居宅介護支援費の逓減制とは?取扱件数45件・50件の数え方とケアマネ1人あたりの上限

結論(この記事でわかること)
ミナ管理者から「新規の依頼をあと何人受けられるか、逓減にかからない範囲で出して」と頼まれました。逓減制は、45件を超えると利用者全員の報酬が下がる仕組みなんですか?
ジムチョー下がるのは超えた分だけなんだ。ケアマネ1人あたり45件目から先の利用者だけ、単位数がほぼ半分になるよ。全員が下がるわけではないけれど、超えた人の分の収入は半分になるから、受ける人数の見通しは大事なんだ。
ミナ超えた分だけ半分になる、ということですね。受けられる人数の上限は、45件で考えればいいですか?
ジムチョー報酬の線は45件だけど、運営基準ではその手前の44人ごとにケアマネ1人を置くことになっているんだ。報酬より先に人員の線に当たるから、両方を並べて見ておこう。
居宅介護支援費は、事業所の利用者数をケアマネジャー(介護支援専門員)の常勤換算数で割った「取扱件数」で単位数が変わる。居宅介護支援費(Ⅰ)は、45件未満の部分が要介護1・2で1,086単位、45件以上60件未満の部分が544単位、60件以上の部分が326単位。ケアプランデータ連携システムの活用と事務職員の配置を届け出た居宅介護支援費(Ⅱ)は、満額(ⅰ)で数えられる部分が50件未満まで延びる。下がるのは線を超えた部分の利用者だけで、契約日の新しい利用者から順にⅱ・ⅲを割り当てる。
| 区分 | 要件 | ⅰ(満額) | ⅱ(約5割) | ⅲ(約3割) |
|---|---|---|---|---|
| (Ⅰ) | (Ⅱ)を届け出ていない事業所 | 45件未満の部分 | 45件以上60件未満の部分 | 60件以上の部分 |
| (Ⅱ) | ケアプランデータ連携システムの活用と事務職員の配置を届け出た事業所 | 50件未満の部分 | 50件以上60件未満の部分 | 60件以上の部分 |
押さえる点は3つ。
- 取扱件数は事業所全体の平均。利用者数(介護予防支援の利用者は3分の1で数える)を常勤換算のケアマネ数で割る。ケアマネ一人ひとりの担当件数ではない
- 運営基準の線は報酬の線より手前にある。利用者44人((Ⅱ)の体制なら49人)ごとにケアマネ1人。常勤のケアマネ3人なら132人(147人)までで、報酬が満額の134件目(149件目)より先に当たる
- 2026年6月の令和8年度臨時改定で、単位数と件数の線は変わっていない。変わったのは、居宅介護支援が処遇改善加算(2.1%)の対象になったこと
居宅介護支援費(Ⅰ)(Ⅱ)の単位数と逓減の線
(Ⅱ)は、45件の線が50件に延びるんですね。何をすれば(Ⅱ)になるんですか?
ケアプランデータ連携システムを使うことと、事務職員を置くことの両方なんだ。2024年3月まではどちらか一方でよかったけれど、2024年度改定で両方が必要になったよ。
事務職員は、居宅介護支援事業所の専属で雇わないといけないんですか?
常勤でなくてもいいし、同じ法人のほかの部署にいる人でもいいんだ。ただ、ケアマネの事務を実際に手伝っていることが前提だから、どの業務を受け持つかは書いて残しておこう。
単位数は1月につき次のとおり(告示 別表の居宅介護支援費 イ)。2024年度改定で決まった単位数で、2026年6月の改正後の告示でも同じ。
| 区分 | 取扱件数のどの部分か | 要介護1・2 | 要介護3〜5 |
|---|---|---|---|
| (Ⅰ)ⅰ | 45件未満 | 1,086単位 | 1,411単位 |
| (Ⅰ)ⅱ | 45件以上60件未満 | 544単位 | 704単位 |
| (Ⅰ)ⅲ | 60件以上 | 326単位 | 422単位 |
| (Ⅱ)ⅰ | 50件未満 | 1,086単位 | 1,411単位 |
| (Ⅱ)ⅱ | 50件以上60件未満 | 527単位 | 683単位 |
| (Ⅱ)ⅲ | 60件以上 | 316単位 | 410単位 |
ⅱはⅰの約5割、ⅲは約3割になる。(Ⅱ)のⅱ・ⅲは(Ⅰ)より少し低い(要介護1・2で17単位と10単位)が、満額で数えられる件数がケアマネ1人あたり5件多いので、取扱件数が45件以上の事業所では(Ⅱ)のほうが多くなる。45件未満なら(Ⅰ)と(Ⅱ)の額は同じ。(Ⅱ)を算定する事業所は(Ⅰ)を算定しないので、事業所ごとにどちらか一方になる。離島など厚生労働大臣が定める地域に所在する事業所は、取扱件数にかかわらずⅰを算定する(告示の注1・注2のただし書き)。 居宅介護支援のほかの加算・減算は居宅介護支援の加算・減算一覧で見渡せる。
(Ⅱ)の要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ケアプランデータ連携システムの利用 | 国民健康保険中央会が運用するシステム。利用申請をし、クライアントソフトをインストールしていれば満たし、ほかの事業所と実際にデータをやりとりした実績は問わない(留意事項通知 第3の7(2))。同等の機能とセキュリティがあると厚生労働省の検討会で認められた市販のシステムでもよい(令和6年度Q&A Vol.13 問2。認められたシステムは厚生労働省の「居宅介護支援費に係るシステムの公募について」に載っていて、2026年11月3日時点で4件) |
| 事務職員の配置 | ケアマネが行う運営基準第13条の一連の業務の負担軽減や効率化に役立つ職員。常勤でなくてもよく、事業所内に限らず同じ法人内の配置でもよい。勤務時間数の決まりはないが、事業所の業務の実情に合った人数を置く(留意事項通知 第3の7(3)) |
| 届出 | 市町村に体制届を出す。原則として電子申請届出システムで行う(告示の注2) |
事務職員が受け持つ業務の例として、Q&Aは、要介護認定調査の関連書類の受領・打ち込み・ファイリング、ケアプラン作成と給付管理の関連書類の打ち込み・複写・ファイリング、利用者や家族・事業所・保険者との連絡調整、書類の発送、給与計算を挙げている(令和6年度Q&A Vol.1 問115)。同じ法人内の配置の例は、法人の総務部門にいる事務職員や、併設の訪問介護事業所にいる事務職員(令和3年度Q&A Vol.3 問117)。
2024年度改定で変わったこと
| 項目 | 2024年3月まで | 2024年4月から |
|---|---|---|
| (Ⅰ)ⅰの範囲 | 40件未満 | 45件未満 |
| (Ⅱ)ⅰの範囲 | 45件未満 | 50件未満 |
| (Ⅱ)の要件 | ICT機器の活用または事務職員の配置 | ケアプランデータ連携システムの活用および事務職員の配置 |
| 介護予防支援の利用者の数え方 | 2分の1 | 3分の1 |
| 単位数((Ⅰ)ⅰ・要介護1・2) | 1,076単位 | 1,086単位 |
| 運営基準(ケアマネ1人あたり) | 35人 | 44人((Ⅱ)の体制なら49人) |
令和8年度臨時改定(2026年6月)では、居宅介護支援費の単位数と取扱件数の線は変わっていない。居宅介護支援は新しく介護職員等処遇改善加算の対象になり、居宅介護支援費と各加算を足した単位数の1000分の21(2.1%)を加算する(告示 別表の居宅介護支援費 ヌ)。要件は処遇改善加算の区分と要件にまとめたが、厚生労働大臣が定める基準(第85号の4で第10号の2を準用)には、ケアプランデータ連携システムの利用も要件の満たし方の1つとして挙がっている。(Ⅱ)のためにシステムを入れれば、処遇改善加算の要件を満たすのにも使える。システムの費用と今後の予定はケアプランデータ連携システムの記事にまとめている。
取扱件数の数え方と、ⅱを割り当てる利用者

取扱件数は、ケアマネ一人ひとりの担当件数で見るんですか?
事業所全体の平均なんだ。利用者数を常勤換算のケアマネ数で割るから、担当件数に人による差があっても、平均が45件未満なら逓減はかからないよ。ただ、件数が一部の人に大きく偏ると是正を求められるから、偏りは見ておこう。
地域包括から受けている予防の方も、数に入るんですよね。
3分の1で入るんだ。予防を15人受けていれば5件分になるから、居宅の利用者だけで数えていると線を見誤ってしまうよ。
取扱件数 =(月末に給付管理をしている居宅介護支援の利用者数 + 介護予防支援の利用者数 × 3分の1)÷ ケアマネの常勤換算数
| 項目 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 居宅介護支援の利用者 | その月に実際にサービスを使い、給付管理をして報酬を請求する人。契約だけで利用がない人は数えない | 告示の注1、留意事項通知 第3の7(1)、平成18年Q&A(Vol.2)問32 |
| 介護予防支援の利用者 | 地域包括支援センターから委託を受けた分と、市町村の指定を受けて自ら行う分の両方を、3分の1にして足す | 告示の注1 |
| 総合事業の介護予防ケアマネジメント | 数えない | 平成27年度Q&A 問180 |
| ケアマネの数 | 常勤換算で数える。管理者がケアマネ業務を兼ねていれば常勤換算1として数えてよく、管理業務だけなら数えない | 告示の注1、平成18年Q&A(Vol.2)問31 |
| ケアマネごとの件数の差 | 平均で判定するので、一部のケアマネが線を超える件数を担当してもよい。ただし著しく偏り、ケアマネジメントの質に支障があるなら是正する | 平成18年Q&A(Vol.2)問30 |
ⅱ・ⅲを割り当てる利用者
利用者を契約日の古い順に並べ、ⅰは1件目から「45 × 常勤換算数 − 1」件目まで(45 × 常勤換算数に小数点以下の端数が出るときは、端数を切り捨てた件数まで)、その次からⅱ、「60 × 常勤換算数」件目からⅲを算定する。(Ⅱ)は45を50に読み替える(留意事項通知 第3の7(4)、令和6年度Q&A Vol.1 問114)。
| 常勤換算数 | (Ⅰ)ⅰ | (Ⅰ)ⅱ | ⅲ | (Ⅱ)ⅰ |
|---|---|---|---|---|
| 1.6人 | 1〜71件目 | 72〜95件目 | 96件目から | 1〜79件目 |
| 2.5人 | 1〜112件目 | 113〜149件目 | 150件目から | 1〜124件目 |
| 3.0人 | 1〜134件目 | 135〜179件目 | 180件目から | 1〜149件目 |
1.6人と2.5人の(Ⅰ)ⅰの範囲と、2.5人のⅱ・ⅲの境目は、Q&Aの例そのもの(45 × 1.6 = 72から1を引いて71件目まで、45 × 2.5 = 112.5の端数を切り捨てて112件目まで、60 × 2.5 = 150から1を引いて149件目までがⅱ)。並べ方には次の決まりもある。
- 契約日が同じ利用者が境目にまたがるときは、単位数の高い利用者(要介護3〜5)を先に並べ、境目の後ろに単位数の低い利用者(要介護1・2)を置く(平成21年Q&A Vol.1 問59)
- 介護予防支援には逓減がない。予防の利用者を先頭に置き、その後ろに居宅介護支援の利用者を契約日の古い順に並べる(同 問60)
- 事業の譲渡・承継で引き継いだ利用者は、譲渡・承継の日を契約日とする(同 問61)
たとえば常勤換算3.0、居宅介護支援の利用者130人、地域包括から委託を受けた介護予防支援15人なら、取扱件数は(130 + 15 × 1/3)÷ 3.0 = 45.0件。予防の5件分を先頭に置くと、居宅の利用者は6件目から並び、134件目(居宅の129人目)までがⅰ、居宅の130人目(契約日が最も新しい人)がⅱになる。予防を受けていなければ取扱件数は43.3件で、逓減はかからない。
運営基準の「44人に1人」と報酬の45件の違い

運営基準の44人と報酬の45件は、1つしか違わないんですね。
そうなんだ。常勤のケアマネ3人なら、運営基準では132人まで、報酬が満額なのは134件目まで。報酬の線に届く前に人員の線を超えるから、受け入れの判断は運営基準の線でするといいよ。
運営基準(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第2条)は、利用者の数(介護予防支援の利用者は3分の1で数える)が44人またはその端数を増すごとにケアマネ1人を置くと定めている。ケアプランデータ連携システムを利用し、かつ事務職員を置いている事業所は49人ごとに1人。1人以上は常勤で、増やす分は非常勤でもよい(解釈通知 第2の2(1))。
| 線 | 何を決める線か | 通常 | (Ⅱ)の体制(システムと事務職員) | 超えたとき |
|---|---|---|---|---|
| 運営基準 | ケアマネの配置 | 44人ごとに1人 | 49人ごとに1人 | ケアマネを増やす。緊急に利用者を受け入れなければならないなど、やむを得ない理由で超えた場合は、直ちに運営基準違反とはしないよう留意するとされている |
| 報酬(逓減) | 1件あたりの単位数 | 45件以上の部分がⅱ | 50件以上の部分がⅱ | 超えた部分の単位数がほぼ半分 |
| 特定事業所加算 | 加算の要件 | 1人あたり45名未満 | 50名未満 | その月は加算を算定できない |
常勤のケアマネ3人(常勤換算3.0)の事業所に当てはめると、3つの線はほぼ同じ場所に並ぶ。
| 線 | 通常 | (Ⅱ)の体制 |
|---|---|---|
| 運営基準で受けられる人数 | 132人まで | 147人まで |
| 報酬が満額(ⅰ)の件数 | 134件目まで | 149件目まで |
| 特定事業所加算の件数要件 | 134人まで | 149人まで |
常勤のケアマネだけの事業所では、逓減にかかる月は、運営基準の線もすでに超えている月になる。逓減は「件数を詰めれば収入が増える」状態に天井を付ける仕組みで、実際の天井は運営基準の側にある。特定事業所加算の件数要件と、加算全体の管理は特定事業所加算(居宅介護支援)にまとめた。
件数が線に近いことを理由に、新規の依頼を一律に断ることは避けたい。正当な理由なくサービスの提供を拒むことはできず、いまのケアマネの人数では応じきれない場合は正当な理由に当たるが、個別の状況で判断し、断るときは事情を説明して別の事業所を紹介するなど、利用者に支障がないよう配慮するとされている(平成18年Q&A(Vol.2)問36)。
月いくら変わるか(計算例)
常勤専従のケアマネ3人(常勤換算3.0)、介護予防支援の受託なし、地域区分「その他」(1単位10.00円)の事業所と仮定する。計算を簡単にするため利用者は全員要介護1・2とする(要介護3〜5が混じると、差はもっと大きくなる)。単位数は現行の告示のもの。
利用者130人・140人・150人の月額
| 利用者数 | 取扱件数 | (Ⅰ)の計算 | (Ⅰ)の月額 | (Ⅱ)の計算 | (Ⅱ)の月額 | (Ⅱ)−(Ⅰ) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 130人 | 43.3件 | 1,086 × 130 | 1,411,800円 | 1,086 × 130 | 1,411,800円 | 0円 |
| 140人 | 46.7件 | 1,086 × 134 + 544 × 6 | 1,487,880円 | 1,086 × 140 | 1,520,400円 | 32,520円 |
| 150人 | 50.0件 | 1,086 × 134 + 544 × 16 | 1,542,280円 | 1,086 × 149 + 527 × 1 | 1,623,410円 | 81,130円 |
(Ⅰ)と(Ⅱ)の差は、140人で年390,240円、150人で年973,560円。130人から140人に10人増やすと、(Ⅰ)では月76,080円(1人あたり7,608円)、(Ⅱ)では月108,600円(1人あたり10,860円)増える。140人は運営基準の132人を超えていて、(Ⅰ)のままなら4人目のケアマネが要る。150人は(Ⅱ)の147人も超える。
1人増やしたときの限界収入
| 何件目の利用者か | (Ⅰ) | (Ⅱ) |
|---|---|---|
| 1〜134件目 | 10,860円 | 10,860円 |
| 135〜149件目 | 5,440円 | 10,860円 |
| 150〜179件目 | 5,440円 | 5,270円 |
| 180件目から | 3,260円 | 3,160円 |
要介護3〜5の利用者なら、ⅰが14,110円、(Ⅰ)ⅱが7,040円、(Ⅱ)ⅱが6,830円、ⅲが4,220円((Ⅱ)は4,100円)。地域区分で1単位の単価が変わるので、1級地(居宅介護支援は11.40円)なら表の金額の1.14倍になる(単価の決まり方は地域区分と1単位の単価)。
特定事業所加算を算定している場合
主任ケアマネ1人と常勤専従のケアマネ2人の3人で、特定事業所加算(Ⅲ)(323単位)を算定している事業所が、(Ⅰ)のまま140人を受けると、1人あたり46.7人で「45名未満」を満たさない。その月に失う加算は 323単位 × 140人 × 10.00円 = 452,200円で、逓減で減る額(542単位 × 6人 × 10.00円 = 32,520円)の約14倍になる。(Ⅱ)なら「50名未満」なので加算は続く。150人では(Ⅱ)でも1人あたり50.0人になり、50名未満を満たさない。
事務職員を置いて(Ⅱ)にする損益
(Ⅱ)の効き目は、140人や150人での単価の差よりも、ケアマネを増やさずに受けられる人数が増えることにある。運営基準で受けられる人数まで全員ⅰで受けたとして比べる。事務職員はパートで月11万円(法定福利費を含む)、ケアマネは月給30万円 × 12か月 × 1.15(法定福利費)と仮定する。
| 体制 | 運営基準で受けられる人数 | 月の居宅介護支援費 | 132人と比べた増収(年) | 増える人件費(年) | 差引(年) |
|---|---|---|---|---|---|
| (Ⅰ)ケアマネ3人 | 132人 | 1,433,520円 | — | — | — |
| (Ⅱ)ケアマネ3人+事務職員 | 147人 | 1,596,420円 | 1,954,800円 | 1,320,000円 | +634,800円 |
| (Ⅰ)ケアマネ4人 | 176人 | 1,911,360円 | 5,734,080円 | 4,140,000円 | +1,594,080円 |
人件費を賄える人数(損益分岐)は、事務職員なら132人を11人超えたところ(月11万円 ÷ 10,860円)、ケアマネなら32人超えたところ(月34.5万円 ÷ 10,860円)。ケアマネを増やすほうが差引は大きいが、新しく44人分の依頼が集まることが前提で、32人を超えるまでは人件費を賄えない月が続く。(Ⅱ)は増える枠が15人と小さいかわりに、法人内のほかの事業所の事務職員に業務を割り振れれば、増える費用はその時間分だけで済む。1級地(11.40円)なら、(Ⅱ)で増える15人分の報酬は年2,228,472円。
処遇改善加算(2.1%)を算定していれば、居宅介護支援費が増えた分の2.1%も加わるが、賃金改善に充てるお金なので損益には入れていない。
140人のとき、(Ⅰ)と(Ⅱ)の差は月3万円ほどなのに、特定事業所加算まで入れると45万円以上も変わるんですね。
逓減で減る額より、加算の要件から外れるほうがずっと重いんだ。特定事業所加算を取っている事業所は、45件の線を「単価が下がる線」ではなく「加算がなくなる線」として見ておくといいよ。
(Ⅱ)にするかどうかは、受けられる人数が15人増えることをどう見るか、ということですね。
そういうことだね。15人分の新規の依頼が見込めるかと、事務職員を法人の中で用意できるかの2つで判断しよう。自社の数字に置き換えるときは、ケアマネの常勤換算数と予防の件数から直すといいよ。
実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)

件数の確認は、毎月いつやるのがいいですか?
給付管理票を作る前、月初の数日のうちにやろう。前月に給付管理をする人の数と予防の件数、ケアマネの勤務時間がそろえば計算できるし、10日の請求に間に合わせれば、あとで直す手間もかからないよ。
| 時期 | 作業 | 担当 | 帳票 |
|---|---|---|---|
| 毎月1日〜5日ごろ(給付管理票を作る前) | 前月に給付管理をする居宅介護支援の利用者数と、介護予防支援の利用者数(委託分・指定分)を数える。契約だけで利用がなかった人と、総合事業のケアマネジメントは除く | 請求担当 | 給付管理票の一覧、利用者台帳 |
| 同じ日 | ケアマネの前月の勤務実績から常勤換算数を出し、取扱件数を計算する。45件((Ⅱ)は50件)以上なら、契約日順の一覧でⅱ・ⅲに当たる利用者を決める | 事務長 | 勤務表(実績)、契約日順の利用者一覧、取扱件数の計算表 |
| 10日まで | 国保連に請求する。請求ソフトに判定させている場合も、入れてある常勤換算数と契約日が正しいかを確かめる | 請求担当 | 給付管理票、介護給付費明細書、判定結果の控え |
| 新規の依頼を受ける前 | 受けたら何人目・何件目になるかを確かめる(運営基準の44人・49人、逓減の45件・50件、特定事業所加算の45名・50名) | 管理者 | 受け入れの判定表 |
| ケアマネの退職・休職・採用が決まったとき | その月と翌月以降の常勤換算数と取扱件数を試算し、新規の受け入れと担当の振り分けを調整する | 事務長・管理者 | 常勤換算の試算表 |
| (Ⅱ)を始める月の前月15日まで | システムの利用申請とクライアントソフトのインストール、事務職員の配置(勤務表と業務の分担)を済ませ、市町村に体制届を出す。15日までの届出で翌月から、16日以降なら翌々月から算定する | 事務長 | 体制等状況一覧表、届出の控え、事務職員の勤務表 |
| (Ⅱ)の要件が欠けたとき | 速やかに市町村に届け出て、(Ⅰ)で請求する | 事務長 | 届出の控え |
よくあるつまずき
常勤のケアマネが月の半ばで退職したら、その月の件数はどうなりますか?
その月の常勤換算は、辞めた人が勤務した時間の分だけで数えることになるんだ。3人のうち1人が15日で辞めると2.5人ほどになって、満額で数えられるのは112件目までに下がるよ。担当の引き継ぎだけでなく、件数の見通しも退職が決まった時点で立てておこう。
事務職員が辞めてしまった場合、(Ⅱ)はどうなりますか?
要件が欠けるから、(Ⅱ)のままでは請求できないんだ。運営基準の線も49人から44人に戻るから、後任が決まるまでの件数と届出を先に確かめておくといいよ。
- 予防の委託分を数え忘れる。介護予防支援の利用者は3分の1で取扱件数に入る。地域包括支援センターからの委託分も、市町村の指定を受けて行う分も同じ
- 契約だけの人を数える。取扱件数は、その月に実際にサービスを使い、給付管理をして請求する人の数。入院などで月を通して利用がなく給付管理票を出さない人は数えない(その月は居宅介護支援費も算定できない)
- 常勤換算数を毎月出し直していない。非常勤のケアマネの勤務時間が月によって変わると、ⅰで数えられる件数も動く。常勤換算2.6なら116件目まで、2.8なら125件目まで
- 月の途中の退職を見落とす。常勤換算は勤務延時間数を常勤の勤務すべき時間数で割って出すので、退職した月は辞めた人が勤務した分しか入らない。常勤3人のうち1人が月の半ばで辞めれば、その月はおよそ2.5人で、ⅰは112件目までになる。翌月からの採用が決まっていても、その月は下がった常勤換算数で判定する
- 管理者を数え間違える。ケアマネ業務を兼ねる管理者は常勤換算1として数えてよいが、管理業務だけをしている管理者は数えない
- (Ⅱ)の事務職員が名ばかりになる。同じ法人内の人でもよいが、ケアマネの業務の負担軽減に実際に役立っていることが前提。勤務表と業務の分担を残しておかないと、運営指導で説明できない
- システムは申請しただけで、クライアントソフトを入れていない。要件は利用申請とクライアントソフトのインストールの両方
- ⅱを担当ケアマネごとに割り当てる。割り当ては事業所全体の利用者を契約日の古い順に並べて行う。担当ごとに45件目から先をⅱにするのではない
経理・管理側の視点
経営会議では、逓減制をどう説明すればいいでしょうか?
「45件目から先の1人は、収入が半分になる」と、次の1人の収入で説明するといいよ。事業所全体の平均単価で見ると下がり方が小さく見えるから、1人増やしたときにいくら入るかを並べると分かりやすいんだ。
居宅介護支援の収入は、ほぼ「ケアマネの人数 × 1人あたりの件数 × 単価」で決まる。逓減制は、1人あたりの件数を詰めて収入を伸ばすやり方に天井を付ける仕組みで、常勤のケアマネだけの事業所では、その天井は報酬の45件(50件)より先に、運営基準の44人(49人)で来る。経営の打ち手は件数を詰めることではなく、次の3つになる。
- ケアマネを増やす。1人増やせば運営基準で受けられる人数が44人増える。上の仮定では、増やす前より32人多く受けて人件費を賄える
- (Ⅱ)にする。ケアマネ1人あたり5人分の枠が増え、特定事業所加算の件数要件も50名未満になる。事務職員を法人の中で用意できれば費用は小さい
- 受け入れを月単位で管理する。退職や休職で常勤換算数が下がる月を前もって知り、その月の新規の受け入れを調整する
管理側で毎月見る数字は3つ。取扱件数(予防を3分の1で足したもの)、ケアマネの常勤換算数と退職・休職の予定、運営基準の残りの枠(たとえば3人体制なら132人から利用者数を引いた人数)。ケアマネ1人が抜けると、受けられる人数が44人減り、特定事業所加算の人員要件にも響く。1人あたりの件数を49人まで詰めた体制は、1人の退職で一気に線を超えるので、余裕を残した人数で回すほうが、収入の見通しは安定する。
2027年4月の介護報酬改定で件数の線や単位数が変わったら、ここで使った45・50・60の線と単位数を差し替えて計算し直す。改定の議論は2027年度改定の論点まとめで追っている。
まずは今月の取扱件数を、予防の3分の1も入れて計算し直してみます。
それが最初の一歩だね。あわせて、運営基準の残りの枠があと何人かも出して、管理者と共有しておこう。
出典
- 指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第20号)別表 居宅介護支援費 イの注1・注2、ヌ
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第2条
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第2条第8号(常勤換算方法)
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(老企第22号)令和6年度改正 新旧対照表 第2の2(1)
- 留意事項通知(老企第36号)令和6年度改正 新旧対照表 第3の7(1)〜(4)
- 留意事項通知(老企第36号)第1の1(6)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第84号イ(10)、第85号の4
- 厚生労働大臣が定める一単位の単価(平成27年厚生労働省告示第93号)
- 令和6年度介護報酬改定における改定事項について(3.(3)⑮⑯、居宅介護支援・介護予防支援 基本報酬)
- 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)問114・問115
- 厚生労働省 介護サービス関係Q&A集(平成18年Q&A(Vol.2)問30〜32・問36、平成21年Q&A(Vol.1)問59〜61、平成27年度Q&A 問180、令和3年度Q&A(Vol.3)問117、令和6年度Q&A(Vol.13)問2)
- 厚生労働省 居宅介護支援費に係るシステムの公募について
記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。
