常勤換算の計算方法|式・小数点以下の端数・週32時間・兼務の数え方と人員基準の計算例

結論(この記事でわかること)
ミナ常勤換算って、常勤の人数に非常勤の時間を足せばいいんですよね? 運営指導の前に確認しておいてと言われたんですが。
ジムチョー式はそれで合っているよ。非常勤の勤務時間の合計を、常勤が勤務すべき時間数で割って、小数点第2位以下は切り捨てる。常勤の人は1人を1.0と数えるんだ。指摘されるのは式ではなくて、前提の取り違えだね。
ミナ式が合っていても、分母の時間や、誰のどの時間を入れるかを取り違えると結果がずれる、ということですね。
ジムチョーそういうことだね。まず早見表で数え方を押さえて、そのあとに計算例で確かめよう。
常勤換算は「勤務延時間数 ÷ 常勤の従業者が勤務すべき時間数」で出し、常勤の従業者は1人を1.0と数える。端数は小数点第2位以下を切り捨てる。
| 場面 | 数え方 |
|---|---|
| 常勤(所定どおりに勤務) | 1人を1.0。雇用形態は関係なく、所定時間に達していれば常勤。所定を超えて働いても1.0が上限 |
| 常勤の所定が週32時間未満 | 分母は週32時間を基本にする。所定が週30時間でも32時間で割る |
| 短時間勤務(育児・介護・治療と仕事の両立)、母性健康管理措置の職員 | 週30時間以上の勤務で1.0 |
| 非常勤 | 勤務時間の合計 ÷ 常勤の所定時間。切り捨ては合計に1回 |
| 兼務、管理者 | その職種・その事業所で働いた時間だけ。時間を分けて記録する。管理業務の時間は入れない |
| 休暇・出張 | 常勤は暦月で1か月を超えない限り勤務扱い。非常勤は入れない |
| 常勤が1か月を超えて休む | 休業中の時間は入らない。常勤配置が必要な職員の産休・育休は、同等の資質の非常勤の合計で補える |
| サービスごとの違い | 訪問介護員等・訪問看護ステーションの看護職員は月の常勤換算で2.5以上。通所介護の介護職員は単位ごと・提供日ごとの時間数。特養は介護職員と看護職員の合計が前年度の平均入所者3人につき1以上 |
自社の配置が基準を満たしているかは常勤換算・人員基準チェッカーで職種別に判定できる。この記事では、式と端数、計算例、月次の管理手順、間違えやすい点を順に示す。
常勤換算の計算式

うちは所定が週30時間なので、30時間で割ればいいですか?
そこは30時間で割れないんだ。分母は最低でも週32時間。30時間で割ると常勤換算が実際より高く出て、運営指導で欠如を指摘されてしまうよ。
端数は四捨五入ではなく切り捨てなんですね。2.98でも2.9になるとは思いませんでした。
3.0以上が基準なら、2.98でも満たさない扱いになるんだ。基準ぎりぎりの職種は、切り捨てたあとの数字で判定しよう。
常勤換算数 = 当該事業所の従業者の勤務延時間数 ÷ 常勤の従業者が勤務すべき時間数
実務では、常勤は実人数で1ずつ数え、非常勤の勤務時間だけを合計して割る(標準様式1の記入方法)。分母は就業規則で定める所定労働時間で、週40時間なら月160〜173時間。週32時間を下回る場合は32時間を基本とするので、所定が週30時間でも分母は32時間になる。1人が勤務延時間数に入れられるのは、常勤の所定時間まで。
小数点以下の端数
常勤換算後の人数は、小数点第2位以下を切り捨てて小数点第1位までで書く。標準様式1の計算欄が「小数点第2位以下切り捨て」で、解釈通知の「常勤換算方法」の項に端数の定めはない。切り捨てるのは非常勤の時間を合計して割った値で、1人ずつは切り捨てない。前年度の平均利用者数は反対に、小数点第2位以下を切り上げる(解釈通知)。
常勤の定義、専従と兼務、週30時間の特例
常勤は「事業所の所定労働時間に達している者」。雇用形態ではなく時間で決まり、週40時間の事業所で週40時間働くパート職員は常勤、週30時間の正社員は非常勤になる。同じ事業者の併設事業所で同時並行できる職務を兼ねるときは、勤務時間の合計が所定時間に達していれば常勤の要件を満たす。
専従(専ら従事する)は、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことで、常勤・非常勤とは別の区分になる。標準様式1のA〜Dは、この2つを組み合わせたもの。
例外が週30時間の特例。母性健康管理措置、育児・介護休業法の所定労働時間の短縮等の措置、厚生労働省の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に沿った事業者の自主的な短縮措置(令和6年度改定で追加)を受けている職員は、週30時間以上の勤務で常勤換算を1と数えられる。常勤の要件を満たす職員として扱うには、利用者の処遇に支障がない体制が整っていることも条件になる。
週30時間の正社員は非常勤とありましたが、育児の短時間勤務で30時間にしている場合もですか?
育児・介護休業法の短時間勤務制度などを使っているなら、週30時間以上で常勤換算を1と数えられるんだ。対象の職員は勤務表で分かるようにしておくといいよ。
計算例
訪問介護(常勤換算2.5以上)
常勤の所定労働時間は月160時間。
| 職員 | 雇用形態 | 月の勤務時間 | 常勤換算 |
|---|---|---|---|
| A(サービス提供責任者) | 常勤 | 160 | 1.0 |
| B | 常勤 | 160 | 1.0 |
| C | 非常勤 | 60 | — |
| D | 非常勤 | 48 | — |
| E | 非常勤 | 40 | — |
| 非常勤の合計 | 148 | 148 ÷ 160 = 0.925 → 0.9 | |
| 合計 | 2.9 |
2.9は2.5以上なので基準を満たす。この例のAは管理者を兼ねていない前提で、管理者を兼ねる職員は管理業務の時間を除き、サ責・訪問介護員として働いた時間だけを数える。
Eが退職すると、非常勤の合計は108時間で0.675 → 0.6、合計2.6。まだ満たすが、Dも退職すると0.375 → 0.3、合計2.3で欠如になる。2人の退職で基準割れという距離感を把握しておく。
同じ週30時間でも数え方が変わる例
| 職員(事業所の所定時間) | 週の勤務 | 数え方 |
|---|---|---|
| パート(所定が週40時間) | 30時間 | 非常勤。30 ÷ 40 = 0.75 |
| 育児の短時間勤務の職員(同上) | 30時間 | 特例で1.0 |
| パート(所定が週30時間) | 30時間 | 分母は32時間。30 ÷ 32 = 0.93… |
通所介護(提供日ごと・提供時間帯で判定)
通所介護の介護職員は月の常勤換算ではなく、単位ごと・提供日ごとに「提供時間帯の勤務時間の合計 ÷ 提供時間数」で判定する。必要数は利用者15人までは1、15人を超えると「1 + (利用者数 − 15) ÷ 5」。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 利用者数(その日) | 18人 |
| 必要な介護職員数 | 1 + (18 − 15) ÷ 5 = 1.6 |
| 提供時間 | 7時間(9:00〜16:00) |
| 必要な勤務時間の合計 | 1.6 × 7 = 11.2時間 |
| 配置(F 7時間、G 5時間) | 12時間 ÷ 7 = 1.71 → 1.7 |
1.7は1.6以上なので満たす。利用者が20人の日は必要数2.0で14時間必要になり、同じ配置では欠ける。利用者数が日によって変わる通所介護は、月平均ではなく日ごとに見る。
提供時間数は、利用者ごとの提供時間数の合計を利用者数で割った平均提供時間数で、全員が7時間ならそのまま7時間(解釈通知)。時間数が足りていても、提供時間中は介護職員が常時1人以上従事している必要がある(基準省令第93条第2項)。労働基準法が最低限求める休憩時間は確保すべき勤務延時間数に含めてよいが、介護職員が全員同時に休憩を取ってはいけない(平成24年度介護報酬改定に関するQ&A Vol.1 問63)。
訪問介護の例だと2.9で余裕がありそうに見えますが、非常勤2人が辞めたら2.3で欠けるんですね。
「満たしているか」ではなく「あと何人辞めたら欠けるか」で見るといいよ。通所は月平均ではなく日ごとだから、利用者が多い日を先に見ておこう。
通所のほうは、利用者が20人になる日だと14時間要るので、FさんとGさんの12時間では足りなくなりますね。
そういうことだね。利用者が多くなる日は、勤務表を組む段階で介護職員をもう1人入れておこう。
自社の勤務時間で同じ計算をするときは、常勤換算・人員基準チェッカーにサービスと勤務時間を入れると、職種別に過不足を判定できる。
実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)

月末に勤務表で計算したのに、翌月にもう一度計算し直すんですか?
そうなんだ。欠勤や残業があると、予定の勤務表どおりにはならないからね。毎月10日に、前月の実績の勤務時間で再計算しておこう。
退職の申し出があったら、辞める前に影響を計算しておくんですね。
うん、退職や採用のたびに先に計算しておくんだ。管理者や運営規程が変わるなら、変更から10日以内に変更届が必要になるよ。
| 時期 | 作業 | 担当 | 帳票 |
|---|---|---|---|
| 月末 | 翌月の勤務表を確定し、職種別の勤務時間合計を出す | 管理者 | 勤務形態一覧表(勤務表) |
| 月末 | 常勤換算を計算し、人員基準と比較 | 事務長 | 常勤換算計算表 |
| 毎月10日 | 前月の実績勤務時間で常勤換算を再計算(欠勤・残業を反映) | 事務長 | 勤怠データ、実績の勤務表 |
| 3ヶ月ごと | 利用者数の平均を更新し、サ責・ケアマネの必要数を見直す | 事務長 | 利用者一覧 |
| 退職・採用の都度 | 常勤換算への影響を事前に計算 | 事務長 | 常勤換算計算表 |
| 変更の日から10日以内 | 管理者の変更など、介護保険法第75条の届出事項は変更届。加算の体制は指定権者の期限 | 事務長 | 変更届出書、体制等状況一覧表 |
勤務形態一覧表(標準様式1)で押さえる点
- 職員を常勤で専従(A)・兼務(B)、非常勤で専従(C)・兼務(D)に分け、常勤は実人数、非常勤は時間で計算する
- 4週か暦月かを選ぶ。指定基準の確認は4週分の入力でよい
- 1人が入力できる時間は、常勤の所定時間が上限
- 短時間勤務制度などの職員はAかBにして1人と数え、兼務状況の欄に「短時間勤務制度利用」と書く
- 計算式は入力の補助が目的で、結果は作成者が確かめる(記入方法の留意事項)
よくあるつまずき
管理者が介護職員も兼ねている場合、管理者の時間はどう数えますか?
介護職員として働いた時間だけを入れるんだ。管理者専従の時間は人員基準の常勤換算には入れない。勤務表で時間帯を分けておこう。
新しく開設した事業所の場合は、利用者数の平均をどう出しますか?
まだ実績がないから、推定数で届け出て、実績が出たら見直すんだ。サ責は前3ヶ月、施設の介護・看護職員は前年度の平均というように、期間も職種で違うから気をつけてね。
- 分母を所定労働時間より短くする。所定が週30時間の事業所が30時間で割り、実際より高く出る
- 短時間勤務の職員を非常勤で数える。特例の対象なら週30時間以上で1.0。対象者は勤務表で分かるようにする
- 管理者の時間を入れる。専従管理者の時間は含めず、兼務なら兼務した職種として働いた時間だけを含める
- 兼務の時間を二重に数える。生活相談員兼介護職員が8時間勤務したとき、両方に8時間ずつは入れられない。勤務表で時間帯を分けて按分し、事業所別の時間は給与計算の記事のとおり給与データにも残す
- 常勤の残業や、介護保険外のサービスの時間を足す。入れられるのは常勤の所定時間までで、指定に係る事業のサービスの時間だけ
- 有給休暇・研修の扱いが決まっていない。研修・会議は、勤務表上サービスの提供や準備等の時間として位置づけられているかで決まるので、指定権者に確認して一貫させる。休暇は有給休暇の記事、1か月を超える休業は介護休業と介護休暇の記事にある
- 月の途中の退職を月末まで数える。15日で退職した職員の勤務時間は半月分。月初の勤務表で満たしていても、実績で欠けることがある
経理・管理側の視点
常勤換算がずれて欠如になると、収支にはどのくらい響きますか?
通所介護や施設なら、解消するまで所定単位数の70%で算定する減算になるんだ。月400万円の通所介護なら、1ヶ月で120万円が消える計算だよ。訪問介護には報酬の減算はないけれど、基準違反として指導や指定取消しの対象になるから、軽く見ないほうがいいね。
通所介護や施設で人員基準を欠くと、翌月または翌々月から解消するまで所定単位数の70%で算定する減算になる(人員基準欠如減算の記事)。訪問介護・訪問看護・居宅介護支援には報酬上の減算はないが、基準違反として指導・改善勧告、最終的には指定取消しの対象になる。
管理のコツは、常勤換算を「基準を満たしているか」の二値で見ず、基準までの余裕を人数で把握すること。訪問介護の例なら「あと非常勤2人の退職で欠如」、通所介護なら「利用者が20人を超える日は介護職員をもう1人」。この余裕がゼロに近い職種から採用計画を立てる。運営指導では勤務形態一覧表と勤怠の実績の一致を見られるので、予定ではなく実績で再計算した表を残す(運営指導の準備チェックリスト)。ICT活用による人員配置の特例や見直しの論点は生産性向上・ICT活用の記事にある。
常勤換算計算表は、職員別の月勤務時間と職種別の合計、分母、換算値、基準、余裕の6項目で足りる。勤怠システムから月次で自動集計できるようにしておくと、運営指導の勤務形態一覧表もそのまま出せる。
常勤換算計算表に「基準までの余裕」の列を足しておきます。
それが一番安い減算の防ぎ方だよ。余裕がゼロに近い職種から採用計画を立てていこう。
よくある質問
常勤換算の計算で、実際によく聞かれるのはどのあたりですか?
自動計算、2.5人の意味、短時間のパートの3つが多いかな。短く答えを並べておくよ。
常勤換算は自動計算できますか。
表計算ソフトなら、非常勤の合計時間がB10、常勤の月の所定時間が160時間のとき、=ROUNDDOWN(B10/160,1) で切り捨てた値が出る。サービス別に基準と比べるなら常勤換算・人員基準チェッカーが使える。
常勤換算2.5人以上とは、何人のことですか。
常勤の所定が週40時間なら、常勤2人と、非常勤の勤務時間の合計が週20時間(常勤の半分)で2.5になる。時間を常勤の人数に直した値で、人数そのものではない。
週32時間未満のパートは常勤換算に入りますか。
入る。32時間は分母(常勤の所定時間)の下限で、職員の勤務時間に下限はない。
出典
記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。
