入浴介助加算とは?(Ⅰ)(Ⅱ)の違い・算定要件・単位数、居宅訪問の記録と2027年度改定案

結論(この記事でわかること)
ミナ施設長から「うちの入浴介助加算は(Ⅱ)にできないの?」と聞かれました。(Ⅰ)と(Ⅱ)は何が違うんですか?
ジムチョー(Ⅰ)は研修をしたうえで入浴を介助すると1日40単位、(Ⅱ)は利用者の家の浴室を見てから入浴計画を作り、家に近い環境で介助すると1日55単位なんだ。差は1回15単位、その他の地域なら150円だね。
ミナ(Ⅱ)は、家でお風呂に入れるようになるための準備までするから高い、ということですね。
ジムチョーそういうことだね。どちらも入浴した日だけの加算で、研修・居宅訪問・入浴計画・入浴の記録がそろっているかで決まるんだ。まず今の記録がそろっているかを確かめておこう。
入浴介助加算は、通所介護・地域密着型通所介護などで入浴介助を行った日に、1日につき算定する。(Ⅰ)と(Ⅱ)は同じ日に両方は取れない。
| 区分 | 単位(1日につき) | 主な要件 |
|---|---|---|
| (Ⅰ) | 40単位 | 入浴介助を適切に行える人員と設備で行う入浴介助(見守りを含む)。入浴介助に関わる職員への研修等 |
| (Ⅱ) | 55単位 | (Ⅰ)の要件に加え、医師等による居宅の浴室での動作と環境の評価、機能訓練指導員等が共同で作る個別の入浴計画、計画に基づく個浴か居宅に近い環境での入浴介助 |
事務長・管理者が押さえる点は5つ。
- 入浴介助をした日だけ算定する。通所介護計画に入浴があっても、利用者側の事情で入浴しなかった日は算定できない
- (Ⅰ)の研修は2024年度改定で加わった要件。(Ⅱ)も(Ⅰ)の要件を含むので、研修の記録がないと両方の根拠を失う
- (Ⅱ)の居宅訪問は、始める前と、状態や浴室が変わったとき。定期の訪問の決まりはなく、個別機能訓練加算(個別機能訓練加算の記事)の訪問と兼ねてよい
- 全員分では大きい。延べ420人日の入浴で(Ⅰ)は月168,000円(その他の地域)。研修の記録がなければ1年で約200万円が返還の対象になりうる
- 2027年度改定で、単価の見直しと(Ⅱ)の居宅訪問の方法の緩和が案として出ている(2026年10月14日の第270回分科会。決定ではない)
入浴介助加算の区分と対象サービス

入浴介助加算は、通所介護のほかにもあるんですか?
同じ名前の加算があるのは通所系だけなんだ。通所介護と地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護は同じ単位数で、通所リハビリテーションは(Ⅱ)が60単位になるよ。訪問入浴介護には、この加算がないんだ。
| サービス | (Ⅰ) | (Ⅱ) | 違い |
|---|---|---|---|
| 通所介護 | 40単位 | 55単位 | 体制届は指定権者(都道府県など)へ |
| 地域密着型通所介護 | 40単位 | 55単位 | 体制届は市町村長へ。療養通所介護は対象外 |
| 認知症対応型通所介護(介護予防を含む) | 40単位 | 55単位 | 体制届は市町村長へ |
| 通所リハビリテーション | 40単位 | 60単位 | (Ⅰ)に研修の要件がない。(Ⅱ)の入浴計画は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が作る |
短期入所、特定施設、施設サービスには、同じ名前の加算はない。訪問入浴介護は、全身入浴が難しく本人の希望で清拭や部分浴にしたときは、所定単位数の90%で算定する仕組みで、入浴介助加算とは考え方が違う。
2021年度改定で、50単位だった加算を(Ⅰ)40単位と、自宅での入浴の自立を目指す(Ⅱ)55単位(通所リハは60単位)に分けた。2024年度改定は単位数が変わらず、(Ⅰ)に入浴介助に関わる職員への研修等が加わり、(Ⅱ)は医師等の訪問が難しいとき、介護職員が訪問して情報通信機器で把握した内容を医師等が評価・助言する方法が認められた。2026年6月の臨時改定のあとの告示でも、単位数は40単位・55単位のまま。
(Ⅰ)の研修は何を、どのくらいの頻度で行うか
研修は、入浴介助の基礎的な知識と技術を身につける機会のこと(留意事項通知)。脱衣・洗髪・洗体・移乗・着衣の介助技術と、入浴事故を防ぐリスク管理が例に挙がっている。内部研修でも外部研修でもよく、継続して機会を確保するよう求められている(令和6年度Q&A Vol.1 問60)。告示・通知・Q&Aに、年何回といった回数の定めはない。
国の調査(令和7年度老人保健健康増進等事業)では、頻度は「年に1回程度」が54.2%、「半年に1回程度」が25.3%、方法は事業所内の座学が86.2%だった(第258回 資料1)。記録は、日時・内容・講師・参加者・使った資料をそろえる。体制届に付ける研修の資料と、運営指導で見せる記録を兼ねられる形にし、新しい職員が入ったときの研修も同じ様式で残す。
(Ⅱ)の居宅訪問・個別の入浴計画・浴室の環境

(Ⅱ)の居宅訪問は、誰が行けばいいんですか? 看護師やリハの職員がいないと取れませんか?
訪問できる人の幅は広いんだ。介護福祉士や機能訓練指導員、介護支援専門員も入っているよ。行ける人がいないときは、介護職員が訪問して写真や動画を撮り、医師等が評価する方法でもいいんだ。
個別機能訓練加算でも居宅訪問をしています。その訪問で兼ねてもいいですか?
兼ねていいと留意事項通知に書いてあるよ。ただ、浴室での動作と浴室の環境を評価した記録が要るから、個別機能訓練の記録とは別の欄を作って残しておこう。
(Ⅱ)は、利用者が家で、自分で、または家族や訪問介護員等の介助で入浴できるようになることを目的にした加算。次の3つを行う。
| 手順 | 誰が | 内容 |
|---|---|---|
| 居宅の浴室での評価 | 医師等(医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、介護支援専門員、評価のできる福祉用具専門相談員、機能訓練指導員、地域包括支援センターの職員、住宅改修の専門的知識と経験のある人) | 利用者の居宅を訪問し、浴室での動作と浴室の環境を評価する。家で入浴するのが難しい環境なら、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と連携し、福祉用具の貸与・購入や住宅改修について助言する |
| 個別の入浴計画 | 機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員などが共同で、医師等と連携して | 利用者の身体の状況と、訪問で把握した浴室の環境を踏まえて作る。通所介護計画に同じ内容を書けば、入浴計画を別に作らなくてよい |
| 入浴介助 | 事業所の職員 | 計画に基づき、個浴か、居宅の浴室の状況に近い環境で介助する |
細かい決まりは次のとおり。
- 住宅改修の専門的知識と経験のある人は、福祉・住環境コーディネーター2級以上などが想定されている(令和6年度Q&A Vol.1 問63)。実際の訪問は、介護福祉士68.1%、機能訓練指導員24.7%、理学療法士22.9%の順(国の調査、第270回 資料1)
- 情報通信機器を使う方法は、医師等の指示で介護職員が訪問し、動作は動画、浴室は写真で医師等が評価すればよく、同時進行でなくてよい(同 問61)。利用者等の同意を得て、個人情報のガイドラインを守る
- 評価した人が事業所の職員でない場合(担当のケアマネジャーなど)は、書面などで結果を十分に共有する
- 入浴介助の中身は、入浴の一連の動作のうち、利用者が自分の身体機能でできる動作は見守り的な援助、介助が要る動作は状態に応じた身体介助。Q&Aの例は一例で、必ず実施する決まりではない(令和3年度Q&A Vol.8 問4)
- 居宅に近い環境は、大浴槽でも、可動式手すり・浴槽内台・すのこなどで居宅の手すりの位置や浴槽の深さ・高さを再現していればよい(留意事項通知、令和3年度Q&A Vol.8 問5)
- 「居宅」には、自宅のほか、高齢者住宅(共同の浴室を含む)や親族の家が含まれる。自宅に浴室がない人なども、事業所の浴室で医師等が動作を評価し、福祉用具を備えて計画を作るなどの5つの条件を満たせば、事業所での入浴の自立を当面の目標に算定できる(令和6年度Q&A Vol.1 問62)
- 評価の頻度は、始めたあと定期に行う必要はなく、身体の状況や浴室の環境が変わったときに再評価し、入浴計画を見直す(令和3年度Q&A Vol.8 問3)
個別の入浴計画に書く内容
個別の入浴計画の様式は、告示・留意事項通知・Q&Aに示されていない。告示が求めるのは、利用者の身体の状況と、訪問で把握した居宅の浴室の環境等を踏まえて作ること。次の項目を整理しておくと運営指導で説明しやすく、通所介護計画で代える場合も同じ項目を入れる。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 利用者の身体の状況 | 入浴の一連の動作のうち、自分でできる動作と、介助が要る動作 |
| 居宅の浴室の環境 | 訪問で把握した浴槽の深さ・高さ、手すりの位置、段差、脱衣所の状況 |
| 環境整備の助言 | 入浴が難しい環境のとき、福祉用具の貸与・購入や住宅改修について行った助言 |
| 事業所での入浴介助 | 個浴か居宅に近い環境か、再現する手すり・浴槽内台、見守りと身体介助の分担 |
| 目標と見直し | 自宅で入浴できるようになる目標、再評価のきっかけ(身体の状況や浴室の変化) |
項目は告示と令和3年度Q&A Vol.8 問3〜5に沿った整理で、段差や脱衣所は実務上の例。
算定できる日・できない日と体制届
送迎のときに体調が悪そうで、その日は入浴を中止した場合はどうなりますか?
その日は算定しないんだ。1日につきの加算で、利用者側の事情で入浴しなかった日は算定できないと通知に書いてあるよ。請求の前に、入浴した日と請求する日数を必ず突き合わせておこう。
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 見守りだけで、体に触れる介助をしなかった | 算定できる(「観察」を含む介助として) |
| 部分浴・シャワー浴だった | 利用者にとって最適な入浴方法なら算定できる |
| 体調不良などで入浴を中止した | 算定できない |
| 清拭だけにした | 通知が入浴に含めるのは部分浴(シャワー浴を含む)まで。算定しない扱いにし、迷う場合は指定権者に確かめる |
| 同じ日に(Ⅰ)と(Ⅱ) | どちらか一方だけ(告示) |
| (Ⅰ)の人と(Ⅱ)の人が混ざる | 差し支えない(令和3年度Q&A Vol.8 問6) |
上の4行は留意事項通知による。
体制届は、通所介護なら指定権者(都道府県など)、地域密着型通所介護は市町村長に出す。体制等状況一覧表では、(Ⅰ)だけなら「加算Ⅰ」、(Ⅱ)の利用者がいれば「加算Ⅱ」で届け出る。「加算Ⅱ」で届け出ても、(Ⅰ)の利用者の分は(Ⅰ)で算定できる(令和3年度Q&A Vol.8 問6)。(Ⅰ)(Ⅱ)のどちらでも、浴室の状況が分かる平面図等と、研修を実施した(または実施する)ことが分かる資料を添付することになっている(体制届の留意点通知)。届出の期限と算定を始められる月は、体制届の提出期限と算定開始日にまとめている。
月いくらになるか(計算例)
通所介護(通常規模型)、延べ利用者600人日、実利用者50人(1人月12回)と仮定する。入浴する人を35人(420人日)、そのうち(Ⅱ)にする人を10人(120人日)と仮定し、地域区分は「その他」(1単位10.00円)で計算する。1級地から7級地では1単位の単価が上がるので、自社の地域区分で置き換える。入浴を利用日の7割とした仮定は、全国の通所介護の算定率(回数・日数ベース)が(Ⅰ)61.5%・(Ⅱ)5.6%、合わせて約67%という水準に近い(2025年10月サービス提供分、第258回 資料1)。
| ケース | 計算 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|---|
| 全員(Ⅰ) | 40単位 × 420人日 × 10.00円 | 168,000円 | 2,016,000円 |
| 10人を(Ⅱ)に | (55単位 × 120人日 + 40単位 × 300人日)× 10.00円 | 186,000円 | 2,232,000円 |
| (Ⅱ)にした効果 | 15単位 × 120人日 × 10.00円 | 18,000円 | 216,000円 |
| 1人あたりの効果 | 15単位 × 12回 × 10.00円 | 1,800円 | 21,600円 |
(Ⅱ)の手間も仮定で見ておく。居宅訪問と評価に1.5時間、記録と入浴計画に1時間、時給2,000円なら1人5,000円で、月1,800円の増収なら約3か月で回収できる。個別機能訓練加算の訪問と兼ねて追加の手間が1時間なら1人2,000円。事業所の浴室に手すりや浴槽内台を置く費用を20万円と仮定すると、10人分(月18,000円)で回収に約11か月かかる。費用は見積もりで置き換える。
記録が欠けたときの返還の見込み(10割ベース、要件を満たさなかった期間の加算を全額返す場合)。
| 不備 | 計算 | 返還の見込み |
|---|---|---|
| (Ⅰ)の研修の記録がなく、1年分が否認 | 40単位 × 420人日 × 12か月 × 10.00円 | 2,016,000円 |
| (Ⅱ)の10人に居宅訪問の記録がなく、1年分が否認 | 55単位 × 120人日 × 12か月 × 10.00円 | 792,000円((Ⅰ)の要件を満たしていて差額の扱いになれば216,000円) |
| 入浴を中止した日も算定、月10回 × 2年 | 40単位 × 10回 × 24か月 × 10.00円 | 96,000円 |
処遇改善加算は、入浴介助加算を含めた単位数に率をかけて計算する。1つ目の例で処遇改善加算Ⅱイ(通所介護10.9%)を算定していれば、約22万円の処遇改善加算も一緒に減る。
(Ⅱ)にしても、1人あたり月1,800円なんですね。研修の記録がないほうが、よほど大きな金額になります。
そうなんだ。(Ⅰ)の年約202万円は研修の記録1つに乗っているから、まずそこを守るのが先だね。(Ⅱ)は、増えるお金より、家での入浴を支える事業所として選ばれるかで考えるといいよ。
自社の数字に置き換えるときは、どこを変えればいいですか?
入浴する人の延べ人数と、(Ⅱ)にする人数、地域区分の単価の3つだね。加算算定シミュレーターの入浴介助加算は、延べ利用者数の全員が入浴した前提で出るんだ。入浴しない日が多い事業所は、この記事の式(単位数 × 入浴した延べ人数 × 単価)で確かめよう。
実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)

(Ⅱ)を始めるとしたら、何から手をつければいいですか?
研修の記録と体制届が先だね。体制届は算定を始める月の前月15日までだから、そこから逆算して、居宅訪問と入浴計画の段取りを決めておこう。
| 時期 | やること | 担当 | 帳票 |
|---|---|---|---|
| 算定を始める前、新しい職員が入ったとき | 入浴介助に関わる職員に研修(内部・外部どちらでも)。その後も継続して | 管理者 | 研修記録(日時・内容・講師・参加者) |
| 算定開始の前月15日まで | 体制届。(Ⅱ)の利用者がいれば「加算Ⅱ」。浴室の平面図等と研修の資料を添付 | 事務長 | 体制等状況一覧表の控え |
| (Ⅱ)を始める前 | 医師等が居宅を訪問し、浴室での動作と環境を評価。必要ならケアマネジャー・福祉用具専門相談員と連携して助言 | 機能訓練指導員など | 居宅訪問・評価の記録(訪問日、訪問者と資格、評価と助言の内容、写真) |
| 評価のあと | 機能訓練指導員等が共同で個別の入浴計画を作り、利用者に説明 | 生活相談員・機能訓練指導員 | 個別の入浴計画(または通所介護計画への記載) |
| (Ⅱ)に切り替えるとき | ケアマネジャーに伝え、サービス提供票の加算を(Ⅱ)にしてもらう。利用者に料金を説明 | 生活相談員 | 提供票、料金表 |
| 毎回 | 入浴介助の実施と記録(入浴の有無、方法、介助の内容) | 介護職員 | サービス提供記録 |
| 毎月の請求前 | 入浴した日と請求日数、(Ⅱ)の対象者を突き合わせる | 請求担当 | 入浴の実績表、請求明細 |
| 状態や浴室が変わったとき | 再評価と入浴計画の見直し | 機能訓練指導員など | 再評価の記録、改訂した計画 |
加算ごとの根拠書類と確認の頻度を1枚にまとめる方法は加算の算定管理の仕組み化、運営指導で見られる書類の全体は運営指導で確認される書類一覧にまとめている。
よくあるつまずき
入浴を中止した日も、予定どおりに請求してしまうことはありませんか?
起きやすいつまずきなんだ。現場の記録と請求が別々に動いていると、予定の回数のまま請求してしまうよ。入浴の実績表を請求担当が毎月受け取る流れを作っておこう。
- 入浴しなかった日も算定している。体調不良で中止、清拭に切り替えた日を予定どおり請求してしまう。入浴の実績表で毎月突き合わせる
- 研修の記録がない、新しい職員が受けていない。(Ⅰ)(Ⅱ)の両方の土台になる要件。日時・内容・参加者を残す
- 居宅訪問の記録に「誰が」「何を評価したか」がない。訪問者の職種と資格、浴室での動作と環境の評価、助言の内容を書く
- 訪問した人が医師等に当たらない。資格のない職員だけで訪問し、医師等の評価もないと要件を満たさない。情報通信機器を使う方法なら、医師等の指示と評価の記録を残す
- 入浴計画に居宅の浴室の情報がない。通所介護計画で代える場合も、浴室の環境と介助の方法を具体的に書く
- 事業所の浴室が居宅を再現していない。大浴槽のままで、手すりの位置や浴槽の高さを合わせていない
- 状態が変わったのに計画を見直していない。退院後や要介護度が変わったときは再評価のきっかけにする
- 体制届が「加算Ⅰ」のまま(Ⅱ)を算定する。届出と請求が合わないと、返戻の原因になる
返還になったときの手順は加算の返戻と過誤調整の手順にまとめている。
よくある質問
現場から、(Ⅰ)と(Ⅱ)の使い分けや入浴しなかった日の質問がよく来ます。
根拠つきの答えを1か所にまとめておくと、迷わなくなるよ。
入浴介助加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は、同じ日に両方算定できますか?
できない。同じ日はどちらか一方だけ(告示 注10のただし書)。同じ事業所に(Ⅰ)の人と(Ⅱ)の人が混ざるのは差し支えない(令和3年度Q&A Vol.8 問6)。
入浴を中止した日や、清拭だけの日も算定できますか?
通所介護計画に入浴が位置づけられていても、利用者側の事情で入浴しなかった日は算定できない(留意事項通知)。部分浴(シャワー浴を含む)は、最適な入浴方法なら入浴に含まれる。清拭は通知に書かれていないので、算定する前に指定権者に確かめる。
入浴介助加算(Ⅱ)の居宅訪問は、介護職員だけで行ってもよいですか?
医師等の訪問が原則。医師等が訪問するのが困難な場合は、医師等の指示の下で介護職員が訪問し、情報通信機器等で把握した内容を医師等が評価・助言する方法が認められている。利用者等の同意が要り、動画と写真で足りる(令和6年度Q&A Vol.1 問61)。「困難な場合」に限らず認める案が、2027年度改定で出ている。
入浴介助加算(Ⅱ)の個別の入浴計画に、決まった様式はありますか?
告示・留意事項通知・Q&Aは様式を示していない。個別の入浴計画に相当する内容を通所介護計画に記載すれば、入浴計画の作成に代えられる(告示)。書く内容は(Ⅱ)の節の表が参考になる。
2027年度改定の見直し案と、いまやっておくこと
2026年10月14日の第270回分科会の資料1(通所介護等の「改定の方向性」、論点①)で、入浴介助加算について次の対応案が示された。どれも「検討してはどうか」という案で、決定ではない。
| 対応案 | いまの扱い | 事業所への影響 |
|---|---|---|
| 入浴介助加算の単価設定を見直す(水道光熱費等の物価高騰と人材確保の観点) | (Ⅰ)40単位・(Ⅱ)55単位 | 上げるとも下げるとも書かれていない。単位数は答申で決まる |
| (Ⅱ)の居宅訪問で、医師等の指示の下で介護職員が訪問し、情報通信機器等で浴室の環境等を把握する方法を、医師等が訪問することが困難な場合に限定せず認める | 医師等の訪問が困難な場合に限る | 案のとおりなら、(Ⅱ)を算定しない最大の理由(医師等の確保・連携)が和らぐ可能性がある |
| 中山間地域等で、入浴介助を目的とする短時間のサービスを、入浴介助のサービスがない地域であること等を要件に、例外的に認める | 入浴のみの利用は適当でなく、2時間以上3時間未満は利用者側のやむを得ない事情がある人に限る | 要件に当てはまる地域の事業所だけが対象 |
同じ資料の調査(令和8年度老人保健健康増進等事業、速報値)では、算定にあたっての課題として「水道光熱費等の物価高騰に対し報酬が少ない」57.2%、「算定要件の負担に対し報酬が少ない」53.7%が多かった。
いまやっておくことは3つ。
- (Ⅰ)の研修記録を整える。単位数がどう変わっても、記録がなければ算定できない点は変わらない
- 入浴の延べ人数を(Ⅰ)(Ⅱ)別に毎月出す。単位数が出たら、人日 × 単位数 × 単価ですぐ月額が出せる
- (Ⅱ)はいまの要件の範囲で試す。個別機能訓練の訪問と兼ねる方法と、介護職員の訪問と写真・動画の方法の、どちらが自社で回るかを確かめる
単価の見直しは、上がるということですか?
見直す案が出ただけで、上がるとも下がるとも書かれていないんだ。単位数は2027年1月ごろの答申で決まるんだ。日程は2027年度介護報酬改定のスケジュール、ほかのサービスの論点は2027年度改定の主要論点まとめにまとめているよ。
経理・管理側の視点
経営会議では、入浴介助加算をどう説明すればいいでしょう?
(Ⅰ)は守る加算、(Ⅱ)は選ぶ加算として分けて話すといいよ。(Ⅰ)はほとんどの事業所が取っているから、記録の不備で落とさないことが一番なんだ。
2025年10月サービス提供分の国の集計では、算定している事業所の割合は、通所介護で(Ⅰ)89.8%・(Ⅱ)12.2%、地域密着型通所介護で(Ⅰ)71.1%・(Ⅱ)7.2%。(Ⅰ)は収入の土台で、上の計算例では年約202万円が研修の記録に乗っている。記録を整える手間は小さいので、まずここを確実にする。
(Ⅱ)を算定していない理由は、「居宅を訪問し評価や助言を行う医師等の確保・連携が困難」が78.2%、「医師等の訪問の時間の確保が困難」が62.5%だった(第258回介護給付費分科会資料)。増える額は1人月1,800円(その他の地域)と小さいので、個別機能訓練加算の訪問と兼ねる、介護職員の訪問と写真・動画で済ませる、といった方法で手間を抑えられるかが判断の分かれ目になる。
利用者の自己負担は、1割負担の人なら1回40円が55円になり、月12回で180円増える(その他の地域)。切り替える人には料金表で説明する。
通所介護の収支のなかでの位置づけはデイサービスの経営と黒字ライン、人員の加配が要る通所介護の加算は中重度者ケア体制加算と認知症加算にまとめている。
まずは研修の記録と、入浴の実績表と請求の突き合わせから始めます。
それがいいね。そこが固まったら、個別機能訓練の訪問と兼ねられる利用者から(Ⅱ)を試してみよう。
出典
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)通所介護費 注10ほか
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)地域密着型通所介護費 注13ほか
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)十四の六・二十四の五
- 介護保険最新情報 Vol.1213 留意事項通知の一部改正(令和6年3月15日)老企第36号 第二の7(10)ほか
- 介護保険最新情報 Vol.934 留意事項通知の一部改正(令和3年3月16日)
- 介護保険最新情報 Vol.1214 体制届の留意点通知の一部改正(令和6年3月15日)
- 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)問60〜問63
- 令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.8)(令和3年4月26日)問3〜問6
- 厚生労働省 令和3年度介護報酬改定における改定事項について(3.(1)⑩⑪)
- 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について(2.(2)①)
- 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定 算定構造(第239回介護給付費分科会 参考資料2-1)
- 社会保障審議会介護給付費分科会 第258回(令和8年6月15日)資料1
- 社会保障審議会介護給付費分科会 第270回(令和8年10月14日)資料1
記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。
