サービス提供体制強化加算とは?算定要件・単位数と介護福祉士の割合の計算方法
結論(この記事でわかること)
ミナサービス提供体制強化加算の区分を確認しておいてと言われました。介護福祉士の人数を数えればいいですか?
ジムチョー人数ではなくて、常勤換算の割合なんだ。分母は介護職員だけで、判定は前年度の4月から2月の平均。この3つを取り違えると区分を間違えてしまうよ。
ミナ看護職員や生活相談員は、分母にも分子にも入れないんですね。
ジムチョーそうなんだ。介護職員の中に介護福祉士がどれだけいるかを見る加算だからね。まずは勤務形態一覧表から、介護職員だけを抜き出すところから始めよう。
サービス提供体制強化加算の区分は、介護福祉士の割合で決まる。計算の前提を3つ間違えると区分を取り違える。
- 分母は介護職員だけ。看護職員・生活相談員・機能訓練指導員は分母にも分子にも入れない
- 常勤換算で数える。人数ではない。非常勤の介護福祉士は勤務時間で按分する
- 前年度(4月〜2月)の月平均で判定する。今年度の職員構成ではない。年度途中に介護福祉士が辞めても、その年度の区分は原則変わらない
通所介護で延べ利用者600人日の事業所なら、(Ⅰ)と(Ⅱ)の差は月24,000円、(Ⅱ)と(Ⅲ)の差は月72,000円。介護福祉士1人の採用で区分が上がるかは、常勤換算・人員基準チェッカーで出した常勤換算から割合を計算すれば分かる。
区分と要件(主なサービス)
| サービス | (Ⅰ) | (Ⅱ) | (Ⅲ) | 単位 |
|---|---|---|---|---|
| 通所介護・地域密着型通所介護・通所リハ | 介護福祉士70%以上、または勤続10年以上の介護福祉士25%以上 | 介護福祉士50%以上 | 介護福祉士40%以上、または勤続7年以上の職員30%以上 | 22/18/6 単位(1回) |
| 特養・地域密着型特養・短期入所生活介護 | 介護福祉士80%以上、または勤続10年以上の介護福祉士35%以上 | 介護福祉士60%以上 | 介護福祉士50%以上、または常勤職員75%以上、または勤続7年以上30%以上 | 22/18/6 単位(1日) |
| 特定施設・認知症GH | 介護福祉士70%以上、または勤続10年以上の介護福祉士25%以上 | 介護福祉士60%以上 | 介護福祉士50%以上、または常勤75%以上、または勤続7年以上30%以上 | 22/18/6 単位(1日) |
| 小規模多機能・看護小規模多機能 | 介護福祉士70%以上、または勤続10年以上の介護福祉士25%以上 | 介護福祉士50%以上 | 介護福祉士40%以上、または常勤60%以上、または勤続7年以上30%以上 | 750/640/350 単位(1月) |
| 訪問看護 | 勤続7年以上の職員30%以上 | 勤続3年以上の職員30%以上 | — | 6/3 単位(1回) |
訪問介護にはサービス提供体制強化加算がなく、代わりに特定事業所加算がある。
要件は2021年度(令和3年度)の改定で今の3区分になり、2024年度改定と2026年6月の臨時改定でも変わっていない。特養・老健・介護医療院・特定施設の(Ⅰ)は、割合に加えて、サービスの質の向上に資する取組をしていることも要件になる。
割合の分母は要件ごとに違う。介護福祉士の割合は介護職員、常勤職員の割合は看護職員と介護職員、勤続7年以上の割合は利用者に直接サービスを提供する職員(通所介護なら生活相談員・介護職員・看護職員・機能訓練指導員)が分母になる。
訪問介護の事業所は、この表に入っていないんですね。
訪問介護にはこの加算がなくて、代わりに特定事業所加算があるんだ。法人に訪問介護があるなら、そちらの要件は別に管理しよう。
(Ⅲ)は、介護福祉士の割合のほかにも取り方があるんですね。
常勤職員の割合や勤続年数で満たす道もあるよ。ただ、どの要件が使えるかはサービスで違うから、自分のサービスの行で確かめておこう。
割合の計算方法
今年度の途中で介護福祉士が辞めたら、すぐ区分が下がりますか?
前年度の実績で届け出た区分は、原則その年度は変わらないんだ。落ちるのは翌年度から。逆に4月に採用しても、その年度の区分は上がらないよ。
月ごとの常勤換算は、勤務形態一覧表から出せばいいですか?
そうだね。毎月末に介護職員と介護福祉士の常勤換算を出して、割合と一緒に記録しておこう。3月上旬に1年分をまとめて集めずに済むよ。
介護福祉士の割合 = 介護福祉士である介護職員の常勤換算数 ÷ 介護職員の常勤換算数
判定期間は次のとおり。
| 事業所の状況 | 判定期間 | 年度途中の扱い |
|---|---|---|
| 前年度の実績が6ヶ月以上ある | 前年度の4月〜2月の各月の常勤換算の平均 | 前年度実績で届け出た区分は、年度中に職員が変わっても原則そのまま |
| 新規・再開で前年度実績が6ヶ月未満 | 届出の前3ヶ月の平均 | 届出後も毎月、直近3ヶ月の平均で要件を維持。下回ったら直ちに届出 |
勤続年数は、各月の前月の末日時点の勤続年数で数える。同じ法人なら、別のサービスの事業所や別の職種(直接処遇を行う職種に限る)での勤続も通算でき、産休・介護休業・育児休業の期間も勤続年数に含められる。毎月の割合の維持と記録が求められるのは、前年度の実績が6か月に満たず、届出の前3か月の平均で届け出た事業所だけで、割合を下回ったら加算を取り下げる届出が要る。
計算例:通所介護の区分判定
前年度(4月〜2月)の月平均で、介護職員の常勤換算が10.0、うち介護福祉士が7.2の事業所。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 介護福祉士の割合 | 7.2 ÷ 10.0 = 72% |
| 区分 | (Ⅰ)(70%以上) |
| 延べ利用者数 | 600人日/月 |
| 加算額 | 22単位 × 600 × 10.00円 = 132,000円/月、1,584,000円/年 |
年度途中に介護福祉士が1人退職して常勤換算が6.2/9.0(68.9%)になっても、前年度実績で届け出た(Ⅰ)はその年度は維持できる。ただし翌年度の判定では(Ⅱ)に落ち、加算は 18 × 600 × 10.00 = 108,000円/月になる。差は月24,000円、年間288,000円。
逆に、(Ⅱ)(50%)の事業所で介護福祉士を1人採用して70%を超えれば、翌年度から(Ⅰ)になる。採用の効果が加算に出るのは翌年度の4月からなので、採用の判断は前年度の2月末までの実績に間に合うかで考える。
数値は例。区分の判定は前年度4月〜2月の平均で、3月は含まない。
採用の効果が加算に出るのは翌年度の4月からなんですね。
だから採用の判断は、前年度の2月末までの実績に間に合うかで考えるんだ。3月に入った人は翌年度の判定に入らないよ。
この例だと、介護福祉士が1人辞めただけで、翌年度は(Ⅰ)から(Ⅱ)に落ちるんですね。
介護職員の少ない事業所ほど、1人の増減で割合が大きく動くんだ。退職の話が出たら、翌年度の区分と加算がどうなるかをその時点で計算しておこう。
実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)
介護福祉士の合格発表は3月下旬ですよね。3月に資格を取った人は、どう数えますか?
判定は4月から2月の平均だから、3月に取った人は今回の判定には入らないんだ。資格・勤続の一覧を毎月更新しておけば、次の判定で漏れなく数えられるよ。
| 時期 | 作業 | 担当 | 帳票 |
|---|---|---|---|
| 毎月末 | 介護職員と介護福祉士の常勤換算を計算し、割合を記録 | 事務長 | 勤務形態一覧表、割合の計算書 |
| 毎月末 | 資格取得者(介護福祉士の合格発表は3月下旬)と勤続年数の一覧を更新 | 労務 | 資格・勤続一覧 |
| 3月上旬 | 前年度4月〜2月の平均を確定し、翌年度の区分を判定 | 事務長 | 割合の計算書(年間) |
| 3月15日まで(施設系は4月1日まで) | 区分が変わる場合は体制届を提出 | 事務長 | 体制等状況一覧表、資格証の写し、勤務形態一覧表 |
| 新規事業所は毎月 | 直近3ヶ月の平均で要件を確認。下回れば直ちに届出 | 事務長 | 割合の計算書 |
| 運営指導前 | 判定期間の勤務形態一覧表と資格証を揃える | 事務長 | 根拠書類ファイル |
よくあるつまずき
非常勤の介護福祉士が3人いるので、3人分で数えていました。
週20時間なら3人で常勤換算1.5なんだ。人数で数えると割合が過大になって、運営指導で返還になってしまうから気をつけよう。
法人内の別の事業所から異動してきた人の場合は、勤続年数をここに来た日から数えればいいですか?
それは避けたほうがいいね。勤続は同じ法人の中なら通算できるから、事業所単位で数えると(Ⅰ)の勤続要件を満たさなくなることがあるんだ。法人に入った日で一覧を作っておこう。
- 分母に看護職員や生活相談員を入れる。分母は介護職員のみ。看護職員を入れると割合が下がり、区分を低く届け出てしまう
- 人数で数える。非常勤の介護福祉士3人(各週20時間)は常勤換算1.5。人数で3と数えると割合が過大になり、運営指導で返還になる
- 今年度の職員構成で判定する。判定は前年度平均。4月に介護福祉士を採用しても、その年度の区分は前年度の実績で決まる
- 3月を判定期間に入れる。前年度の平均は4月〜2月。3月は入れない
- 勤続年数を事業所単位で数える。同一法人内の勤続で通算できる。法人内異動の職員を除外すると(Ⅰ)の勤続要件を満たさなくなることがある
- 新規事業所で届出後の毎月確認をしない。前年度の実績が6か月に満たず前3か月の平均で届け出た事業所は、届出のあとも直近3か月の割合を毎月維持し、記録する。下回ったら直ちに届け出て、加算を取り下げる
経理・管理側の視点
介護福祉士に資格手当を出すと、そのぶん人件費が増えますよね。
増えるけれど、割合が上がって区分が変われば、加算の差額で手当を回収できることがあるんだ。区分が上がる差額と、手当の年額を並べて比べてみよう。
この加算は「介護福祉士の資格手当を加算で回収できるか」の判断材料になる。通所介護で(Ⅱ)から(Ⅰ)に上がる差額は年間288,000円。介護福祉士1人に月1万円の資格手当を払うと年間138,000円(法定福利費込み)で、割合が上がって区分が変わるなら手当は加算で回収できる。
ただし加算が出るのは翌年度からで、手当はすぐ出る。採用や資格取得支援の投資は、翌年度の加算で回収する前提で資金繰りを組む。介護福祉士の割合の月次推移は、加算だけでなく採用計画の指標として経理が持つ。
介護福祉士の割合を毎月記録しておけば、採用計画にも使えますね。
資格手当を加算で回収できるかの判断材料になるよ。ただし加算が出るのは翌年度で、手当はすぐ出る。資金繰りはそのつもりで組んでおこう。
出典
- 厚生労働省 令和3年度介護報酬改定における改定事項について(4.(1)③ サービス提供体制強化加算の見直し)
- 厚生労働省 介護報酬の算定構造(令和6年度)
- 宮城県 サービス提供体制強化加算の算定に係る提出書類(留意事項通知の要約)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第36号)
記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。
