加算・算定実務

特定事業所加算(居宅介護支援)とは?単位数・算定要件と、人員が欠けて落ちる月の管理

介護職員と笑顔の高齢の女性

結論(この記事でわかること)

ミナ

管理者に「うちの居宅は特定事業所加算を取れているか」と聞かれました。特定事業所加算は訪問介護にもありますよね?

ジムチョー

あるよ。この記事は居宅介護支援の加算で、ケアマネジャーの人員体制を評価して、利用者全員に毎月つくんだ。(Ⅱ)なら利用者100人で年間505万円になるよ。

ミナ

人員体制の加算だと、ケアマネが1人退職しただけで取れなくなる月もあるんですね。

ジムチョー

人数がぎりぎりの事業所はそうなんだ。だから管理するのは、常勤のケアマネの人数と、主任ケアマネの研修の期限だよ。

この記事は、ケアマネジャーの事業所(居宅介護支援)の特定事業所加算を扱う。訪問介護の特定事業所加算は別の加算で、訪問介護の特定事業所加算にまとめた。

居宅介護支援の特定事業所加算は、利用者全員について毎月算定し、(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)(A)のうちどれか1つを選ぶ(2024年度改定で各14単位上がった。告示 別表 ハ)。利用者100人の事業所で(Ⅱ)なら月421,000円、年間505万円(その他地域)で、要介護1・2の基本報酬(1,086単位)の4割近くにあたる。

要件は人員配置の体制要件なので、常勤専従のケアマネが抜けて人数が足りなくなった月から、その区分は算定できない。

区分単位数(1人・1か月。1単位10.00円の地域)常勤専従の主任ケアマネ常勤専従のケアマネ人数の合計その他
(Ⅰ)519単位(5,190円)2人以上3人以上5人以上要介護3〜5の利用者が40%以上
(Ⅱ)421単位(4,210円)1人以上3人以上4人以上—
(Ⅲ)323単位(3,230円)1人以上2人以上3人以上—
(A)114単位(1,140円)1人以上1人以上と、常勤換算で1以上(非常勤でも可)3人以上(1人は常勤換算)24時間連絡体制・研修・実習・他法人との事例検討会は、他の事業所との連携でも可

主任ケアマネは、常勤専従のケアマネの人数には含めず、別に置く(留意事項通知)。たとえば(Ⅱ)は主任1人とケアマネ3人の4人が要り、主任1人とケアマネ2人の3人は(Ⅲ)の人数になる。

2024年度改定で「専従」の扱いがはっきりした。支障がなければ、主任は事業所の他の職務や同じ敷地内の他の事業所の職務と、ケアマネは事業所の他の職務や同じ敷地内の介護予防支援事業所の職務と兼務してよい。「事業所の他の職務」には、介護予防支援や、地域包括支援センターから受けた総合相談支援事業が含まれる。非常勤を人数に数えられるのは(A)だけで、常勤の考え方は常勤換算の計算方法にある。ほかの加算・減算は居宅介護支援の加算・減算一覧で見渡せる。

全区分に共通する要件

長机が並ぶ会議室
ミナ

要件が13もあるんですね。どれから確認すればいいですか?

ジムチョー

記録が残っているかで見ていくといいよ。まず会議。おおむね週1回以上の開催が決まっていて、テレビ電話でもいいんだ。議事録で週1回が追えるようにしておこう。

ミナ

ヤングケアラーや障害者の支援に関する研修への参加は、2024年度に加わった要件なんですね。

ジムチョー

そうなんだ。他の法人と共同で開く事例検討会とは別の要件だから、参加した記録を分けて整理しておこう。

人員のほかに、次の要件がある(告示 第84号イ(3)〜(13))。2024年度改定で、ヤングケアラーなどに関する研修への参加が加わり、運営基準減算の要件はなくなった。

要件内容残す記録
利用者情報の共有会議利用者の情報やサービス提供の留意事項の伝達などを目的とした会議を、おおむね週1回以上開く。テレビ電話装置等でもよい議事録(日時・参加者・議題・内容)を2年間保存
24時間連絡体制常時、担当者が携帯電話等で連絡を取れ、必要に応じて相談に応じられる体制。ケアマネの輪番でもよい((A)は連携や携帯電話の転送でも可)当番表、連絡先の利用者への周知
研修の実施ケアマネごとに目標・内容・実施時期を定めた計画を、毎年度、次年度が始まるまでに作る((A)は連携でも可)個別の研修計画、受講記録
困難事例の受入地域包括支援センターから支援が困難な事例を紹介された場合も、居宅介護支援を提供紹介と受入の記録
他制度の知識に関する研修等への参加ヤングケアラー、障害者、生活困窮者、難病患者等への支援に関する事例検討会・研修等に参加(2024年度に追加)。支援の実績は要らない(令和6年度Q&A Vol.1 問117)参加記録
減算の非該当特定事業所集中減算の適用を受けていない集中減算の判定の書類
取扱件数ケアマネ1人あたりの利用者数が45名未満(居宅介護支援費(Ⅱ)を算定している場合は50名未満)利用者一覧
実務研修の実習への協力実務研修の実習等に協力、または協力体制を確保し、受入れに同意していることを書面等で示せるようにする((A)は連携でも可)同意の書面
他法人との共同の事例検討会他の法人の居宅介護支援事業者と共同で実施し、計画(内容・時期・共同先)を、毎年度、次年度が始まるまでに作る。市町村や職能団体との共同でもよいが、他法人の事業者の参画が要る(平成30年度Q&A Vol.1 問137。(A)は連携でも可)計画、実施の記録
インフォーマルサービスを含む計画必要に応じて、インフォーマルサービスを含む生活支援が提供されるような居宅サービス計画を作成。1件も位置づけなくても算定できるが、理由は説明できるように(令和3年度Q&A Vol.3 問113)居宅サービス計画

利用者数は、留意事項通知が事業所単位の平均で見るとしている。介護予防支援の利用者を数に入れるかは通知に書かれていないので、指定権者の案内で確かめる。管理は、逓減制の取扱件数(介護予防支援は3分の1、ケアマネは常勤換算)で見ておくと線に余裕が持てる。数え方は居宅介護支援費の逓減制と取扱件数にある。

月あたりいくらか(計算例)

利用者90人(全員が要介護)、地域区分「その他」(1単位10.00円)の事業所。いまは主任1人と常勤専従ケアマネ2人の(Ⅲ)で、常勤専従ケアマネを1人増やして(Ⅱ)にし、新しいケアマネが要介護1・2の利用者40人を受ける場合。

項目計算金額
いまの(Ⅲ)の加算323単位 × 90人 × 10.00円290,700円/月
増員後の(Ⅱ)の加算421単位 × 130人 × 10.00円547,300円/月
加算の増分547,300 − 290,700256,600円/月、3,079,200円/年
新しい40人の基本報酬1,086単位 × 40人 × 10.00円 × 12か月5,212,800円/年
増やすケアマネ1人の人件費月給30万円 × 12か月 × 1.15(法定福利費)4,140,000円/年
増員の収支3,079,200 + 5,212,800 − 4,140,000+4,152,000円/年

増員後の1人あたりの件数は 130人 ÷ 常勤換算4人 = 32.5人で、45人未満の要件も満たす。一方、利用者を増やさずに区分だけ上げる場合、加算の増分は(421 − 323)× 90人 × 10.00円 = 月88,200円(年1,058,400円)で、人件費を賄えない。特定事業所加算は増員の判断を後押しする材料で、加算だけで増員を決めるものではない。単位数は2024年度改定のもの(居宅介護支援費(Ⅰ)は要介護1・2が1,086単位、要介護3〜5が1,411単位)。2026年6月からつく処遇改善加算(2.1%。告示 別表 ヌ)は、賃金改善に充てる収入なので上の収支に入れていない。

ミナ

加算の増分だけだと、増やすケアマネ1人の人件費を賄えないんですね。

ジムチョー

利用者を増やさなければ、加算の増分は年106万円で人件費に届かないんだ。受けられる利用者の基本報酬と、その人たちの加算まで足して黒字になるかで判断しよう。

ミナ

そうすると、増やしたケアマネが担当する利用者が本当に集まるかも見ておく必要がありますね。

ジムチョー

そこが一番の前提なんだ。担当が埋まらないと、加算の増分だけでは人件費を賄えないからね。新規の受け入れの見込みと合わせて判断しよう。

実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)

机の上の書類とビジネスバッグ
ミナ

常勤ケアマネの退職が決まったら、まず何をすればいいですか?

ジムチョー

決まったその日に、退職月から要件を満たさなくなるかを判定するんだ。満たさなくなる月は、その事実が起きた日から算定できないから、速やかに届出を出そう。事務長にもすぐ伝えてね。

ミナ

集中減算の計算は、事務長の担当なんですね。

ジムチョー

前期と後期の半年ごとに割合を出して、判定の書類を残しておくんだ。集中減算に当たると加算そのものが取れなくなるから、途中の月でも割合を見ておくと安心だよ。

時期作業担当帳票
毎週利用者情報の共有会議を開き、議事録を残す管理者議事録
毎月末常勤専従ケアマネ・主任ケアマネの人数、1人あたり利用者数、(Ⅰ)は要介護3〜5の割合を確認。基準の遵守状況に関する所定の記録を作り、2年間保存管理者職員一覧、利用者一覧、所定の記録
毎年度、3月まで次年度の個別研修計画と、他法人との共同の事例検討会等の計画を作成管理者個別研修計画、事例検討会等の計画
主任研修の更新期限の1年前主任介護支援専門員更新研修の申込管理者・本人研修申込の控え
前期(3〜8月)・後期(9〜2月)の終わり特定事業所集中減算の判定の書類を作る。80%を超えるサービスがあれば、前期は9月15日、後期は3月15日までに提出事務長集中減算の判定の書類
新たに算定する・区分を上げる月の前月15日まで体制等状況一覧表と特定事業所加算に係る届出書を市町村に出す。算定を始める前に、利用者に加算の取得を説明事務長・管理者体制等状況一覧表、届出書、重要事項説明書
常勤ケアマネの退職が決まった日退職月から要件を満たさなくなるか判定。満たさなければ速やかに変更届か廃止届管理者・事務長変更届

所定の記録は、標準様式が示されている(平成18年4月改定関係Q&A(Vol.2)問35)。

よくあるつまずき

ミナ

主任ケアマネの資格は、一度取れば大丈夫ですよね?

ジムチョー

5年ごとの更新研修が必要なんだ。期限が切れた月から主任に数えられなくなって、主任が足りない区分は算定できなくなる。更新期限の1年前に申込を入れておこう。

ミナ

管理者の携帯番号を重要事項説明書に載せているだけの場合は、24時間体制と言えますか?

ジムチョー

それだけだと、名目だけと見られやすいんだ。当番表を作って、連絡先を利用者に知らせたところまで記録に残しておこう。

  • 主任ケアマネの更新研修が切れる。資格の有効期間は5年で、更新研修を受けないと失効し、期限切れの月から主任の人数に数えられない
  • 主任を、常勤専従のケアマネの人数に入れて数える。主任は別に置く。主任1人とケアマネ2人の3人は(Ⅲ)の人数で、(Ⅱ)にならない
  • 常勤専従の要件を兼務で崩す。ケアマネが兼務できるのは、事業所の他の職務と、同じ敷地内の介護予防支援事業所の職務まで。併設の訪問介護などの職務を兼ねると「専従」でなくなる(主任は同じ敷地内の他の事業所の職務まで兼務できる)
  • 1人あたりの件数が45人以上になる。45人以上(居宅介護支援費(Ⅱ)なら50人以上)になった月は要件を満たさない。逓減制(居宅介護支援費の減額)とは別に、加算全体が落ちる
  • 会議が週1回に届かない、議事録がない。「定期的」はおおむね週1回以上で、開催の証拠は議事録
  • 研修と事例検討会の計画が、次年度が始まる前にできていない。年度の途中で届け出るときは、届出までに作る
  • 集中減算の判定の書類を作っていない。すべての居宅介護支援事業所が、前期(3〜8月)と後期(9〜2月)ごとに、訪問介護・通所介護・地域密着型通所介護・福祉用具貸与の紹介先の割合を出して書類を残す。正当な理由なく80%を超えると、居宅介護支援費が1月200単位減り、特定事業所加算も算定できない

よくある質問

ミナ

現場から、人数の数え方の質問がよく来ます。答えをまとめておきたいです。

ジムチョー

人数と届出の質問が多いんだ。根拠と一緒に決めておくと、迷わなくなるよ。

主任ケアマネは、常勤専従のケアマネの人数に数えられますか?

数えられない。常勤専従のケアマネとは別に主任を置く必要があり、(Ⅰ)は主任2人とケアマネ3人の5人、(Ⅱ)は主任1人とケアマネ3人の4人、(Ⅲ)は主任1人とケアマネ2人の3人が要る(留意事項通知 第3の14(3))。

管理者がケアマネを兼ねていると、人数に入りますか?

豊中市は、国に確認した結果として、管理者を兼ねるケアマネは常勤専従のケアマネに含まれず、管理者を兼ねる主任は常勤専従の主任に含まれると案内している(令和2年7月31日通知)。自治体の案内なので、指定権者の取扱いも確かめる。

届出は、いつまでに出せば翌月から算定できますか?

毎月15日までに出せば翌月から、16日以降だと翌々月から算定する(留意事項通知 第一の1(6))。居宅介護支援の指定権者は市町村で、体制等状況一覧表と特定事業所加算に係る届出書を出す(平成27年度Q&A 問184)。期限の全体は体制届の提出期限にある。

要件を満たさなくなったら、どうすればよいですか?

速やかに届出を出す。算定できなくなった事実が起きた日から算定できず、届出せずに請求すると返還の対象になる(留意事項通知 第一の5)。(Ⅰ)の要介護3〜5の割合が割れたときは、(Ⅱ)への変更届で足り、割れた月から(Ⅱ)を算定できる(平成21年4月改定関係Q&A(Vol.2)問30)。

経理・管理側の視点

ミナ

居宅介護支援にとって、この加算はどのくらい重いものなんですか?

ジムチョー

基本報酬の単価が低いから、この加算があるかどうかで採算が変わるんだ。ケアマネ1人分の人件費に当たる額だから、落ちると事業所は赤字に転じかねないよ。

居宅介護支援は基本報酬の単価が低く、特定事業所加算の有無で事業の採算が変わる。(Ⅱ)で利用者90人なら加算は年間455万円。この加算がケアマネ1人分の人件費に相当するので、加算が落ちると事業所は赤字に転じかねない。厚生労働省の資料(令和7年11月審査分)では、算定している事業所は(Ⅰ)1.7%、(Ⅱ)23.8%、(Ⅲ)14.1%、(A)0.9%で、合わせて約4割。

管理側で持つ数字は4つ。常勤専従ケアマネの人数と退職予定、主任ケアマネの更新期限、ケアマネ1人あたりの利用者数、(Ⅰ)なら要介護3〜5の割合。月次で見ていれば、加算が落ちる月は数か月前に分かる。採用が間に合わないなら、下位の区分にする届出を速やかに出し、返還を避ける。

2027年度改定の議論中の案。2026年10月19日の第271回介護給付費分科会で、厚生労働省は、(Ⅰ)の要介護3〜5が40%以上の要件の廃止、(A)の廃止(1年の経過措置つき)、(A)にだけ認めている24時間連絡体制や研修の他事業所との連携を上位の区分にも認めることを案として示した。管理者を主任ケアマネとする要件(令和3年3月31日時点で主任でない管理者の事業所は2027年3月31日まで猶予)も、主任を求めない案が出ている。決まった内容ではないので、答申を確かめてから採用と区分の計画を決める。論点の全体は2027年度介護報酬改定の論点まとめにある。

ミナ

常勤の人数、主任の更新期限、1人あたりの利用者数、要介護3〜5の割合。この4つを毎月見ればいいんですね。

ジムチョー

それで加算が落ちる月は数か月前に分かるよ。採用が間に合わないなら、下位の区分への届出を速やかに出そう。

出典

記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。