人員基準を満たせなくなったときの減算|30%減算の開始時期と、2026年6月からの猶予特例
結論(この記事でわかること)
ミナ介護職員が1人辞めて、来月の配置が基準を割りそうです。減算っていくら引かれるんですか?
ジムチョー所定単位数の70%で算定することになるんだ。つまり3割減。月400万円の通所なら月120万円だね。派遣で埋めるコストの数倍だから、減算を受けるより埋めるほうが安い。まず、欠け方が1割超か1割以内かを判定しよう。
人員基準の欠如は、所定単位数の70%で算定する減算になる。開始時期は欠け方で変わる。
| 欠如の程度 | 減算の開始 | 減算の終了 |
|---|---|---|
| 必要数の1割を超えて欠けた | 翌月から | 欠如が解消した月まで |
| 必要数の1割以内で欠けた | 翌々月から(翌月の末日までに解消すれば減算なし) | 欠如が解消した月まで |
通所介護で月の所定単位数が400,000単位(その他地域で400万円)の事業所なら、1ヶ月の減算で120万円が消える。派遣職員1人の月額コスト(時給2,500円で40万円前後)の3倍で、減算を受けるより派遣で埋めるほうが安いのが普通の結論になる。
2026年6月サービス分からは、突発的な退職や長期不在で1割以内の欠如になった場合に、年1回に限り翌々月まで減算を猶予する特例ができた。届出と求人活動の証拠が要る。
自社の配置が基準に対してどれだけ余裕があるかは常勤換算・人員基準チェッカーで職種別に判定できる。
減算の対象になる職種とサービス
ミナ訪問介護には減算がないんですね。
ジムチョー報酬上の減算はないんだ。ただし基準違反として指導や改善勧告の対象になるから、減算がないからといって放置していいわけではないよ。
減算の規定は報酬告示にあるので、サービスによって対象職種が違う。人員基準そのものを満たしていない状態は、減算の有無にかかわらず指定基準違反で、改善勧告や指定取消の対象になる。
| サービス | 減算の対象職種 | 減算率 |
|---|---|---|
| 通所介護・地域密着型通所介護 | 看護職員、介護職員 | 所定単位数の70% |
| 通所リハビリテーション | 医師、PT・OT・ST、看護職員、介護職員 | 70% |
| 短期入所生活介護 | 看護職員、介護職員 | 70% |
| 介護老人福祉施設 | 看護職員、介護職員、介護支援専門員 | 70% |
| 介護老人保健施設 | 医師、看護職員、介護職員、PT・OT・ST、介護支援専門員 | 70% |
| 特定施設入居者生活介護 | 看護職員、介護職員 | 70% |
| 認知症対応型共同生活介護 | 介護従業者、計画作成担当者 | 70% |
| 小規模多機能型居宅介護 | 従業者、介護支援専門員 | 70% |
| 訪問介護・訪問看護・居宅介護支援 | 報酬上の人員基準欠如減算はない。基準違反として指導・改善勧告の対象 | — |
対象職種はサービスごとに報酬告示で決まっている。訪問介護・訪問看護・居宅介護支援には報酬上の人員基準欠如減算はなく、基準違反として指導や改善勧告、最終的には指定の取消しの対象になる。
通所介護の判定方法
通所介護は月の常勤換算ではなく、次の方法で欠如を判定する。
- 看護職員: 月のサービス提供日に配置した延べ人数 ÷ 月のサービス提供日数
- 介護職員: 月の勤務延べ時間数 ÷ 利用者数と提供時間から本来確保すべき勤務延べ時間数
どちらも月単位の平均で見るので、1日だけ欠けた場合は減算にならないが、月を通して欠ければ減算になる。
月あたりいくら減るか(計算例)
モデルは通所介護、月の所定単位数400,000単位、地域区分「その他」(1単位10.00円)、月の介護報酬400万円。介護職員の必要数が月平均で3.0のところ、退職で2.6になった(1割超の欠如)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 減算額(月) | 400万円 × 30% = 1,200,000円 |
| 減算の開始 | 欠如した月の翌月から |
| 解消までに2ヶ月かかった場合 | 2,400,000円 |
| 派遣職員で0.4を埋めるコスト(時給2,500円 × 64時間) | 160,000円/月 |
| 常勤1人を採用して埋めるコスト(月給25万円+法定福利費15%) | 287,500円/月 |
減算1ヶ月分で、派遣なら7ヶ月分、常勤採用なら4ヶ月分の人件費に相当する。人員基準の欠如は「人件費の節約」にはならず、最も高くつく選択になる。
1割以内の欠如(例: 3.0に対して2.8)なら、翌月の末日までに解消すれば減算はない。この「翌月末」が実質的な猶予期間で、退職が判明した時点から数えると1〜2ヶ月の採用期間がある。
減算は所定単位数に70/100を乗じた単位数で算定する。処遇改善加算のように加算率で計算する加算は、減算を反映したあとの所定単位数に加算率をかけるので、減算の月は処遇改善加算も連動して減る。
ミナ派遣なら月16万円、減算は120万円。比べるまでもないですね。
ジムチョー人員基準の欠如は、人件費の節約にはならないんだ。最も高くつく選択になる。1割以内なら翌月末までに解消すれば減算はないから、そこが実質の猶予期間だと考えよう。
2026年6月からの猶予特例
令和8年6月サービス分から、やむを得ない事情で人員欠如になった場合に減算を猶予する特例が設けられた(介護保険最新情報 Vol.1502、令和8年5月8日)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる事象 | 職員や家族の突発的な体調不良で1ヶ月を超える不在が見込まれる場合、自己都合の急な離職が複数重なった場合など、突発的で想定が困難な事象 |
| 欠如の程度 | 必要数の1割以内の減少 |
| 回数 | 1年に1回に限る |
| 猶予期間 | 人員欠如が発生した月の翌々月まで |
| 対象サービス | 通所系、短期入所系、居住系・施設系、多機能型系 |
| 報告の期限 | 人員欠如が発生した月の翌月までに自治体(都道府県・市町村)に報告 |
| 提出書類 | 届出書(職員確保の取組状況とやむを得ない事情を記載)、報告時点で有効な求人票の写し |
猶予を受けるには、次の4つをすべて満たしている必要がある。
- ハローワーク、都道府県ナースセンター、福祉人材センターなどの無料職業紹介を活用している
- 有料職業紹介を使う場合は「適正な有料職業紹介事業者認定制度」の適正認定事業者を含めている
- 自社のホームページ等で採用情報を公表している
- 残った職員に過度な負担がかからないよう労働時間管理と体制整備に努めている
特例の根拠は介護保険最新情報 Vol.1502(令和8年5月8日)。対象は通所系3、短期入所系2、居住・施設系5、多機能型系2の計13サービス。「1割以内」は人員基準の必要数に対する不足の割合で見る。適用は年1回に限られ、突発的な事情(職員や家族の急な体調不良で1ヶ月を超える不在が見込まれる、自己都合の急な離職が重なった、など)が前提。届出書は別紙様式7・11・14などサービスごとに決まっている。猶予期間を過ぎても欠如が続いた場合の扱いは通知に明記がないので、期間内に解消できない見込みになった時点で指定権者に相談する。
実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)
ジムチョー| 時期 | 作業 | 担当 | 帳票 |
|---|---|---|---|
| 退職の申し出があった日 | 退職後の常勤換算を計算し、欠如の程度(1割超か以内か)を判定 | 事務長 | 常勤換算計算表 |
| 同日 | 減算の開始月と、減算を避けられる解消期限を確定 | 事務長 | 減算判定メモ |
| 1週間以内 | 派遣・紹介・既存職員の時間延長のコストを比較し、埋め方を決める | 管理者・事務長 | 見積比較表 |
| 欠如発生月の翌月まで | 特例を使う場合は自治体に報告(届出書+有効な求人票の写し) | 事務長 | 特例の届出書 |
| 欠如が確定した月 | 減算に該当する場合は体制等の変更届を提出。届け出ずに算定を続けると返還になる | 事務長 | 体制等状況一覧表、変更届 |
| 解消した月 | 解消の変更届を提出し、翌月から通常算定に戻す | 事務長 | 変更届 |
減算に該当したときの体制届の期限は指定権者ごとに「該当した月のうちに」「翌月10日まで」などの定めがあるので、案内に従う。特例の報告は発生月の翌月までで、こちらは通知で決まっている。
よくあるつまずき
ミナ
ミナ翌月中に採用が決まれば大丈夫ですか?
ジムチョー内定ではなくて、翌月の末日に勤務していることが必要なんだ。勤務開始日で判断しよう。
- 減算の届出をしないまま算定を続ける。欠如の事実は勤務表で運営指導時に判明する。届出をせず通常単位で請求していた期間は返還になり、悪質と判断されれば加算金や指定取消につながる
- 1割の計算を人数でする。1割は必要数に対する割合。必要数3.0なら2.7以上が「1割以内」。常勤換算で判定する職種は小数点第1位まで見る
- 翌月末の解消期限を「翌月中に採用が決まればよい」と読む。翌月の末日時点で基準を満たしている必要がある。採用内定ではなく勤務開始が必要
- 通所介護で1日の欠如を減算と思い込む、または月平均で安心する。判定は月平均だが、日ごとに配置が欠けている状態は指定基準違反として指導される
- 特例の求人票の有効期限が切れている。報告時点で有効な求人票が要る。ハローワークの求人は有効期限が翌々月末なので、更新を忘れると要件を満たさない
- 常勤1人の退職で1割超になる規模を把握していない。必要数3.0の事業所で常勤1人が抜けると2.0で1割超。翌月から減算が始まり、猶予はない
経理・管理側の視点
減算は「発生してから対処する」ものではなく、発生する前に余裕人員のコストと比べて判断するもの。
必要数3.0の通所介護なら、常勤換算で0.3の余裕(非常勤1人分)を常に持っておくコストは月5万円前後。減算1ヶ月120万円の24分の1で、退職1人で減算になるリスクを消せる。人員基準ぎりぎりの配置は人件費の最適化に見えるが、減算の期待値を入れると割高になる。
月次の常勤換算計算表に「基準までの余裕」の列を置き、余裕が0.3を切った職種から採用を動かす。これが減算を経理側から防ぐ最も安い方法になる。
ミナ非常勤1人分の余裕を持っておくと月5万円くらい。減算の120万円と比べたら安いです。
ジムチョー減算の期待値を入れると、ぎりぎりの配置は割高になるんだ。余裕が0.3を切った職種から採用を動かしていこう。
出典
- 厚生労働省 やむを得ない事情における人員欠如に係る特例的な取扱い(介護給付費分科会 資料3)
- 介護保険最新情報 Vol.1502(令和8年5月8日)と関連Q&A
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)および留意事項通知
記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。