介護職員の離職率は何%?令和7年度は12.7%|採用単価・欠員コストで見る定着の数字管理
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結論(この記事でわかること)
ミナ採用の稟議で「人が足りないから」と書いたら、施設長に「数字で書いて」と言われました。何の数字ですか?
ジムチョー3つあればいいんだ。離職率、採用単価、欠員コスト。この3つを出すと、採用にいくらかけていいか、定着策にいくら回せるかが数字で決まるよ。
ミナ「人が足りない」を、辞める人の割合と、1人採るのにかかる費用と、空いている間の損失に置き換えるんですね。
ジムチョーそういうことだね。稟議にはこの3つを並べて、採用にかける額と定着策に回す額を一緒に示すと、判断してもらいやすくなるよ。
介護職員の採用と定着を経理の言葉にすると、管理する数字は3つになる。
| 数字 | 定義 | 目安 |
|---|---|---|
| 離職率 | 1年間の離職者数 ÷ 1年前(年初)の在籍者数 | 介護職員12.7%(令和7年度介護労働実態調査。訪問介護員と合わせた2職種計は12.4%) |
| 採用単価 | 採用にかかった費用 ÷ 採用人数 | 紹介会社経由は1人あたり平均55.1万円(厚生労働省、令和5年度実績)。求人媒体は掲載費 ÷ 採用人数 |
| 欠員コスト | 欠員1人・1か月あたりの追加費用 | 派遣・残業で埋める費用+人員基準欠如減算のリスク(所定単位数の70%で算定=30%減) |
離職率が調査の値(介護職員12.7%)並みの職員30人の事業所では、年に約4人が辞める。全員を採用単価60万円(仮定)で採り直すと、採用費だけで年240万円かかる。離職率を約5ポイント下げると、採用費だけで年約96万円が浮く。この額は、定着に効く施策(有給休暇を取りやすくする、勤務日時を変えやすくするなど)に回せる。
令和7年度介護労働実態調査の主な数字

| 項目 | 値 |
|---|---|
| 介護職員の離職率 | 12.7%(3年連続の低下。前年度は12.8%) |
| 介護職員の採用率 | 14.7%(2年ぶりの上昇。前年度は14.4%) |
| 訪問介護員と介護職員を合わせた2職種計 | 離職率12.4%(横ばい)、採用率14.6%(2年ぶりの上昇) |
| 29歳以下の離職率(2職種計) | 17.3%(ほかの年齢層より高い) |
| 介護職員が「不足」とする事業所(「大いに不足」〜「やや不足」の合計) | 69.8%(前年度は69.1%) |
| 採用に効果があったとする施策(上位) | 賃金水準の向上(実施している事業所の38.4%が「効果があった」) |
| 定着に効果があったとする施策(上位) | 有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり(同57.9%) |
離職率は少しずつ下がっているが、採用率は低い水準のままで、不足感は前年度より上がっている。1人辞めるごとに、採用費と欠員の費用がかかる。辞める人を減らして人員を守るほど、この費用が出ていかない。金額は次の「計算例」で確かめる。
この調査の採用率・離職率は、1年間の採用者数・離職者数を、1年前(令和6年10月1日)の在籍者数で割った値。事業所ごとの離職率は、2職種計で10%未満の事業所が54.3%と約半数を占める。自社の離職率も同じ式(1年間の離職者数 ÷ 1年前の在籍者数)で出して比べる。なお、厚生労働省の令和7年「雇用動向調査」では、全産業の離職率は13.7%(医療,福祉は14.3%)。調査の対象や方法が違うので、直接の比較は目安にとどめる。
離職率が下がってきているなら、人手の問題は落ち着いてきているんですか?
そうとは言えないんだ。離職率は12.7%まで下がってきたけれど、不足感は前の年度より上がっているからね。採用率も低い水準のままだから、辞める人を減らして人員を守るほうが大事になるよ。
3つの数字の計算

派遣は時給が高いので、なるべく使わないようにしています。
欠員1人が1か月続くコストを見ると、派遣で埋めれば40万円、減算になれば120万円なんだ。この額を知っていれば「派遣は高い」という判断にはならないよ。
残業で埋めれば、派遣よりは安く済みますよね。
残りの5人が20時間ずつ残業すると、月187,500円になるんだ。金額は抑えられても、残業時間は36協定にも関わるから、職員別に毎月見ておこう。
離職率と定着率
| 項目 | 計算 | 例(職員30人。数字は仮定) |
|---|---|---|
| 離職率 | 年間離職者 ÷ 年初在籍者 | 4 ÷ 30 = 13.3% |
| 1年定着率 | 入職1年後に在籍している人数 ÷ 入職者数 | 3 ÷ 5 = 60% |
| 平均勤続年数 | 在籍者の勤続年数の平均 | 5.2年 |
離職率は全体で見るだけでなく、入職1年以内の離職(早期離職)と3年以上の離職(中堅の流出)を分けて数える。早期離職が多ければ採用と受入の問題、中堅の流出が多ければ処遇と職場環境の問題。
採用単価
| 経路 | 費用の例(金額は仮定) | 採用単価 |
|---|---|---|
| 人材紹介会社 | 年収350万円 × 手数料率20% | 700,000円 |
| 求人媒体(有料) | 掲載料30万円で2人採用 | 150,000円 |
| ハローワーク | 0円 | 0円(担当者の工数) |
| 職員紹介(リファラル) | 紹介手当5万円 | 50,000円 |
| 派遣からの直接雇用 | 紹介料(労働者派遣契約などで決まる) | 契約による |
年間の採用費を採用人数で割った加重平均が事業所の採用単価になる。経路別に出すと、どの経路を増やすかが決まる。
ハローワークは0円なので、いちばんお得な経路ですね。
費用は0円でも、担当者の工数はかかっているんだ。経路別に採用人数と費用を並べて、どの経路を増やすかを決めよう。
紹介会社の手数料は、厚生労働省の集計で、介護職の全国平均が1人あたり55.1万円(令和5年度実績)。手数料率の平均は20.2%で、介護では掲載されている実績の7割強(71.8%)が20.1〜30%の範囲だった(令和6年度の実績、人材サービス総合サイトの掲載分。手数料率の平均は事業所ごとの手数料率を単純に平均したもの)。自社が払う額は契約書で確かめる。
令和7年4月からは、紹介事業者が職種ごとの手数料率の実績を「人材サービス総合サイト」に載せることが義務になっていて、地域・職種・手数料率で紹介事業者を比べられる。就職後6か月以内の離職者数や返戻金制度の有無も載っているので、手数料の額だけでなく、早期に辞めたときの返金のしくみも比べる。厚生労働省が認定する「適正な有料職業紹介事業者」の制度もある。厚生労働省の集計では、介護の就職後6か月以内の離職率は、紹介事業所ごとの平均で15.3%(令和4年度実績、無期雇用のみ)だった。
職員への紹介手当は、賃金として支払い、就業規則や賃金規程に定めておく(職業安定法第40条は、募集に従事する被用者に賃金などを支払う場合を除いて、報酬を与えることを禁じている)。派遣から直接雇用にするときは、派遣先が派遣終了後に雇用する場合の手数料を、労働者派遣契約であらかじめ定めておくこととされている(派遣先が講ずべき措置に関する指針)。額は契約で決まるので、派遣会社との契約書で確かめる。
欠員コスト
| 項目 | 計算(金額は仮定) | 例 |
|---|---|---|
| 派遣で埋める | 時給2,500円 × 160時間 | 400,000円/月 |
| 残業で埋める | 残りの職員の残業20時間 × 5人 × 1,875円(時給1,500円の1.25倍) | 187,500円/月 |
| 人員基準欠如減算(1割超の欠如) | 所定単位数の70%で算定(30%減)。月400万円の通所介護なら | 1,200,000円/月 |
| 稼働の抑制 | 受入を減らした分の売上 | 利用者5人分 = 約400,000円/月 |
欠員1人が1か月続くと、派遣で埋めれば40万円かかり、減算になれば報酬が120万円減る。ただし、欠員の間は退職した職員の給与が出なくなる(年収350万円なら月約29万円)ので、派遣費や残業代はその分だけ持ち出しが小さくなる。それでも、減算や稼働の抑制が出れば、浮いた給与を大きく上回る。この額を知っていれば「派遣は高い」という判断にはならない。
派遣料金の水準は、厚生労働省の集計で、介護サービス職業従事者の平均が1人1日(8時間換算)16,282円(事業所ごとの単純平均、消費税込み、令和6年度)。時給にすると約2,035円で、上の例の2,500円はそれより高めの仮定になる。職種や地域、契約の内容で変わるので、自社が使う派遣会社の見積書で置き換える。減算の仕組みは人員基準を満たせなくなったときの減算にまとめた。
計算例:離職率を約13%から8%に下げた場合
職員30人、年収350万円、採用単価の加重平均60万円(紹介会社の平均手数料55.1万円が中心の事業所を想定した仮定)。離職1人につき、引継ぎ・教育に給与1か月分、欠員の1か月を派遣で埋めると仮定する。
| 項目 | 離職率13.3%(年4人) | 離職率8%(年2.4人) | 差 |
|---|---|---|---|
| 年間離職者 | 4人 | 2.4人 | 1.6人 |
| 採用費(1人あたり60万円) | 2,400,000円 | 1,440,000円 | 960,000円 |
| 引継ぎ・教育の人件費(1人あたり給与1か月分の29万円) | 1,160,000円 | 696,000円 | 464,000円 |
| 欠員期間の派遣費(1人あたり1か月、40万円) | 1,600,000円 | 960,000円 | 640,000円 |
| 欠員期間に出なくなる退職者の給与(1人あたり1か月、29万円) | −1,160,000円 | −696,000円 | −464,000円 |
| 合計 | 4,000,000円 | 2,400,000円 | 1,600,000円 |
離職率を約5ポイント下げると、年間で約160万円の追加費用が出なくなる(1人あたり採用費60万円と派遣費40万円の計100万円 × 1.6人)。この例では、引継ぎ・教育の人件費と、退職者の給与が出なくなる分が同額で打ち消し合う。この額が、定着策(有給休暇を取りやすくするための穴埋め人員、夜勤手当の引き上げ、研修)にかけてよい費用の目安になる。実際に離職が減るかは分からないので、定着策の費用と、防げる離職の人数を並べて判断する。
数値はすべて仮定なので、自社の採用単価・欠員期間・派遣単価・給与に置き換えて計算する。
離職率を約5ポイント下げると、年間で約160万円の追加費用が出なくなるんですね。
そうなんだ。その額が、定着策にかけていい費用の目安になるよ。有給取得の穴埋め人員、夜勤手当の引き上げ、研修。どれも「回収期間」で判断できるようになるんだ。
浮く額には、採用費だけでなく派遣費も入っているんですね。
1人辞めるたびに、採用費と、欠員を埋める派遣費がかかるんだ。採用費だけで見ると、離職のコストを小さく見積もってしまうよ。
月次で見る人事の数字

| 指標 | 計算 | 見る理由 |
|---|---|---|
| 在籍者数・常勤換算 | 職種別 | 人員基準と加算の余裕 |
| 離職者数(累計)と離職理由 | 退職面談の記録 | 早期離職か中堅の流出か |
| 採用進捗 | 応募数、面接数、内定数、入職数(経路別) | 経路ごとの歩留まり |
| 採用費(累計) | 経路別 | 採用単価 |
| 残業時間 | 職員別 | 欠員の負荷、36協定 |
| 有給取得率 | 取得日数 ÷ 付与日数 | 定着策の効果 |
| 欠員月数 | 職種別の欠員 × 月数 | 欠員コスト |
これらは常勤換算・人員基準チェッカーに入れる勤務時間の集計と、給与計算のデータから出せる。新しいシステムは要らない。
これだけの指標を集めるには、新しいシステムを入れないといけませんか?
新しいシステムは入れなくて大丈夫だよ。勤務時間の集計と給与計算のデータから出せるんだ。有給取得率は定着策の効果を見る数字だから、離職率と並べて追っていこう。
実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)
| 時期 | 作業 | 担当 | 帳票 |
|---|---|---|---|
| 毎月末 | 人事の数字(在籍、離職、採用、残業、有給)を1枚にまとめる | 事務長・労務 | 人事月次表 |
| 退職の申し出時 | 退職面談で理由を聞き、分類して記録 | 管理者 | 退職面談記録 |
| 採用の都度 | 経路と費用を記録 | 事務長 | 採用台帳 |
| 四半期 | 採用単価と離職率を計算し、定着策の効果を確認 | 事務長 | 人事四半期報告 |
| 年度初め | 前年度の離職率・採用単価・欠員コストを集計し、定着策の予算を決める | 経営者・事務長 | 年度計画 |
| 処遇改善計画書の作成時 | 離職の数字を見て、賃金改善の配分(経験・技能のある介護職員への重点など)と、職場環境等要件の取組(有給休暇を取りやすい雰囲気づくり、勤務シフトの工夫など)を決める | 事務長 | 別紙様式2 |
定着策の予算は、いつ決めるんですか?
年度初めに、前年度の離職率と採用単価、欠員コストを集計して決めるんだ。四半期ごとに効果を確かめておけば、年度初めの集計も楽になるよ。
よくあるつまずき
退職する人に理由を聞くのは、気まずくて避けていました。
聞いて分類しておかないと、定着策が的外れになるんだ。早期離職が多ければ採用と受入の問題、中堅の流出が多ければ処遇と職場環境の問題と分けて見よう。
処遇改善加算の配分を、定着策とは切り離して決めている場合はどうですか?
配分は事業所の判断で柔軟にできるけれど、一部の職員に集中させるような偏った配分は認められないんだ。経験・技能のある介護職員の処遇改善に留意しながら、計画書を作るときに離職の数字と合わせて考えよう。
- 離職率を計算していない。「辞める人が多い気がする」では対策が決まらない。年初在籍者と離職者数の2つで出せる
- 採用費を経路別に持っていない。紹介会社の手数料が採用費の大半を占めていても気づかない
- 欠員を「人件費の節約」と見る。空いた席の給与は浮くが、減算や稼働抑制が出ると、浮いた給与を大きく上回る
- 退職理由を記録しない。定着策が的外れになる。面談で聞き、分類する。令和7年度の調査では、中途採用の介護労働者が直前の介護関係の仕事を辞めた理由は「職場の人間関係に問題があったため」が27.3%で最も高く、その内容は「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」が45.8%だった
- 定着策の効果を測らない。有給取得率や残業時間の変化と離職率を並べて見る
- 処遇改善加算の配分と定着を切り離す。配分は事業所の判断で柔軟にできるが、一部の職員への集中など偏った配分は認められない。経験・技能のある介護職員の処遇改善に留意しつつ、離職の数字を見て決める。職場環境等要件の取組の選び方は処遇改善加算の区分と要件にまとめた
経理・管理側の視点
人事の数字は、経理から見るとどういう意味を持つんですか?
人件費がこの先どう動くかの予測になるんだ。離職率が上がれば採用費と欠員コストが増えて、下がれば定着策にかけた分が回収されていくよ。
人事の数字は、経理から見ると人件費の変動要因の予測になる。離職率が上がれば採用費と欠員コストが増え、下がれば定着策の投資が回収される。この因果を月次の数字で追える事業所は、夜勤手当の改定や定着策の予算を「感覚」ではなく「回収期間」で判断でき、処遇改善加算の配分も離職の数字を見て決められる。
自社の採用単価(例では60万円)と欠員1か月の費用(例では派遣で40万円)を経営会議に出すと、定着策の予算を判断してもらいやすい。人事の数字を経理の言葉に翻訳するのが、事務長の仕事になる。
人事の数字を経理の言葉に翻訳する、ですね。
自社の採用単価と欠員1か月の費用を経営会議に出すと、定着策の予算を判断してもらいやすくなるんだ。それが事務長の仕事だよ。
出典
- 介護労働安定センター 令和7年度「介護労働実態調査」結果の概要(令和8年7月29日公表)
- 厚生労働省 令和7(2025)年「雇用動向調査」の結果(令和8年8月31日公表)
- 厚生労働省 地域ブロック別の職種別平均手数料及び離職率について(平均手数料は令和5年度実績)
- 厚生労働省 職業紹介事業における職種別手数料、離職状況について(手数料率は令和6年度実績)
- 厚生労働省 リーフレット「医療・介護・保育分野の人手確保のために 有料職業紹介事業者を利用される求人事業主の皆さまへ」
- 厚生労働省 労働者派遣事業の令和6年度事業報告の集計結果
- 派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成11年労働省告示第138号)(労働者派遣事業関係業務取扱要領 第7 派遣先の講ずべき措置等)
- 職業安定法(昭和22年法律第141号)第40条
- 厚生労働大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法(平成12年厚生省告示第27号)
- 令和8年度 処遇改善加算 基本通知(老発0313第6号 令和8年3月13日)2(2)・別紙1 表4 職場環境等要件
記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。


