人 × 30日 × 10.00円 | 45,000円 | 540,000円 |
| (Ⅱ) | 4単位 × 50人 × 30日 × 10.00円 | 60,000円 | 720,000円 |
| 必要な研修修了者(Ⅰ) | 1 + (50 − 19) ÷ 10 = 1 + 3.1 → 1 + 4 = 5人(端数は切り上げ) |
19人を超える分は31人で、10人ごと(端数を含む)に1人なので4人、1人と合わせて5人。届出書(別紙12・12-2)の早見表でも、対象者50人以上60人未満は5人以上と書いてある。(Ⅱ)は、このほかに指導者養成研修の修了者が1人要る。
訪問介護の対象者の割合(前3か月のうち、いずれかの月)
訪問介護の事業所で、利用実人員数で数える例。利用者の人数と、日常生活自立度Ⅱ以上の人数を次のとおり仮定する。11月に(Ⅰ)を届け出る場合で、届出日が属する月の前3か月は8〜10月になる。
| 月 | 利用者(実人員) | うちⅡ以上 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 8月 | 40人 | 19人 | 47.5% |
| 9月 | 42人 | 20人 | 47.6% |
| 10月 | 41人 | 21人 | 51.2% |
10月が2分の1以上なので、(Ⅰ)の割合の要件は満たす。3か月を平均すると60人 ÷ 123人 = 48.7%で、「平均」で数えていたら届け出られない数字になる。11月15日までに届け出れば12月から算定でき、12月・1月の前3か月にも10月が入っている。2月分からも算定するには、11〜1月のどこかの月でも基準を満たす必要がある。研修修了者は対象者(Ⅱ以上)の数で数えるので、10月の21人なら 1 + (21 − 19) ÷ 10 → 1 + 1 = 2人になる。
同じ数字でも、平均で数えると届出できなくて、いずれかの月で数えると届出できるんですね。
そうなんだ。古い解説の「前3か月の平均」のまま計算すると、算定できる月を取り逃がすことがあるよ。届出の前に、基準を満たす月があるか、実人員と延人員の両方で数えてみよう。
研修費用との比較
認知症介護実践リーダー研修の標準は、講義・演習31時間と、課題設定240分・職場実習4週間・実習のまとめ420分の実習(老認発0314第1号の別紙)。日程と受講料は実施主体ごとに違う。令和8年度は、鹿児島県が7月8日〜8月26日で受講料49,000円(テキスト代は別に税込3,300円)、大阪府の案内は講義・演習7日間と自施設実習6週間だった。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 受講料(1人、鹿児島県の令和8年度の例) | 49,000円 |
| テキスト代(同、税込) | 3,300円 |
| 受講中の人件費(講義・演習7日 × 日給15,000円と仮定) | 105,000円 |
| 1人分の合計 | 157,300円 |
| 5人分の合計 | 786,500円 |
| (Ⅰ)の年額 | 540,000円 |
職場実習は自施設で行うので、ここでは現場を離れる日数に入れていない(課題や実習のまとめに割く時間は別にかかる)。初年度は研修費用の786,500円が(Ⅰ)の年額540,000円を246,500円上回り、2年目に入ると加算の累計(1,080,000円)で回収できる計算になる。(Ⅱ)は年額が18万円多いが、指導者養成研修の受講料が別にかかる(埼玉県の令和8年度は230,000円で、受講には実践リーダー研修の修了が要る)ので、受講料だけで1年分の上乗せを上回る。訪問介護の例(対象者21人が月8日利用)では、(Ⅰ)は月5,040円・年60,480円で、必要な修了者2人の研修費用(上の単価で314,600円)の回収に5年以上かかる。
受講できる人にも条件がある。介護業務に概ね5年以上従事し、ケアチームのリーダー(またはその予定)で、認知症介護実践者研修を修了して1年以上たった人が対象になる(令和9年3月31日までは、介護福祉士の資格を取得してから10年以上かつ実務経験1,800日以上の人も対象)。鹿児島県の例では、全日程に出席できることも条件で、遅刻・欠席は認められない。
5人育てると約79万円かかって、(Ⅰ)の加算は年54万円。初年度は赤字ですね。受講料より、受講中の人件費のほうが大きいことにも驚きました。
2年目から回収に入る計算だね。人件費が大きいのは、受講のあいだ現場を離れるからなんだ。シフトの穴をどう埋めるかを受講計画と一緒に考えて、加算単体で判断せずに人材育成の投資として見るといいよ。
実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)

研修の申込は、いつ頃すればいいですか?
募集の時期は都道府県によって違うんだ。年度初めに誰をいつ出すかの計画を作っておいて、募集が出たらすぐ申し込めるようにしておこう。
修了者の退職が決まったときは、事務長が必要数を確かめるんですね。
そうなんだ。満たさなくなるなら、速やかに届出を出すことになるよ。届け出ずに算定を続けると返還になるから、決まったその日に確かめよう。
| 時期 | 作業 | 担当 | 帳票 |
|---|---|---|---|
| 毎月末 | 対象者(自立度Ⅲ以上、訪問系はⅡ以上)の人数と割合を計算。訪問系は前3か月のうち基準を満たす月があるか、施設系・居住系・短期入所系は前3か月の各月末時点の平均を確認 | 相談員 | 割合の計算書、認定情報 |
| 毎月末 | 研修修了者の在籍と必要数を確認 | 管理者 | 修了者一覧、勤務形態一覧表 |
| 年度初め | 研修の受講計画(誰を、いつ、どの研修に)を作成 | 施設長 | 研修計画 |
| 研修の募集時期(都道府県による) | 受講申込 | 管理者 | 申込書 |
| 定期(頻度は事業所で決める) | 認知症ケア会議の開催と議事録 | 管理者 | 議事録 |
| 前月15日(訪問系)、算定を始める月の1日(施設系)まで | 体制届の提出 | 事務長 | 体制等状況一覧表、認知症専門ケア加算に係る届出書(別紙12・12-2) |
| 修了者の退職が決まった日 | 必要数を満たさなくなる日を確認。満たさなくなる場合は、その旨の届出を速やかに提出 | 事務長 | 体制等状況一覧表(変更・終了の届出) |
届出書には、要件を満たすことが分かる根拠書類(修了証の写しや割合の計算書など)を準備しておき、指定権者から求められたら速やかに出すよう書いてある。体制届の期限の詳しい考え方は、体制届の提出期限と算定開始日の関係にまとめている。地域密着型サービスは、期限を市町村の案内で確かめる。毎月の割合と修了者の確認は、ほかの加算の期限と同じ台帳で持つと漏れにくい(加算の算定管理の仕組み化)。
研修の募集と申込は、都道府県(または指定都市)が決めた実施主体ごとに行う。令和8年度は、岐阜県の研修センターが3月18日〜4月15日、鹿児島県が5月8日必着の締切だった。鹿児島県は受講申込書に法人印が要るので、決裁の日数も見込む。
よくあるつまずき
対象者かどうかは、現場の職員の判断でいいですか?
日常生活自立度は、医師の判定結果か主治医意見書の記載が根拠なんだ。医師の判定がなければ認定調査票を使うよ。根拠書類は指定権者から求められたら速やかに出すことになっているから、根拠を揃えておこう。
(Ⅱ)の研修計画を、介護職員と看護職員をまとめた1枚の計画表で作っている場合は?
告示は「介護職員、看護職員ごとの」計画と書いているから、職種ごとに分けておくと安心だね。受講する人と時期が分かるようにして、実施の記録もそろえておこう。一人ずつの計画まで必要かは、指定権者に確かめるといいよ。
- 対象者の割合を利用者の主観で決める。根拠は医師の判定結果・主治医意見書(なければ認定調査票)の記載
- 訪問系の割合を「前3か月の平均」で計算している。2024年4月18日の改正で「前3か月のうち、いずれかの月」になった。平均で見ると、算定できる月を取り逃がす
- 届出の時点で割合が要件に合っていなかった。事後調査で分かり、指導しても改善されないと、届出の受理が取り消されて加算全体が無効になり、受け取った介護給付費は返還になる。改善された場合も、判明するまでに算定した分は返還になる(老企第36号 第一の4)。届出の前に割合の計算書を作って保存する
- 研修修了者の必要数を1人と思い込む。対象者20人以上は人数が増える。50人なら5人
- 研修修了者はいるのに、実際の関与が記録で確認できない。告示は、修了者を配置したうえで、チームとして専門的な認知症ケアを実施することを求めている。会議の議事録やケア記録に、修了者が関わったことを残す
- 修了者が法人内の別事業所でも数えられていると誤解する。主たる勤務先1か所だけ。常勤でなくてもよいが、加算の対象事業所の職員であることが必要
- (Ⅱ)の研修計画が職種の区別のない一括のもの。告示は「介護職員、看護職員ごとの」計画と定めている。職種ごとに分け、対象者・時期・実施の記録を残す
- 修了者の退職を届け出ない。必要数を割った日から算定できない。届け出ずに算定すると不正請求として返還の対象になる(老企第36号 第一の5)
- 訪問系で自立度Ⅲ以上のまま計算している。2024年度からⅡ以上で数えられる。ただし(Ⅱ)はⅢ以上が100分の20以上という割合が新たに要る
- 併設の短期入所を別に数える。併設事業所や特養の空床を使う短期入所生活介護は、本体の特養と一体で、対象者の数と研修修了者を合わせて数える
よくある質問
職員や施設長から聞かれそうな細かい疑問も、まとめておきたいです。
いいね。短い答えで並べておこう。要件の細かい点は、告示と指定権者の案内に戻ると確かだよ。
認知症の診断がなくても、認知症専門ケア加算の対象者になりますか?
告示と留意事項通知は、対象者を診断名ではなく日常生活自立度のランクで定めている。訪問系の(Ⅰ)はⅡ以上、訪問系の(Ⅱ)と施設系・居住系・短期入所系はⅢ以上。自立度は医師の判定結果か主治医意見書を使い、判定がなければ認定調査票の記載を使う。複数あるときは最も新しいもの(令和6年度Q&A Vol.1 問18)。
認知症介護実践者研修だけで、(Ⅰ)を算定できますか?
できない。研修修了者に数えるのは、認知症介護実践リーダー研修(自治体が審査して認めた研修を含む)か、認知症看護に係る適切な研修の修了者。実践者研修は、実践リーダー研修の受講条件になる。
(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できますか?認知症チームケア推進加算とは?
どちらも同時にはできない。(Ⅰ)と(Ⅱ)はどちらか一方で、認知症チームケア推進加算を算定するなら、認知症専門ケア加算は算定しない(告示の注)。
認知症専門ケア加算は、いつから算定できますか?
体制届と届出書(別紙12・12-2)を出して、受理された月から。訪問系は届出が前月15日までなら翌月から、16日以降なら翌々月から。施設系・居住系・短期入所系は、受理が月の1日ならその月から、2日以降なら翌月から(体制届の提出期限)。
認知症加算と認知症専門ケア加算は、同じ加算ですか?
別の加算。通所介護・地域密着型通所介護には、認知症専門ケア加算の代わりに認知症加算(60単位/日)がある(通所介護の認知症加算)。
経理・管理側の視点
加算の年額が研修費用より小さいなら、加算のために研修に出す意味は薄いのでしょうか。
加算だけで見るとそう見えるよね。この加算は、研修修了者を何人育てるかという育成計画と一緒に考えるものなんだ。加算の年額は、育成費用を何年で回収できるかを見る数字として使おう。
加算の年額は、研修修了者の育成コストの回収期間を決める数字であって、加算のために育てる判断にはならない。取る前に、次の5つを並べて稟議に書く。
| 見るもの | この記事の例 |
|---|---|
| 収入 | 特養で対象者50人なら(Ⅰ)年540,000円、(Ⅱ)年720,000円。訪問介護で対象者21人が月8日利用なら(Ⅰ)年60,480円 |
| 初期費用 | 修了者5人の育成で786,500円(受講料・テキスト代・受講中の人件費)。初年度は赤字 |
| 毎月の管理 | 割合の計算書、修了者一覧と勤務形態一覧表、会議の議事録 |
| ほかの加算への効き | 研修の計画と受講記録は、処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅱ(研修の機会の提供など)の記録と重なる(キャリアパス要件・職場環境等要件)。認知症チームケア推進加算(Ⅱ)は実践リーダー研修の修了者が要件なので、修了者はその土台にもなる |
| 失うリスク | 修了者が必要数を割った日から算定できない。届出をしないまま請求すれば返還 |
稟議には、加算の年額だけでなく処遇改善加算の記録にもなることを書いたほうがいいんですね。
そうだね。加算の年額に、ほかの加算への効きも足して書くと、育成計画の位置づけが伝わりやすいよ。何が実績になるかは、処遇改善加算の通知で確かめておこう。
出典
- 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について(1.(7)① 訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算の見直し、1.(7)③ 通所介護における認知症加算の見直し、1.(7)⑤ 認知症チームケア推進加算)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)三の四・三の五・五十八の五の二
- 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)
- 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)問17〜問24・問26(問25はVol.4 問1に置き換え)
- 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(令和6年4月18日、介護保険最新情報Vol.1256)問1・問2
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第36号)第一の4・5
- 同 令和6年3月改正の新旧対照表(認知症専門ケア加算について。訪問系の割合の数え方は4月18日の一部改正で変更)
- 「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準…の制定に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正について(老高発0418第1号・老認発0418第1号・老老発0418第1号 令和6年4月18日、介護保険最新情報Vol.1254)別紙1〜3
- 「介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」の一部改正について(老発0418第1号 令和6年4月18日、介護保険最新情報Vol.1255)別紙12
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第40号)令和3年度改正の新旧対照表(認知症専門ケア加算について)
- 認知症チームケア推進加算に関する実施上の留意事項等について(老高発0318第1号・老認発0318第1号・老老発0318第1号 令和6年3月18日)
- 介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について(老発0315第1号 令和6年3月15日)
- 同 別紙一式(令和6年6月)別紙12・別紙12-2 認知症専門ケア加算に係る届出書
- 「認知症介護実践者等養成事業の円滑な運営について」の一部改正について(老認発0314第1号 令和6年3月14日)別紙 認知症介護実践リーダー研修のカリキュラム
- 令和8年度 認知症介護実践リーダー研修(鹿児島県社会福祉協議会 実施要項、鹿児島市掲載)
- 大阪府 令和8年度 認知症介護実践研修(実践者研修・実践リーダー研修)
- 岐阜県福祉事業団 令和8年度 認知症介護実践リーダー研修
- 埼玉県 令和8年度認知症介護指導者養成研修
- 厚生労働省 令和8年度介護報酬改定の概要
- 介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年3月13日老発0313第6号)キャリアパス要件Ⅱ
記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。
