バックオフィス実務

常勤換算の数え方と管理|人員基準の計算で間違えやすい7つの点

結論(この記事でわかること)

ミナ

常勤換算って、常勤の人数に非常勤の時間を足せばいいんですよね? 運営指導の前に確認しておいてと言われたんですが。

ジムチョー

式はそれで合っているよ。勤務延時間数を常勤が勤務すべき時間数で割って、小数点第2位以下は切り捨て。指摘されるのは式の間違いではなくて、前提の取り違えなんだ。間違えやすい7点を先に見ておこう。

常勤換算は「職員の勤務延時間数 ÷ 常勤職員が勤務すべき時間数」で、小数点第2位以下を切り捨てる。式は単純だが、運営指導で人員基準の欠如を指摘される原因は、ほぼこの計算の前提の取り違えにある。

間違えやすいのは次の7点。

  1. 常勤の「勤務すべき時間数」を週32時間未満で設定している
  2. 育児・介護の短時間勤務者を非常勤として計算している
  3. 管理者の時間を常勤換算に入れている
  4. 兼務職員の時間を両方の職種にフルで数えている
  5. 通所介護を月の常勤換算で判定している(正しくは提供日ごと・提供時間帯)
  6. 有給休暇・研修・出張の時間の扱いを決めていない
  7. 利用者数の基準期間(前3ヶ月平均、前年度平均)を取り違えている

自社の配置が基準を満たしているかは常勤換算・人員基準チェッカーで職種別に判定できる。この記事では計算のルールと、月次で管理する表の形を示す。

常勤換算の計算式

ミナ

うちは所定が週30時間なので、30時間で割ればいいですか?

ジムチョー

そこは30時間で割れないんだ。分母は最低でも週32時間。30時間で割ると常勤換算が実際より高く出て、運営指導で欠如を指摘されてしまうよ。

常勤換算数 = 当該事業所の従業者の勤務延時間数 ÷ 常勤の従業者が勤務すべき時間数

「常勤の従業者が勤務すべき時間数」は事業所の就業規則で定める所定労働時間。週40時間なら月160〜173時間で、事業所ごとに週単位か月単位かを決めて一貫させる。週32時間を下回る場合は32時間を基本とするので、所定を週30時間にしても分母は32時間で計算する。

端数は小数点第2位以下を切り捨てて小数点第1位まで。2.98は2.9になり、2.5以上の基準なら満たすが、3.0以上の基準なら満たさない。

常勤の定義

常勤は「事業所の所定労働時間に達している者」。雇用形態(正社員かパートか)ではなく時間で決まる。週40時間の事業所で週40時間働くパート職員は常勤で、週30時間の正社員は非常勤。

例外として、育児・介護休業法の短時間勤務制度を利用している職員は、週30時間以上の勤務で常勤として扱える。この特例を知らずに非常勤として計算すると、常勤換算が実際より低く出る。

週32時間の下限、育児・介護休業法の短時間勤務の措置を受けている職員を週30時間以上で常勤と扱う特例、小数点第2位以下の切り捨ては、いずれも指定基準の解釈通知(人員基準の「常勤換算方法」「常勤」の項)で定められている。

計算例

訪問介護(常勤換算2.5以上)

常勤の所定労働時間は月160時間。

職員雇用形態月の勤務時間常勤換算
A(サービス提供責任者)常勤1601.0
B常勤1601.0
C非常勤60
D非常勤48
E非常勤40
非常勤の合計148148 ÷ 160 = 0.925 → 0.9
合計2.9

2.9は2.5以上なので基準を満たす。管理者がサ責Aを兼務している場合、Aの160時間はサ責・訪問介護員としての時間なので含めてよい。管理者専従の職員がいる場合、その時間は含めない。

Eが退職すると、非常勤の合計は108時間で0.675 → 0.6、合計2.6。まだ満たすが、Dも退職すると0.375 → 0.3、合計2.3で欠如になる。2人の退職で基準割れという距離感を把握しておく。

通所介護(提供日ごと・提供時間帯で判定)

通所介護の介護職員は月の常勤換算ではなく、単位ごと・提供日ごとに「提供時間帯の勤務時間の合計 ÷ 提供時間」で判定する。必要数は利用者15人までは1、15人を超えると「1 + (利用者数 − 15) ÷ 5」。

項目
利用者数(その日)18人
必要な介護職員数1 + (18 − 15) ÷ 5 = 1.6
提供時間7時間(9:00〜16:00)
必要な勤務時間の合計1.6 × 7 = 11.2時間
配置(F 7時間、G 5時間)12時間 ÷ 7 = 1.71 → 1.7

1.7は1.6以上なので満たす。利用者が20人の日は必要数2.0で14時間必要になり、同じ配置では欠ける。利用者数が日によって変わる通所介護は、月平均ではなく日ごとに見る

通所介護の介護職員は、単位ごとに利用者15人まで1以上、15人を超える場合は超えた部分を5で割った数に1を加えた数以上を、提供時間数に応じて確保する。「提供時間数に応じて」は、その職種が提供時間内に勤務した時間の合計を提供時間数で割った数で見る。生活相談員も同じ数え方で提供日ごとに1以上。看護職員は単位ごとに専従1以上だが、提供時間帯を通じて事業所にいる必要はなく、密接に連携する病院や訪問看護ステーションの看護職員でもよい。

ミナ

訪問介護の例だと2.9で余裕がありそうに見えますが、非常勤2人が辞めたら2.3で欠けるんですね。

ジムチョー

「満たしているか」ではなく「あと何人辞めたら欠けるか」で見るといいよ。通所は月平均ではなく日ごとだから、利用者が多い日を先に見ておこう。

実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)

ジムチョー
時期作業担当帳票
月末翌月の勤務表を確定し、職種別の勤務時間合計を出す管理者勤務形態一覧表(勤務表)
月末常勤換算を計算し、人員基準と比較事務長常勤換算計算表
毎月10日前月の実績勤務時間で常勤換算を再計算(欠勤・残業を反映)事務長勤怠データ、実績の勤務表
3ヶ月ごと利用者数の平均を更新し、サ責・ケアマネの必要数を見直す事務長利用者一覧
退職・採用の都度常勤換算への影響を事前に計算事務長常勤換算計算表
変更の翌月10日まで人員基準や加算の体制に変更があれば変更届事務長変更届出書、体制等状況一覧表

よくあるつまずき

ミナ
ミナ

管理者が介護職員も兼ねている場合、管理者の時間はどう数えますか?

ジムチョー

介護職員として働いた時間だけを入れるんだ。管理者専従の時間は人員基準の常勤換算には入れない。勤務表で時間帯を分けておこう。

  • 分母を所定労働時間より短くする。週30時間所定の事業所が分母を30時間で計算し、常勤換算が実際より高く出る。分母は最低32時間
  • 管理者の時間を入れる。専従管理者の勤務時間は人員基準の常勤換算に含めない。管理者兼務の場合は、兼務している職種として働いた時間だけを含める
  • 兼務の時間を二重に数える。生活相談員兼介護職員が8時間勤務した場合、両方に8時間ずつ入れることはできない。勤務表で時間帯を分けて按分する
  • 有給休暇・研修の扱いが決まっていない。常勤職員の有給休暇は勤務すべき時間として扱われるが、非常勤職員の研修・会議の時間を人員基準の勤務時間に含めるかは指定権者の解釈がある。事前に確認して一貫させる
  • 利用者数の基準期間を間違える。訪問介護のサ責は前3ヶ月の平均利用者数、施設の介護・看護職員は前年度の平均入所者数。新規開設時は推定数で届け出て、実績が出たら見直す
  • 月の途中の退職を月末まで数える。15日で退職した職員の月の勤務時間は半月分。月初の勤務表で満たしていても、実績で欠けることがある

有給休暇や研修の時間を勤務延時間数に入れるかは、常勤職員の休暇は勤務すべき時間として扱うのが一般的だが、非常勤職員の休暇や事業所外の研修は指定権者で解釈が分かれる。運営指導で指摘されないよう、自社の扱いを指定権者に確認して勤務表の作り方を一貫させる。

経理・管理側の視点

人員基準の欠如は、翌月または翌々月から解消するまで所定単位数の70%で算定する減算になる。訪問介護で月300万円の売上なら、1ヶ月の欠如で90万円が消える。採用1人分の年収に近い額が、勤務表の1行の見落としで飛ぶ。

管理のコツは、常勤換算を「基準を満たしているか」の二値で見ず、基準までの余裕を人数で把握すること。訪問介護の例なら「あと非常勤2人の退職で欠如」、通所介護なら「利用者が20人を超える日は介護職員をもう1人」。この余裕がゼロに近い職種から採用計画を立てる。

常勤換算計算表は、職員別の月勤務時間と職種別の合計、分母、換算値、基準、余裕の6項目で足りる。勤怠システムから月次で自動集計できるようにしておくと、運営指導の勤務形態一覧表もそのまま出せる。

ミナ

常勤換算計算表に「基準までの余裕」の列を足しておきます。

ジムチョー

それが一番安い減算の防ぎ方だよ。余裕がゼロに近い職種から採用計画を立てていこう。

出典

記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。