制度・改定

介護報酬改定2027の施行までに事業所が準備する12項目|体制届・処遇改善計画書の期限

「To Do List」と書かれたクリップボード

結論(この記事でわかること)

ミナ

答申から施行まで2か月ほどしかないんですよね。何から手を付ければいいですか?

ジムチョー

やることは12項目あって、期限が決まっているものから順に並べてあるんだ。特に体制届と処遇改善計画書の2つは、遅れるとその月からの算定ができなくなるから、他より優先しよう。

ミナ

12項目を同じ重さで追うのではなくて、期限のある2つを先に押さえる、ということですね。

ジムチョー

そういうことだね。残りは、答申から自社に関係する加算を一覧にして、影響額を計算するところから始めよう。そこで取りに行く加算が決まると、後の作業の量も見えてくるよ。

答申(2027年1月ごろ)から施行(4月1日の見込み。施行日はまだ決まっていない)まで約2か月。この間に事業所がやることは12項目で、期限が決まっているものから順に並べると次のようになる。

順項目期限の目安担当
1答申の内容から自社に関係する新設・変更・廃止の加算を一覧化答申から1週間事務長
2加算ごとの影響額を計算し、取りに行く加算と落ちる加算を決める2月上旬事務長・経理
3処遇改善加算の新加算率で配分を再計算2月中旬経理
4賃金規程・就業規則の改定(処遇改善手当、新要件対応)2月末事務長・社労士
5運営規程の改定(利用料、定員、営業日の変更があれば)3月上旬管理者
6重要事項説明書・契約書の改定と、利用者・家族への説明・同意3月中管理者・相談員
7体制届の提出(改定年度の特例期限に従う)通知と様式が出てから特例期限まで(前回は自治体により4月8日〜15日)事務長
8介護ソフトの単価更新の確認と加算設定の変更3月末請求担当
9処遇改善計画書の提出通常は算定月の前々月末日。前回と2026年度は4月15日事務長
10加算管理台帳の作り直し4月中事務長
11職員への研修(新要件、記録様式の変更)3月中管理者
124月分の請求前チェック(新単位数、加算の反映、返戻対策)5月1〜10日請求担当

前回(2024年度)は、答申が2024年1月22日、告示・通知・Q&Aの公表が3月15日、施行が4月1日だった。訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導・通所リハビリテーションと処遇改善加算の見直しは6月1日施行の2段階で、体制届の特例期限は指定権者ごとに設定された(4月1日算定分は、群馬県と愛知県が4月8日、岡山県とさいたま市が4月15日)。処遇改善計画書の期限は、国の事務連絡(介護保険最新情報Vol.1195)で4月15日とされた。2027年度の期限は、答申後に出る国の通知と指定権者の案内で確認する。期限のある項目(7・9)に遅れると、算定の開始が後ろにずれる(遡っては算定できない扱いが多い)ので、他の項目より優先する。

各項目の内容

机の上のメモと電卓
ミナ

体制届は、いつもどおり前月15日までに出せば大丈夫ですか?

ジムチョー

改定年度は特例の期限が設定されるんだ。前回は自治体によって4月8日や4月15日だったよ。既存の加算も区分や要件が変わると届出が要るから、指定権者の案内を必ず見ておこう。

1〜2. 影響の一覧化と影響額の計算

答申の資料(新旧の単位数表、加算の要件)から、自社が算定している加算と算定できる加算を抜き出す。単位数の変更は「所定単位数 × 変更率」、加算の新設・廃止は「単位 × 数量」で月額を出す。

分類対応
基本報酬の増減月間の所定単位数に変更率をかける
算定中の加算の単位数変更加算管理台帳の年額を更新
算定中の加算の要件変更要件の充足を確認。満たせなければ落ちる額を計上
新設の加算要件と単位を確認し、取りに行くか判断
廃止・統合の加算落ちる額を計上。代替の加算があるか確認

加算算定シミュレーターのデータを新単位数に差し替えれば、同じ入力で新旧の比較ができる。改定全体の増減(基本報酬の改定率、処遇改善加算の連動、加算の新設・廃止)は2027年改定 影響額シミュレーターで出す。

ミナ

要件が変わって満たせなくなる加算は、どう扱えばいいですか?

ジムチョー

落ちる額として計上しておくんだ。廃止や統合される加算も同じで、代わりに取れる加算があるかも一緒に確かめておこう。

3〜4. 処遇改善の再計算と規程改定

処遇改善加算の加算率が変われば、加算総額の見込みと賃金改善の配分が変わる。定額手当が月額要件(加算Ⅳ相当額の2分の1)を満たすか再確認し、一時金の見込みを更新する。規程に変動条項があれば手当額の改定は規程の範囲で済む。賃金規程の変更は就業規則の変更にあたり、常時10人以上の労働者を使用する事業所は、労働者の過半数を代表する者の意見を聴いたうえで、労働基準監督署に届け出る(労働基準法第89条・第90条)。

ミナ

規程に変動条項が入っていない場合は、どうなりますか?

ジムチョー

手当額を変えるには、規程そのものを改定することになるんだ。配分の再計算とセットで社労士と改定を決めよう。常時10人以上の事業所なら、労基署への届出と労働者代表の意見聴取も要るよ。

5〜6. 運営規程と重要事項説明書

利用料(単位数)が変われば重要事項説明書の料金表が変わる。新規の契約は、新しい重要事項説明書で説明して同意を得る。継続の利用者には、改定後の料金表などの書面で説明して同意を得る(久留米市は2024年度改定で、重要事項説明書の再交付や再契約は不要としたうえで、全利用者の同意を4月末日までに得るよう求めた)。本来は同意を得てから新しい料金でサービスを提供するので、日程は指定権者の案内に合わせて組む。運営規程に利用料を書いている場合、報酬改定に伴う変更は変更届を不要とする自治体がある(京都市は2024年度改定でそう扱った)。自治体で違うので、指定権者の案内で確かめる。

ミナ

重要事項説明書の同意は、4月に入ってから集めても間に合いますか?

ジムチョー

それは避けたほうがいいね。本来は同意を得てから新しい料金でサービスを提供するものだからなんだ。猶予を示す自治体もあるけれど、自治体で違うから、まず指定権者の案内を見よう。3月は面談が集中するから、日程は早めに組んでおこう。

7. 体制届

改定で新設・変更された加算は、体制届の出し直しが必要。体制等に変更がなければ届出は不要とした自治体もある(群馬県)。期限は、通常は居宅系サービスが算定を始める月の前月15日、施設系サービス(短期入所、特定施設、認知症対応型共同生活介護、地域密着型介護老人福祉施設を含む)が算定を始める月の1日だが、改定年度は特例の期限が指定権者ごとに設定される(前回は4月1日算定分について、群馬県と愛知県が4月8日、岡山県とさいたま市が4月15日)。既存の加算も区分や要件が変わる場合は届出が要るので、指定権者の案内で確認する。

8. 介護ソフト

ベンダーの単価更新の配信日を確認し、更新後に加算の設定(新区分への変更、廃止加算の停止)を行う。テスト請求ができるソフトなら、4月分のデータで事前に試す。

9. 処遇改善計画書

処遇改善計画書は、通常、算定する月の前々月の末日までに提出する(4月分から算定するなら2月末日)。改定の年は特例があり、2024年度(国の事務連絡Vol.1195)も2026年度(令和8年度の基本通知)も、4月・5月分の計画書の提出期日は4月15日だった。2027年度の期日と様式は、答申後の通知で確認する。新しい加算率での見込額と配分を書く。期限に遅れた場合の扱いは指定権者で違い、足立区は算定開始が遅れて遡及できないとし、堺市は原則として当該年度当初からの算定はできないとしている。

10〜12. 台帳・研修・請求

加算管理台帳を新体系で作り直し、月次チェックの項目を更新する。記録様式が変わる加算があれば、職員に研修する。4月分の請求(5月)は、届け出た体制とソフトの設定が食い違うと返戻になるので、請求前に体制届とソフト設定を突合する。

ミナ

改定後最初の請求で返戻を減らすには、何を見ておけばいいですか?

ジムチョー

届け出た体制と、ソフトに入れた加算の設定が合っているかだね。初回の請求は食い違いがあると返戻になるから、請求の前に必ず突き合わせておこう。

各期限は、2027年1月ごろの答申のあとに出る厚労省の通知と、指定権者の案内で確定する。上に書いた前回の実例は2024年度改定の分(国の事務連絡と自治体の案内)で、2027年度に同じになるとは限らない。

計算例:準備の遅れがいくらになるか

砂時計と置き時計

通所介護、月間所定単位数400,000単位(1単位10円の地域区分「その他」で月400万円)と仮定する。

遅れ影響
体制届が特例期限に間に合わない届出の受理が遅れた分だけ算定開始が後ろにずれる。新設加算(仮に1日20単位 × 600人日)は、1か月遅れると12,000単位、120,000円が算定できない
介護ソフトの単価更新を確認せず4月分を旧単価で請求4月分が返戻になる。再請求までの間、入金が遅れる(400万円規模、おおむね1か月)
重要事項説明書の同意が間に合わない本来は同意を得てから新しい料金でサービスを提供する。同意のない期間ができると、利用者とのトラブルや指導の対象になる恐れがある
処遇改善計画書が期限に間に合わない算定開始が遅れ、遡って算定できない扱いの自治体が多い。例の事業所(Ⅰロ12.0%、2026年6月以降の通所介護)は400,000単位 × 12.0% = 48,000単位で、算定できない月ごとに480,000円

準備の工数は、事務長で40〜60時間、管理者・請求担当で各20時間程度と仮定する(合計80〜100時間)。給与と社会保険料の会社負担を合わせた1時間あたりの人件費を1,700円と仮定すると、13万6千円から17万円で、15万円前後になる。上の1つでも防げれば回収できる。

処遇改善計画書の期限を過ぎた場合は、足立区が遡及不可、堺市が原則として当該年度当初からの算定不可としている。扱いは指定権者に確認する。

ミナ

準備の工数が人件費で15万円前後。遅れの損失と比べると小さいですね。

ジムチョー

表のどれか1つでも防げれば回収できるんだ。処遇改善計画書を期限に出せないと、例の事業所では算定できない月ごとに48万円が消えてしまう。

ミナ

ソフトの単価を確かめずに旧単価で請求した場合は、お金は後から入ってくるんですよね。

ジムチョー

消える額ではないけれど、返戻で入金が1か月ほど遅れるんだ。この例だと400万円規模になるから、損失とは別に資金繰りの面でも見ておこう。

実務の手順(誰が・いつまでに・どの帳票で)

月間予定表のホワイトボード
ミナ

12月の予算の仮修正は、答申を待たずにやるんですね。

ジムチョー

改定率が出た時点で、全体の増減はおおよそ見込めるからね。答申で加算の一覧ができたら、2月上旬の影響額の計算で予算を詰めていこう。

時期作業担当帳票
2026年12月改定率で予算の仮修正経理予算修正表
2027年1月ごろ(答申)新旧単位数表を入手。加算の一覧化事務長加算一覧(新旧)
2月上旬影響額の計算。取りに行く加算の決定事務長・経理影響額試算表
2月中旬処遇改善の配分再計算。規程改定の起案経理・事務長配分計画、規程案
2月末規程改定の決定。労基署への届出事務長就業規則変更届
3月上旬運営規程・重要事項説明書の改定。利用者への説明開始管理者重要事項説明書
通知後〜特例期限体制届の提出(様式は告示・通知と同時に出る。前回は3月15日)事務長体制等状況一覧表
3月中職員研修。介護ソフトの更新確認管理者・請求担当研修記録、ソフト設定
3月末利用者の同意の取得完了相談員同意書
通常は算定月の前々月末日(前回と2026年度は4月15日)処遇改善計画書の提出事務長別紙様式2-1〜2-3(令和8年度の様式。様式は毎年度通知で確認)
4月中加算管理台帳の作り直し事務長台帳
5月1〜10日4月分の請求。体制届・設定・単位数の突合請求担当請求明細

よくあるつまずき

ミナ

介護ソフトの単価はベンダーが更新してくれますよね?

ジムチョー

単価は更新されるけれど、加算の設定は事業所で変えるんだ。新区分への変更や廃止加算の停止は自分でやる。テスト請求ができるなら、4月分のデータで事前に試しておこう。

ミナ

区分名が変わった加算を、台帳では旧要件のまま管理してしまった場合は?

ジムチョー

運営指導で指摘されることがあるんだ。4月中に加算管理台帳を新しい体系で作り直して、月次チェックの項目も更新しておこう。

  • 答申を待ってから集計を始める。所定単位数と加算の月額は2026年中に出しておく
  • 体制届の期限を通常の15日で管理する。改定年度は特例。指定権者の案内を見る
  • 重要事項説明書の同意を後回しにする。本来は新しい料金でのサービス提供前に同意が要る(期限に猶予を示す自治体もある)。3月に集中して面談が必要
  • 介護ソフトの更新を「ベンダーがやる」と思う。単価は更新されても、加算の設定は事業所で変える
  • 処遇改善計画書を旧加算率で出す。新加算率で見込額を計算し直す
  • 加算管理台帳を古いまま使う。区分名や要件が変わった加算を旧要件で管理し、運営指導で指摘されうる

経理・管理側の視点

ミナ

2026年度は4〜5月が旧加算率で、処遇改善の集計が年度の途中で分かれていますよね。改定の準備にも関係しますか?

ジムチョー

集計期間が年度内でまたがるぶん、経理の集計の設計が複雑になるんだ。そこに改定の作業が重なるから、今の集計の形を先に固めておくと楽になるよ。

改定の準備は「制度対応」に見えて、実態は2か月で事業所の売上構造を組み替える作業になる。基本報酬の増減、加算の取捨、処遇改善の配分、利用料の改定が同時に動くので、経理が影響額試算表を持って全体を見ないと、現場は目の前の届出だけで手一杯になる。

2026年度の処遇改善の賃金改善は、4〜5月分が従来の加算率、6月分以降が新しい加算率にまたがる。2026年度分の実績報告書の提出期日は、通常の場合2027年7月31日(令和8年度の基本通知)で、2027年度改定の作業はその集計と重なる。2026年中に加算管理台帳と月次の集計を整えておくのが、最も安い準備になる。

ミナ

2026年中に加算管理台帳と月次の集計を整えておくのが、一番安い準備なんですね。

ジムチョー

改定の準備は、実態は2か月で売上構造を組み替える作業なんだ。経理が影響額試算表を持って全体を見ないと、現場は目の前の届出で手一杯になってしまうよ。

出典

記事中の計算例は概算です。実際の算定・請求は自治体および国保連への確認が必要です。制度に関する記述は執筆時点の情報に基づきます。