口腔機能向上加算とは?算定要件・単位数と(Ⅰ)(Ⅱ)の違い、栄養改善・栄養アセスメント加算

結論(この記事でわかること)
ミナ施設長に「口腔機能向上加算を取れないか」と言われました。単位数と条件を教えてください。
ジムチョー通所介護なら(Ⅰ)が1回150単位、(Ⅱ)が1回160単位で、3か月以内の期間に限り月2回までなんだ。口腔機能の低下がある利用者に、言語聴覚士・歯科衛生士・看護職員のいずれかが計画に沿って、口腔清掃や摂食・嚥下の訓練を指導するのが要件だよ。
ミナ(Ⅱ)は、(Ⅰ)にLIFEへの提出と活用が加わった区分ですね。
ジムチョーそうだね。栄養改善加算のように併算定できない組み合わせもあるから、あとで表で確かめておこう。
口腔機能向上加算は、口腔機能が低下している、またはそのおそれがある利用者に、口腔清掃や摂食・嚥下機能の訓練を計画的に行った場合の加算。単位数は2021年度改定で今の形になり、2024年度と令和8年度(2026年6月施行)の改定でも変わっていない。月2回・15人に(Ⅰ)を算定すれば月45,000円(地域区分「その他」)で、栄養系の3つと束にすると月10万円前後になる。
| 加算 | 単位 | 算定単位 | 上限・期間 | 必要な職種 |
|---|---|---|---|---|
| 口腔機能向上加算(Ⅰ)/(Ⅱ) | 150/160単位 | 1回 | 月2回まで、原則3か月以内 | 言語聴覚士・歯科衛生士・看護職員のいずれか1人以上((Ⅱ)はLIFE提出も要る) |
| 栄養改善加算 | 200単位 | 1回 | 月2回まで、原則3か月以内 | 管理栄養士1人以上(外部との連携で可) |
| 栄養アセスメント加算 | 50単位 | 1月 | 3か月に1回以上アセスメント | 管理栄養士1人以上(外部との連携で可) |
| 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)/(Ⅱ) | 20/5単位 | 1回 | 6か月に1回まで | 事業所の従業者(専門職でなくてよい) |
管理のポイントは3つ。月2回と3か月の上限を利用者ごとに数える、併算定できない組み合わせを外す、LIFEの提出を期限内に出す(口腔機能向上加算(Ⅱ)と栄養アセスメント加算。LIFEは2026年5月に国民健康保険中央会の運用へ移った。科学的介護推進体制加算とLIFE提出の実務)。
口腔機能向上加算の算定要件と対象者

口腔機能向上加算は、歯科衛生士がいないと取れませんか?
言語聴覚士・歯科衛生士・看護職員のどれか1人以上を配置すれば取れるんだ。その職種が中心になってサービスを行うよ。
対象になる利用者は、どう決めればいいですか?
通知に目安があるんだ。認定調査票や基本チェックリストの項目で判断できるよ。
(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い
| 区分 | 単位 | 要件 |
|---|---|---|
| (Ⅰ) | 150単位/回 | 職種を1人以上配置。利用開始時に口腔機能を把握し、多職種で口腔機能改善管理指導計画を作成。計画に沿ってサービスを行い、定期的に記録・評価する |
| (Ⅱ) | 160単位/回 | (Ⅰ)に加えて、計画等の情報をLIFEに提出し、返ってくる情報をサービスに活用する |
(Ⅱ)は(Ⅰ)より1回10単位多い。区分を切り替えるときも体制届が要る(体制届の提出期限)。地域密着型通所介護と認知症対応型通所介護も150/160単位。通所リハビリテーションは(Ⅰ)150、(Ⅱ)イ155・ロ160単位(イはリハビリテーションマネジメント加算(ハ)の算定が条件)。
対象者の目安
通知の対象は、次のいずれかに当てはまり、サービスが必要と認められる利用者。
- 認定調査票の嚥下、食事摂取、口腔清潔の3項目のうち1つでも「1」以外
- 基本チェックリストの口腔機能の3項目(13〜15)のうち2項目以上が「1」
- そのほか口腔機能の低下がある、またはそのおそれがある
介護保険のサービスとして摂食・嚥下機能に関する訓練の指導または実施を行っていないと算定できない(口腔清掃の指導だけでは足りない。令和6年度Q&A Vol.10 問1)。口腔の状態によっては、ケアマネジャーを通じて主治医・主治の歯科医師に情報提供し、受診を勧める。
計画・記録・評価とLIFE提出
利用開始時に口腔機能を把握し、口腔機能改善管理指導計画を作って、利用者・家族の同意を得る。計画は居宅サービス計画にも反映する。サービスの都度、実施日・提供者の氏名と職種・指導の内容を記録し、おおむね3か月ごとに評価して、結果をケアマネジャーや主治の医師・歯科医師に情報提供したうえで続けるかを判断する。様式例は別紙様式6-4。
(Ⅱ)は、別紙様式6-4の計画と実施記録などをLIFEに出す。出す月は、計画を作った月、変更した月、そのほか少なくとも3か月に1回で、いずれも翌月10日まで。LIFEは2026年5月11日から国民健康保険中央会の運用に移ったが、様式情報は変わらず、3か月の起算は移行前に最後に出した月からでよい(令和8年4月21日の事務連絡 問2・問3)。
栄養改善・栄養アセスメント・スクリーニング加算の要件と併算定
管理栄養士がいないので、栄養改善加算は無理ですよね?
外部との連携で確保できるんだ。連携先は、他の介護事業所(その加算の対象事業所に限る)、医療機関、栄養ケア・ステーション、条件を満たす介護保険施設だよ。
栄養アセスメント加算も、同じ体制で取れますか?
同じ外部連携で取れるよ。管理栄養士・看護職員・介護職員・相談員などが共同でアセスメントし、結果を本人や家族に説明してLIFEに出すのが要件なんだ。
栄養改善加算と栄養アセスメント加算
栄養改善加算は、低栄養状態またはそのおそれがある利用者が対象で、BMI18.5未満、1〜6か月で3%以上の体重減少、血清アルブミン値3.5g/dl以下、食事摂取量75%以下などで判定する。管理栄養士が中心になって栄養ケア計画を作り、同意を得る。居宅での食事に課題があれば、同意を得て居宅を訪問する。おおむね3か月ごとに体重測定などで評価し、結果をケアマネジャーや主治の医師に情報提供する。
栄養アセスメント加算は、栄養アセスメントを3か月に1回以上、体重を1か月ごとに測る。通知は利用者全員に継続して実施することが望ましいとし、LIFEの提出も利用者全員分を求めている。栄養改善サービスを受けている間と終了した月は算定しないが、アセスメントで栄養改善が必要と分かった月は、栄養改善加算も同じ月に算定できる。
口腔・栄養スクリーニング加算
利用開始時と6か月ごとに、介護職員などが口腔と栄養の状態を確認し、担当のケアマネジャーに情報提供する。専門職は要らず、担当する事業所はサービス担当者会議で決める。
- (Ⅰ)20単位: 口腔と栄養の両方を確認する
- (Ⅱ)5単位: (Ⅰ)を算定できない月に、片方だけ確認する。栄養のサービス(アセスメント加算の算定、栄養改善サービス)を受けている人は口腔だけ、口腔機能向上サービスを受けている人は栄養だけで、両方を受けている月は算定できない
スクリーニングでサービスが必要と分かって開始する月は、(Ⅰ)も栄養改善加算・口腔機能向上加算も同じ月に算定できる。額は小さいが、対象者を見つける入口になる。
併算定の組み合わせ
| 組み合わせ | 同じ利用者で算定できるか |
|---|---|
| 口腔機能向上加算の(Ⅰ)と(Ⅱ)、スクリーニングの(Ⅰ)と(Ⅱ) | できない(どちらか一方) |
| 口腔機能向上加算と、栄養改善加算・栄養アセスメント加算 | できる |
| 栄養アセスメント加算と栄養改善加算 | 栄養改善サービスの利用中と終了月は、栄養アセスメント加算を算定しない(栄養改善が必要と分かった月を除く) |
| スクリーニング(Ⅰ)と、口腔機能向上加算・栄養改善加算・栄養アセスメント加算 | それぞれのサービスの利用中と終了月は(Ⅰ)を算定しない(サービスが始まる月を除く)。その月は(Ⅱ) |
月あたりいくらか(計算例)
通所介護、実利用者60人、地域区分「その他」(1単位10.00円)。
| 加算 | 前提 | 計算 | 月額 |
|---|---|---|---|
| 栄養アセスメント加算 | 栄養改善加算の8人を除く52人 | 50単位 × 52人 | 26,000円 |
| 口腔機能向上加算(Ⅰ) | 対象15人、月2回 | 150単位 × 15人 × 2回 | 45,000円 |
| 栄養改善加算 | 対象8人、月2回 | 200単位 × 8人 × 2回 | 32,000円 |
| 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ) | 6か月に1回、月平均10人 | 5単位 × 10人 | 500円 |
| 合計 | 103,500円 |
年間では約124万円。外部の管理栄養士の費用は契約先で違うので、見積もりで確かめる。仮に月3万円(年36万円)なら、加算の合計から差し引いても年88万円ほどが残る。口腔機能向上加算を(Ⅱ)にすれば、月3,000円(年36,000円)増える。
記録不備で口腔機能向上加算(Ⅰ)の45,000円分が否認され、仮に2年分さかのぼれば 45,000円 × 24か月 = 108万円。栄養アセスメント加算のLIFE提出が2か月止まれば、全利用者分の 26,000円 × 2か月 = 52,000円が算定できない。対象者数と委託料は例。自社の数字は加算算定シミュレーターで出せる。
4つ合わせて年間約124万円。管理栄養士の外部連携が仮に年36万円でも、見合いますね。
束で見れば、看護職員の研修と外部連携に見合うんだ。ただ、記録が欠けたときに戻す額も同じ規模になるから、記録の仕組みまでそろえて始めよう。
実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)

利用を始めるときは、スクリーニングと計画づくりを同時に進めるんですか?
先にスクリーニングと、栄養アセスメントを算定する人の分を済ませるんだ。その結果から対象者を決めて計画書を作り、説明と同意を得てからサービスを始めよう。
LIFEへの提出は、3か月ごとでいいですか?
口腔(Ⅱ)は計画を作った月と変更した月、栄養アセスメントはアセスメントをした月に出して、そのほか少なくとも3か月に1回。どちらも翌月10日までだよ。提出担当を決めて、控えを残しておこう。
| 時期 | 作業 | 担当 | 帳票 |
|---|---|---|---|
| 算定開始前 | 体制届を出す(前月15日まで)。スクリーニングの担当事業所をサービス担当者会議で決める | 事務長 | 体制等状況一覧表 |
| 利用開始時と6か月ごと | 口腔・栄養のスクリーニングと、ケアマネジャーへの情報提供 | 介護職員・相談員 | スクリーニング表(別紙様式5-1の例)、情報提供の記録 |
| 利用開始時 | 栄養アセスメント(算定する利用者) | 管理栄養士・多職種 | 栄養アセスメント表(別紙様式4-3-1の例) |
| スクリーニング後 | 対象者の口腔機能改善管理指導計画・栄養ケア計画を作成。説明・同意を得て、居宅サービス計画に反映 | 看護職員・管理栄養士 | 各計画書(別紙様式6-4、4-3-2の例) |
| 毎回(月2回まで) | サービス提供と記録(実施日・提供者の氏名と職種・指導の内容)。月1回程度は再評価 | 看護職員・管理栄養士 | 実施記録 |
| おおむね3か月ごと | 評価と継続判断。結果をケアマネジャー・主治の医師・歯科医師に情報提供。継続する場合は理由を記録 | 看護職員・管理栄養士 | 評価記録 |
| 計画の作成・変更の月と3か月ごと | LIFEへの提出(口腔(Ⅱ)・栄養アセスメント。翌月10日まで) | 提出担当 | LIFE提出の控え |
| 毎月末 | 利用者別に回数(月2回)と期間(3か月)、併算定の組み合わせを確認 | 請求担当 | 算定回数一覧 |
通所介護は、別紙様式1-3(個別機能訓練・栄養・口腔の実施計画書)で計画を作ると各様式に代えられる。一部だけの記入では代えられない(個別機能訓練加算の記録要件)。
よくあるつまずき
口腔機能向上加算を月3回請求してしまったことがあります。
上限は月2回なんだ。月末に介護ソフトの算定回数一覧を見る工程を、請求の前に入れておこう。
口腔機能向上加算を取っている月に、スクリーニング(Ⅰ)もつけられますか?
それは避けたほうがいいね。口腔機能向上サービスを受けている間と、終わった月は、(Ⅰ)の対象から外れるからなんだ。栄養のスクリーニングだけを行う(Ⅱ)という形があるよ。
- 月3回以上請求する。口腔機能向上加算・栄養改善加算は月2回まで
- 3か月を超えて漫然と継続する。3か月ごとの評価で効果が期待できると判断した記録が要る。なければ返還の対象になりうる
- (Ⅱ)をLIFEの提出だけで算定する。返ってくる情報を使った見直しも要件。記録を残す
- 摂食・嚥下機能の訓練をしていないのに口腔機能向上加算を付ける。計画書だけで実施記録がないと、行った事実を示せない
- 併算定できない月にスクリーニング(Ⅰ)や栄養アセスメント加算を付ける。栄養・口腔のサービスを受けている間と終了月は、上の組み合わせ表で確かめる
- 栄養アセスメント加算のLIFE提出が遅れる。出せなかった月から提出した月の前月まで、利用者全員分が算定できない
- 管理栄養士の外部連携の記録がない。連携先の条件と、実際に関与した記録(訪問・会議・計画への署名など)を残す
- 対象者の判定根拠、計画書の説明・同意、ケアマネジャーへの情報提供の記録がない。認定調査票の項目や体重推移、スクリーニング結果、送付の記録を残す
よくある質問
現場から、回数や対象者についての質問がよく届きます。答えを決めておきたいです。
質問の多いところは、根拠と一緒に答えを決めておくと、現場も事務も迷わなくなるよ。
口腔機能向上加算は月に何回まで算定できますか?3か月を超えて続けられますか?
3か月以内の期間に限り月2回まで。3か月ごとの評価で、口腔機能の低下が認められる、または続けないと低下するおそれがあり、続ければ効果が期待できると認められた利用者は、引き続き算定できる(告示、留意事項通知)。
口腔機能向上加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は、どちらを算定すればよいですか?
(Ⅱ)は1回10単位高く、月2回で20単位(1人あたり月200円、地域区分「その他」)。LIFEの提出担当と期限の管理を科学的介護推進体制加算と同じ仕組みに乗せられるなら(Ⅱ)、手が回らないなら(Ⅰ)というように、体制で決める。
歯科に通院している利用者にも算定できますか?
歯科に通っていること自体は、算定の条件になっていない。令和6年度改定で通知から摂食機能療法との関係の記載が削除され、歯科医療との重複を判断する以前のQ&A(平成21年)も廃止された。いまの条件は、介護保険のサービスとして摂食・嚥下機能に関する訓練の指導または実施を行っていること(令和6年度Q&A Vol.10 問1)。
経理・管理側の視点
体制ができたあと、管理側は何を見ていけばいいですか?
利用者ごとの回数と期間の上限、併算定の組み合わせ、LIFEの提出期限の3つだよ。計画や評価の中身は専門職に任せて、管理側は上限と記録、期限がそろっているかを確かめる役に回ろう。
介護ソフトの算定回数一覧と、利用者別の次回評価月・次回提出月の一覧を月末に1回確認すれば足りる(加算の算定管理の仕組み化)。運営指導で出す書類の全体は運営指導で見られる帳票にまとめている。
通所介護の請求事業所のうち、口腔機能向上加算の算定は(Ⅰ)が7.6%、(Ⅱ)が11.6%、栄養アセスメント加算が2.8%、栄養改善加算が0.6%、スクリーニング(Ⅰ)が4.2%、(Ⅱ)が1.5%(令和7年10月サービス提供分、第258回介護給付費分科会)。栄養系は管理栄養士の配置(外部連携を含む)が前提で、取り組む事業所はまだ少ない。
3か月を過ぎて続けるときは、理由の記録が要るんですね。
続けることで効果が期待できるという判断の記録がないまま続けると、返還の対象になりうるんだ。評価と継続判断を、3か月ごとの工程にしておこう。
出典
- 厚生労働省 令和3年度介護報酬改定における改定事項について(3.(1)⑰ 口腔機能向上の取組の充実、⑱ 栄養ケア・マネジメントの充実)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)通所介護費の注17〜20、通所リハビリテーション費の注15〜18(令和8年6月1日施行の改正を含む)
- 同(平成18年厚生労働省告示第126号)地域密着型通所介護費・認知症対応型通所介護費
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第18号の2、第19号、第19号の2、第20号、第30号
- 留意事項通知(老企第36号)第2の7(17)〜(20)(令和6年度改正の新旧対照表)
- 同(令和3年3月16日の改正、介護保険最新情報 Vol.934)
- リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について(令和6年3月15日)第二章第五・第八、別紙様式1-3・5-1・6-4
- 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.10)(令和6年9月27日)問1
- 厚生労働省 科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(老老発0315第4号 令和6年3月15日)第2の3、9、11
- LIFEの国民健康保険中央会への移管に伴い事業所・施設で必要な対応について(令和8年4月21日 事務連絡)別添Q&A 問1〜問4
- 社会保障審議会介護給付費分科会 第258回 資料1(令和8年6月15日)通所介護の算定状況
記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。
